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(7) 昆虫類

ドキュメント内 ...b.h.u.b.N .A...` / (.M....) 219.` (ページ 55-58)

香川県は面積が全国一狭いことに加え、標高1, 0 0 0

m

を超える山地帯が殆ど無く、ブナ帯 および山地草原がわずかしか見られないこと、瀬戸内海式気候による乾燥が強いことなどの 要因から、他県と比較すると昆虫の種類数は少ない。

ためいけ

しかし、瀬戸内海式気候の乾燥に適応した昆虫相が見られること、1 4, 0 0 0を超える溜池を 中心に水生昆虫の生息に適した環境が豊富であること等、他県では見られない特徴も持って いる。

ためいけ

a.溜池周辺

ためいけ

全国的に減少し絶滅が心配されている昆虫も、香川県の溜池周辺には比較的残っている。

たとえばコバネアオイトトンボ (絶滅危惧 類 (VU) ) 、オオキトンボ (絶滅危惧 類 (VU) ) 、 ナニワトンボ(準絶滅危惧(NT)) 、オオミズムシ(準絶滅危惧(NT)) 、チュウブホソガ ムシ(絶滅危惧 類(VU))などで、いずれも減少傾向とはいえ、いくつもの生息地が確 認されている。コオイムシ(準絶滅危惧(NT))は生息箇所、個体数はおそらく全国一を 誇るのではないかとすら考えられる。ゲンゴロウ類も記録された種類数は3 0種を超えてお り、県の面積を考えると非常に豊富であると言える。

残念ながら、タガメ(絶滅危惧

I

類(CR+EN))、ゲンゴロウ(絶滅危惧

I

類(CR+EN))、

コガタノゲンゴロウ(絶滅危惧

I

類(CR+EN)) 、ガムシ(絶滅危惧 類(VU))などの 大型の水生昆虫は全くといってよいほど、姿を見ることができなくなっている。これらは強 力な農薬の使用が激減の主要因と思われる。加えて、平野部があらかた耕地化・宅地化され ており、農薬をはじめとする水質汚染や圃場整備、灯火等による影響を受けなかった地域が 殆どなかったためと考えられる。

ためいけ かや

溜池の土手には小規模ながらススキ草原が至る所に見られた。牛馬の餌、屋根の萱などを 得るため、ススキを刈り取り利用していたためである。そこには草原性の蝶であるオオウラ ギンヒョウモン (絶滅危惧

I

類 (CR+EN) ) 、ウラギンスジヒョウモン (絶滅危惧 類 (VU) ) 、 ウラナミジャノメ(絶滅危惧 類(VU))などが普通に見られた。ところが、生活の変化

かや ぶ

と共に牛馬が必要とされなくなり、萱葺きの屋根も消えてしまった。土手の管理もおろそか になり、コンクリート化やクズなどの植物によって覆われるようになり、ススキ草原は消え ていった。景観の変貌に伴いこれら草原性の蝶が急激に姿を消すこととなった。

b.河川

降水量が少ないため、川の水は豊富ではない。時たま生じる大雨で洪水と共に土砂が運ば れ、河床が高い天井川となる。河床が高いゆえに、再び洪水が起こる。そのため中流域には、

洪水の被害を少なくするための「遊水林」と呼ばれる林が形成されてきた。この林にはシー タテハ(絶滅危惧

I

類) 、ウラナミアカシジミ(絶滅危惧 類(VU)) 、オオミドリシジミ

(準絶滅危惧(NT))などが生息する独特の昆虫相が形成されていた。しかし、堤防のコ ンクリート化など防災システムの変化から、 「遊水林」は次第に寸断、縮小していった。シ ータテハの衰亡はこの変化と一致するものと考えられる。

天井川の中流域では通常、水は地下水として河床の下を流れる。この水は少し下流で湧水

種の解説

昆虫類

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として再び地上に現れる。そのため天井川では、中流域にあっても水の透明度は意外にも高 い。こうした環境にはヒメシマチビゲンゴロウ(準絶滅危惧(NT)) 、ゴマダラチビゲンゴ ロウ(準絶滅危惧(NT)) 、ヨコミゾドロムシ(絶滅危惧 類(VU))などが生息してい る。

土器川と財田川の水量が豊富な中流域で、たまりや緩やかな流れとなっており、ツルヨシ などの植物が繁茂している場所では、グンバイトンボ(絶滅危惧 類(VU))が繁殖して いる。また、成虫は活動および休息場所として、川のすぐ横の湿度の保たれた森林も必要と しており、このような特殊な環境の消失とともに、グンバイトンボは減少の一途をたどって いる。

下流から河口域にかけての自然環境は、護岸工事や水質悪化などによって見る影もなく破 壊されているが、わずかに残ったアシ原にはヤマトヒメメダカカッコウムシ(準絶滅危惧

(NT))やジュウクホシテントウ(準絶滅危惧(NT))が、干潮時にのみ現れる河床の石 の下にはキバナガミズギワゴミムシ(準絶滅危惧(NT))など、特殊な環境にしか生息し ない種が生き残っている。

c.小豆島

小豆島および四国側の瀬戸内海に接する地域には、集塊岩からなる乾燥した山塊があり、

急峻な崖が目立つ。この乾燥した貧栄養の環境に特異的に生える植物相により、この地域の 特殊な昆虫相が作り出されている。例えば急峻な崖に生えるイワガサはナマリキシタバ(準 絶滅危惧(NT))の、ツメレンゲはクロツバメシジミ(準絶滅危惧(NT))の食樹や食草 となっている。また海岸林のウバメガシはクロシオキシタバの、至る所に生えるアキニレは キイロミミモンエダシャク(準絶滅危惧(NT))の発生源となっているが、これらの昆虫 類の中には県外ではあまり見られないものも多い。

小豆島の昆虫相には本州に分布の中心を持つ種が入り込んでおり、四国本土では見られな い昆虫も記録されている。絶滅が心配されているヒメヒカゲ(絶滅危惧

I

類(CR+EN))

はその代表的なもので、行政単位の中の四国では小豆島からしか記録されていない。特産種 や亜種としてはショウドシマナガチビゴミムシ(準絶滅危惧(NT)) 、ショウドヒメオサム シなどが知られている。また、オオマルケシゲンゴロウ(準絶滅危惧(NT))は現在のと ころ、四国ではここからしか記録されていない。

とうしょ

d.自然海岸・島嶼部

全国的に自然海岸が人工海岸に改変され、海岸性の昆虫の生息場所が奪われている。開発

とうしょ

から乗り遅れた島嶼部には幸いにも自然海岸が残されている。四国の他の地域では殆ど姿を 消してしまったヤマトマダラバッタ(準絶滅危惧(NT))の生息地が、島嶼部では何か所 も確認されている。また佐柳島では全国的に絶滅が危惧されているルイスハンミョウ(絶滅 危惧

I

類(CR+EN))の生息地が確認されている。

製塩産業が盛んだった頃、塩田の砂地は干潟に生息する昆虫の生息場所となっていた。ヨ ドシロヘリハンミョウ(絶滅危惧

I

類(CR+EN))、ハマベゴミムシ(絶滅危惧 類(VU))、

オオツノハネカクシ(絶滅危惧 類(VU))などである。製塩がなされなくなった後も、

種の解説

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塩田跡地はこれら特殊な環境にしか生息できない昆虫の貴重な生息地となっていた。しか し、塩田跡地が宅地造成などで消えていくと、これらの昆虫も次々と姿を消してしまった。

特にヨドシロヘリハンミョウはその姿を全く見ることができなくなった。幸い坂出市王越町 の木沢塩田跡地のみが、オオツノハネカクシなどの県内唯一の生息地として残っている。

この他、女木島の洞窟からは特産種であるガロアムシ目のチュウジョウムシ(情報不足

(DD))が記載されている。残念ながら記載されて以後、追加採集がなされていない。

e.琴平山などの低中山帯

琴平山は、県内でもっともまとまった規模で照葉樹林が見られる。ここには、ベーツヒラ タカミキリ(準絶滅危惧(NT)) 、オオシロカミキリ(準絶滅危惧(NT)) 、トゲウスバカ ミキリ(準絶滅危惧(NT))などの暖地性の昆虫が生息している。讃岐山脈からやや独立 した山塊でもあるので、コンピラオオコバネナガハネカクシ(準絶滅危惧(NT)) 、ゾウズ サンメクラチビゴミムシ(準絶滅危惧(NT)) 、コンピラメクラチビゴミムシ(オオタキメ クラチビゴミムシの亜種。準絶滅危惧(NT))などの特産種、特産亜種も生ずる。

琴平山を含め、香川県低中山帯の昆虫相は豊富である。国蝶であるため注目されているオ オムラサキ(準絶滅危惧(NT))も、生息地は比較的多い。綾上町を中心に生息するウラ

ためいけ

ジロミドリシジミ(絶滅危惧 類(VU)) 、県東部低山地の溜池周辺の湿地に生息するヒ メタイコウチ(準絶滅危惧(NT))など、四国の他県では見られない昆虫も見られる。ま た、低地にわずかに残された神社や公園の大木には、オオシロカミキリやベニバハナカミキ リ(準絶滅危惧(NT)) 、クロマダラタマムシ(準絶滅危惧(NT))などの昆虫が生息し ている。

高松市近郊の紫雲山山塊には特産種の リ ツ リ ン メ ク ラ チ ビ ゴ ミ ム シ(絶 滅 危 惧 類

(VU))が、五色台山塊にはその亜種のゴシキメクラチビゴミムシが生息している。

f.讃岐山脈

大川山、竜王山山頂が標高1, 0 0 0

m

を僅かに超える程度で概して低標高ではあるが、香川 県の中では特徴的な昆虫相を形成している。アイノミドリシジミ(絶滅危惧 類(VU))、

メスアカミドリシジミ(準絶滅危惧(NT)) 、アワオサムシ(準絶滅危惧(NT)) 、特産種 のサトウメクラチビゴミムシ(準絶滅危惧(NT))などは、県内では讃岐山脈でしか発見 されていない。

大滝山山頂には小さいながら県内で唯一のブナ林が残されており、ヨコヤマヒゲナガカミ キリ(絶滅危惧

I

類(CR+EN)) 、タカオメダカカミキリ(絶滅危惧 類(VU)) 、オニ クワガタ(絶滅危惧 類(VU)) 、エゾゼミ(準絶滅危惧(NT)) 、サヌキササキリモド キ(準絶滅危惧(NT))などの生息が確認されている。また、大川山のイヌシデ林では、

オオクボカミキリ(準絶滅危惧(NT))の記録があるが、県内ではここでしか採集されて いない。

讃岐山脈東部にはニョタイササキリモドキ(準絶滅危惧(NT)) 、シロトリメクラチビゴ ミムシ(絶滅危惧 類(VU))の特産種が生息している。

(出嶋利明)

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