年少基 蓑皐忌ク年中基 年長基 年少基:篭
0.80 0.40 1.10 0.70 1.40 0.49
0.60 0.49
正探索得点年中基鰐::蚤 年長基:::
注.満点は2点。
0.70 0.78
1.10 0.70 1.40 0.49 1.20 0.75 1.40 0.49 1.60 0.49 1.80 0.40 0.70 0.78 1.00 0.45 1.00 0.77
1.10 0.83 0.90 0.70 1.20 0.40 1.10 0.70 1.50 0.50 1.80 0.40 0.40 0.66 0.70 0.46 1.00 0.63
ドマーク条件別に算出した。その結果をまとめたものが Figure3である。正答の角とその対角に対する探索を合 わせた幾何学的探索の割合は,ランドマーク無し条件で は,年少48%年中61%,年長66%,ランドマーク有 り条件では,年少56%,年中58%,年長60%であっ た。また,ランドマーク側の2つの角に対する探索を合 わせたランドマーク探索の割合は,ランドマーク有り条 件において,年少63%.年中で78%,年長90%であっ た。
幾何学的探索の割合をランドマーク条件別にチャンス レベル(50%)と比較するために母比率の検定を行った ところ.ランドマーク無し条件では年長において有意に チャンスレベル以上となったが('<、05,両側検定),年 少と年中では有意でなかった。ランドマーク有り条件で は,いずれの年齢においても幾何学的探索の割合がチャ ンスレベルを有意に上回らなかった。さらに,幾何学的 探索中の正探索の割合を,ランドマークの条件別にチャ ンスレベル(50%)と比較したところ,ランドマーク無 し条件では,いずれの年齢もチャンスレベルを有意に上 回っていなかった。一方,ランドマーク有り条件では,
年中('<、05)と年長('<、01)において,有意にチヤン
スレベル以上であった。次に,ランドマーク有り条件における各年齢のランド マーク探索の割合をチャンスレベル(50%)と比較する ために母比率の検定を行ったところ,年少では有意でな
かったが( =.16,両側検定),年中(,<、01)と年長(
<、01)ではランドマーク探索の割合が有意にチャンスレ ベル以上であった。さらに,ランドマーク探索中の正探 索の割合をチヤンスレベル(50%)と比較したところ,
2540 年 少 1323
3320
年 中 2028
ランドマーク無し条件
2835
年 少 1028
4335
年 中 8 1 5
5040 年 長 0 1 0
ランドマーク有り条件Figure3幼ノ目におけるランバマーク条伴別の多角の 探索割合(%)
正答の角を左上の角(網かけ部分)にそろえて集計。
年少
141
転条件において,念のため下位検定を行ったところ,ラ ンドマーク有り条件で,模型空間回転の方が参加者回転 よりも直行得点が有意に高かった(F(1,54)=4.35,,<
、05)。 考 察
実験2の目的は,模型空間での再定位において定位喪 失時の身体移動が幾何学的情報とランドマーク'情報の利 用に及ぼす効果を,3歳から6歳を対象に発達的に検討 す る こ と で あ っ た 。 先 行 研 究 に お け る 2 歳 以 下 の 知 見 が,3歳以降の子どもに対してもあてはまるのであれば,
身体移動を伴う参加者回転条件の方が模型空間回転条件 よりも,幾何学的情報の利用が促進されるために,幾何 学的探索得点が高くなると考えられた。
しかし,実験の結果,回転条件間に得点の違いはみら れず,3歳以降の子どもにおいては,身体移動が幾何学 的情報の利用に影響を及ぼさないことが示唆された。ま た,ランドマーク探索得点と正探索得点に関しても,参 加者回転条件と模型空間回転条件とで有意な差はなく,
身体移動が,ランドマーク情報の利用ならびに幾何学的 情報とランドマーク'情報を組み合わせた利用に対して も,影響を及ぼさないことが示唆された。
また,幾何学的情報に関しては,先行研究の知見か ら,いずれの年齢でも利用が可能で,年長児ほど幾何学 的'情報に基づいた各角の探索を行うと予想した。しか し,幾何学的探索の割合は,ランドマーク無し条件で,
年少48%年中61%,年長66%,ランドマーク有り条 件で,年少56%,年中58%年長60%であり,有意に チャンスレベル以上となったのは,ランドマーク無し条 件の年長のみであった。また,幾何学的探索得点では年 齢間に有意差がなく,幾何学的情報の利用に関しては3 歳から6歳の間では顕著な発達がみられないことが示唆 された。
一方,ランドマーク'情報に関しては,3歳児は利用し ないが,加齢とともに幾何学的情報と組み合わせて利用 するようになると予想した。実験の結果,ランドマーク 探索の割合は,ランドマーク有り条件において,年少 63%,年中78%年長90%で,年少では有意でなかっ たが,年中と年長では有意にチャンスレベル以上であっ た。また,ランドマーク探索得点では,年長が年少より も有意に高かった。しかし,幾何学的探索中の正探索の 割合は,ランドマーク有り条件において,年中と年長で 有意にチャンスレベル以上であったものの,ランドマー ク探索中の正探索の割合をチャンスレベル(50%)と比 較したところ,いずれの年齢もチャンスレベルを有意に 上向っていなかった。
以上の結果は,ランドマーク'情報に関しては,先行研 究と同様に,年少児ではチャンスレベルを有意に上回る ほど利用していないが,年中と年長では対象の再定位に い ず れ の 年 齢 も チ ャ ン ス レ ベ ル を 有 意 に 上 回 っ て い な
かった。
探索行動最後に,各条件における探索行動を検討し た。そのために,実験1と同様の基準で,直行が認めら れた場合には1点を与えた(2点満点)。そして,条件別 の平均と標準偏差を算出し,′nable4に示した。
直行得点に関して,年齢×ランドマーク条件×回転条 件の3要因分散分析を行ったところ,年齢×ランドマー
ク条件しF(2,54)=8.03,'<、01),年齢×回転条件(F(2, 54)=3.98, <,05)の交互作用が有意であり,ランドマー
ク条件×回転条件の交互作用において有意傾向(F(1, 54)=3.25, <,10)がみられた。まず,年齢×ランドマーク条件において,ランドマー ク条件別の年齢の単純主効果を分析したところ,ランド マーク無し条件では有意であり(F(2,54)=22.94,'<
,01).LSD法を用いた多重比較の結果,年少の直行得点 が年中・年長よりも有意に高かった('<、05)。ランド マーク有り条件では有意傾向がみられ(F(2,54)=2.63,
'<、10),多重比較の結果,年少の直行得点よりも年長
の直行得点の方が有意に高かった('<、05)。また,年齢
別のランドマークの単純主効果を検討したところ,年少 では,ランドマーク無し条件の方が有り条件よりも有意 に高かった(F(2,54)=18.13, <、01)。それに対して,年中では,ランドマーク有り条件の方が無し条件よりも 有意に高い傾向が認められ(F(2,54)=3.95, <、10),
年長では,ランドマーク有り条件の方が無し条件よりも 有意に高かった(F(2,54)=18.13, <、01)。
次に,年齢×回転条件において,回転条件別の年齢の 単純主効果を検討したところ,模型空間回転でのみ有意
であり(F(2,54)=5.10,′<、05),LSD法を用いた多重
比較の結果,年少の直行得点が年中・年長よりも有意に 高かった。また,年齢別の回転条件の単純主効果を検討 したところ,年少の場合,模型空間回転の方が参加者回 転よりも直行得点が有意に高かった(F(1,54)=6.53, < ,05)。最後に,有意傾向のあったランドマーク条件×回Table4加目における直行得点の年齢別・条洋別の 平 均 と 標 準 偏 差
1.10 0.70 有り ラ ン ド マ ー ク 無 し
0.80 0.60
回 転 条 件 模 型 参 加 者 模 型 参 加 者
M釦
1.20 0.75
0.40 0.66
M皿
1.60 0.66
1.50 0.81
模型空間における幼児の再定位
1.00 0.45
年中 0.70
0.64
年 長
0.50 0.67
0.50 0.67
M
注 . 満 点 は 2 点
1.40 0.80 0.40
0.80
142 発 達 心 理 学 研 究 第 2 0 巻 第 2 号
利用していることを示唆する。しかし,先行研究の結果 とは異なり,本研究では,年長児ですら,ランドマーク 探索中の正探索の割合がチヤンスレベルを有意に上回っ ていなかったので,ランドマーク情報と幾何学的情報と を組み合わせて利用できなかったと考えられる。
最後に,直行得点について考察する。年少では,ラン ドマーク有りの参加者回転条件以外では,直行得点が高 かったことから,年少児は幾何学的情報やランドマーク 情報を利用せずに,探索場所をランダムにすばやく決め ていたと推測される。また,ランドマーク無し条件で は,年少の方が年長よりも直行得点が高いが,ランド マーク有り条件では,年長の方が年少よりも高かった。
この結果は,年長児になるとランドマーク情報を利用す るために,探索場所の判断が速くなったことを反映して いると考えられる。
総 合 考 察
本研究では,模型空間での再定位において,定位喪失 時の身体移動が幾何学的情報とランドマーク情報の利用 に及ぼす効果を,3歳から6歳の幼児ならびに成人を対 象に検討した。以下では,まず,幾何学的情報とランド マーク情報の利用について発達的に検討し,次に,定位 喪失時の身体移動の効果に関して議論する,そして最後 に,まとめを行い,今後の課題について述べる。
幾何学的情報とランドマーク情報の利用成人は再定 位において幾何学的 情報を利用するとともに,ランド マークが有る場合は幾何学的 情報とランドマーク情報を 組み合わせて利用することが明らかになった。それに対 し幼児では,幾何学的探索の割合は,ランドマーク無し 条件では年長になって初めてチャンスレベルを有意に超 えた。一方,ランドマーク探索の割合は年中段階から有 意にチャンスレベル以上になっており,模型空間での再 定位においてランドマーク情報は早い段階から利用され やすい可能性が示唆された。さらに年長では,ランド マークが無い状況ならば幾何学的情報をある程度利用で きるようになっているものの,ランドマークが付与され ると,幾何学的情報を考慮せずにランドマークだけを利 用しようとするという興味深い結果が得られた。
本研究と同様に模型空間を用いた先行研究で示された 各年齢における再定位課題での空間情報の利用状況を踏 まえたとき,本研究における幼児の幾何学的情報とラン ドマーク情報の利用の程度は,そういった先行研究と比 べて全体的に少し遅れているとともに,幾何学的情報よ りもランドマーク'情報を利用する傾向があったといえる であろう。
再定位における空間'情報の利用に関して,Cheng&
Newcombe(2005)やNewcombe&Huttenlocher(2006),
Newcombe&Ratlif(2007)は,空間情報の適応的結合
説という立場から,どのような状況で再定位しなければ ならないかによって,参加者に入力された空間 情報の信 頼の重み付けが異なり,その異なる重み付けに左右され て,独特の情報利用が起こる,という見解を示してい る。つまり,これは,発達初期の幼児がみな幾何学的情
報を優先利用する特性(Hermer&Spelke,1994,1996)
をもつから幾何学的探索が頻発するわけではなく,幾何 学的情報が利用されやすいものとして判断されるような 状況で対象探索課題を実施するため,幾何学的情報の利 用を反映するような探索が多く行われる,という主張で ある。Newcombe&Huttenlocher(2006)によれば,こ れまでの再定位研究で行われた対象探索課題は,入力さ れた幾何学的情報が有用であるという判断が下され易い 特徴を備えた状況で行われたため,いずれの結果でも幾 何学的探索が有意に多く,そのために幾何学的情報を優 先利用しているように解釈された叫能性があるという。
したがって,課題実施の状況によっては,年長児が幾何 学的探索をほとんど行わなかったり,年少児が頻繁なラ ンドマーク探索を見せたりする可能性は十分にあると指 摘している。
Newcombeらの見解に鑑みて,本研究の実験2の結果 は,幾何学的情報への重み付けを小さくする一方で,ラ ンドマーク情報への重み付けを大きくするような課題実 施状況から生じたものと解釈できる。そして,このよう な重み付けを生じさせた原因として考えうるのは,現在 のところ,用いた模型空間の形と,実験場所となった部 屋 に 備 わ る 空 間 情 報 の 存 在 で あ る 。 ま ず , 本 研 究 と Gouteuxetal.(2001)の違いの1つに,長方形の模型空 間の短辺と長辺の比がある。Gouteuxらでは20cm×80 cmであったのに対して,本研究では45.0cm×67.5cm であり。Gouteuxらの模型空間の方が,短辺と長辺の長 さの違いが顕著である。一方で,本研究では,Gouteux らに比して,短辺が長くなったことにより,短辺の1つ に色を塗ることによって設置したランドマークが強調さ れることになったと考えられる。Newcombe&Ratlif
(2007)によれば,辺の比が顕著でない場合、再定位の ための空間 情報としての幾何学的情報の重み付けは小さ くなり,ランドマークが物理的に大きくなるほど,ラン ドマーク 情報の重み付けも大きくなるという。以上か ら,模型空間の形状の違いによる幾何学的情報とランド マーク 情報の重み付けの変化が,本研究と先行研究との 結果が異なった1つ目の可能性といえる。
また,本研究の実験は,Gouteuxetal.(2001)や Hupbach&Nadel(2005)と同様に,参加者が日常過ご している場所で実施したため,部屋に備わる空間情報を 統制していなかった。それに対して,Hutttenlocher&
Vasilyeva(2003)やLourenco&Huttenlocher(2006)で は,模型空間の周囲に均質不透明の布で円筒状のパー