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魚類の生息状況

ドキュメント内 環境配慮型水路における魚類相の変化 (ページ 49-59)

4 汎用化水田における影響

4.3 調査結果

4.3.2 魚類の生息状況

46

47

表6: 採捕結果

種名

ビオトー プ池

水路 落口工

水路1 水路2 水路3 落口工① 落口工② 落口工③

H19 H18 H19 H18 H19 H18 H19 H19 H19 H19

捕 獲 数

ギンブナ 12 315 1 255 9 182 220 1 1 3 ゲンゴロウブナ 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 オイカワ 0 0 0 12 0 26 2 0 0 0 カワバタモロコ 742 2 20 32 49 443 415 0 6 15

ワタカ 0 5 0 0 0 0 44 0 3 1

タモロコ 0 1 1 0 0 1 0 0 0 0 デメモロコ 0 2 0 3 0 0 11 0 0 0 モツゴ 2 0 0 0 0 1 0 0 0 0

コイ 0 3 0 13 2 2 5 0 0 0

タイリクバラタナゴ 2 1 0 0 2 25 22 0 0 0 ドジョウ 0 2 0 48 1 63 45 10 8 8 ナマズ 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 ミナミメダカ 201 629 185 2,226 100 1,204 964 761 268 281 カムルチー 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 ヨシノボリ類 0 0 0 0 0 2 30 19 3 16

総個体数 969 960 207 2,589 163 1,950 1,760 792 289 324

種数 5 9 4 7 6 11 12 5 6 6

多様度指数 0.37 0.46 0.19 0.25 0.53 0.56 0.63 0.08 0.14 0.24

48

(1) カワバタモロコの生息状況

平成

18

年度の冬期に水路1の上流端に新設されたビオトープ池(写真

9)は,捕獲された種数は

少ないものの,ミナミメダカとカワバタモロコが多数生息していた.とくに,平成

19

年度に捕獲したカ ワバタモロコの総数は

742

個体と極めて多く,また,図

17

の体長分布図に示すように, 3個体(総

捕獲数の

0.4%)の仔稚魚(体長 20mm

以下を仔稚魚とする)を確認し,ビオトープ池内で繁殖して

いる可能性が示唆された.ビオトープ池と連続している水路

1

におけるカワバタモロコの捕獲数は,

平成

18

年度の

2

個体から平成

19

年度の

20

個体に増加したものの,図

17

に示すように,仔稚魚 が全く確認されなかった.これより,ビオトープ池で繁殖した個体が流下したことによって水路

1

内 の成魚の捕獲数は増加したが,仔稚魚は捕獲されなかったことから,水路

1

内で繁殖できなかった と考えられる.また,水路

2

では,図

18

に示すように,平成

18

年度に捕獲したカワバタモロコは

32

個体でそのうち仔稚魚

3

個体(9.4%)を確認し,水路

2

内で繁殖した可能性が示唆された.しかし,

排水路の水深が低下した平成

19

年度に捕獲数が

49

個体と若干増加したものの仔稚魚が全く確 認されず,繁殖できない環境に変化したと考えられる.一方,常時水際に植生が存在した水路

3

で はカワバタモロコの捕獲数が多い.図

19

に示すように,平成

18

年度は総捕獲数

443

個体のうち仔 稚魚が

133

個体(29.8%),平成

19

年度は総捕獲数

415

個体のうち仔稚魚が

54

個体(12.8%)で,

両年度とも水路内での繁殖を確認した.すなわち,ビオトープ池および水路

3

がこれに連結する水 路系のカワバタモロコの保全に大きな役割を果たしていることが示された.コンクリート

3

面張りの水 路においてもカワバタモロコが生息している例があるが(金井ら,1998),水路

3

と同様に水路底に 泥が堆積し,水生植物が繁茂している環境である.このことから,水路内の植生がカワバタモロコの 生息に必要な環境要素であることがわかる.

49

写真

9 ビオトープ池

50

17 ビオトープ池と水路 1

におけるカワバタモロコの体長分布(平成

19

年度)

18 水路 2

におけるカワバタモロコの体長分布

19 水路 3

におけるカワバタモロコの体長分布

51

(2) ミナミメダカの生息状況

ビオトープ池におけるミナミメダカの体長分布(図

20)を見ると,体長 20mm(孵化後 3

カ月程度)

未満の仔稚魚は総捕獲数の約

37%を占め,ビオトープ池内で繁殖していることが示された.水路 2

における平成

18

年度から

19

年度にかけてのミナミメダカの体長分布の変化(図

22)より,平成 18

年度は体長

20mm

未満の仔稚魚が総個体数の

38%を占め繁殖が確認できたが,平成 19

年度に は体長分布のピークが右側に移行したものの

20mm

未満の仔稚魚がほとんど確認できなかった.

すなわち,平成

19

年度のミナミメダカは,平成

18

年度に孵化した個体が成長したもので,平成

19

年度は繁殖しなかったと考えられる.これは,平成 18 年度は整備直後のため田面からの漏水を 危惧して高い水位で管理されたことに対して,平成 19 年度は暗渠からの排水が阻害されない 水位で管理されたことにより水位が下がり,水路内の植生として機能していた畦畔植生まで水面が 上昇せず,繁殖環境がなくなったことが仔稚魚をほとんど確認できない原因と考えられる.一方,

水路

1

は,水路

2

と同様平成

19

年度に麦作が導入され排水路水位が低下し,ミナミメダカの繁殖 環境が消失されたことが予想された.しかし,図

21

の体長分布図から平成

19

年度も体長

20mm

未 満の仔稚魚が相当数確認された.これは,水路

1

の上流のビオトープ池で繁殖した仔稚魚が流下 したことによるものと思われる.なお,図

23

からも分かるように,平成

18

年度と

19

年度とも灌漑期の 排水路水位が高く管理された水路

3

では,両年度の体長分布に大きなお傾向変化はなく,この水 路内でミナミメダカの繁殖と生育が安定的に繰り返されていることが示されたといえる.

52

20 ビオトープ池におけるミナミメダカの体長分布(平成 19

年度)

21 水路 1

におけるミナミメダカの体長分布

22 水路 2

におけるミナミメダカの体長分布

53

23 水路 3

におけるミナミメダカの体長分布

54

(3) ギンブナの生息状況

平成

18

5

月には,日雨量

100mm

を超える降雨が観測されている.この降雨時に水路

1

及び

2

において,ギンブナが遡上するのを目視で確認している.その後,多数のギンブナの仔稚魚が捕 獲されるようになった.図

24,25

から中干しまでの灌漑前期は仔稚魚が多く,中干し後は成魚が多く なる傾向がわかる.しかし,平成

19

年度には,遡上個体も繁殖個体も確認することはできなかっ た.この原因として,通常の降雨時には排水路水位が上昇しても水路内の落差が解消されず遡上 できなかったこと,水路内に産卵床となる植生がなかったことなどが考えられる.

24 水路 1

におけるギンブナの体長分布(平成

18

年度,n=315)

25 水路 2

におけるギンブナの体長分布(平成

18

年度,n=255)

55

水路1と水路

2 における魚類の調査結果から,

平成

18

年度に繁殖した仔稚魚は,降雨時に 落口工より下流へ流下し,水路内で越冬しなかったと推定される.一方,水路

3

の捕獲数はほとん ど変化しておらず,ギンブナは水路内で定着していた.これより,水路内で繁殖や生息できる環境 が必要となるだけではなく,水路内の落差部に水路魚道を設けること,さらに,水路の一部に遊泳 力の乏しい魚種や仔稚魚が生息できる区間を設け,そこが越冬地として機能するよう水深の確保 に配慮できれば,ギンブナの繁殖も可能になると考えられる.これは,類似した生活史を有するオ イカワやコイについても同様のことが言える.

以上のことから,水路内の魚類が減少した要因は,水深が低下したことによって畦畔植生が生 息場所として利用できなくなったこと,下流部に遡上が困難な落差の発生,および定着・越冬の拠 点となるような場所の欠如にあるといえる.とくに水路内の植生は,産卵床となるだけでなく,植生 の内部は流速が低下し遊泳能力の低い仔稚魚の隠れ場となるため,上記の問題点の解決には非 常に重要である.また,植生に付着した藻類などが餌となるなど多面的な役割を果たしている.

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ドキュメント内 環境配慮型水路における魚類相の変化 (ページ 49-59)

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