第 4 章 実験
4.3 提案高階ポテンシャルを用いたセグメンテーション
4.3.8 高階平滑化項
Ground Truth 座標固定なし 座標固定あり 座標固定なし 座標固定あり 図 4.9: 基準となるボクセルのz 座標を固定した場合とそうでない場合の比較.左から 2 番目と3 番目は2 ボクセル間の距離|−→
d| が 1,左から 4 番目と5 番目は2 ボクセル間 の距離 |−→
d|が 30 のときの結果である.
実験を行った.提案ポテンシャルのクリークの 2 ボクセル間の距離 |−→
d| を 1と 30の 2 通りにしてセグメンテーションした結果を図4.9に示す.座標の固定によって,セグメン テーション結果を改善することは出来なかった.
Ground Truth Esmooth を用いた時 EHSL を用いた時 図 4.10: Esmooth を EHSL に変えた時とそうでない時の比較.
Ground Truth wsmooth=0.1 wHSI = 0.1 wHSI = 1
図 4.11: Esmooth を EHSI に変えた時とそうでない時の比較.EHSI は 2通りの重みで示し ている.
固定し,ボクセル間は 50 ボクセル離してクリークを構成して実験を行った.2 通りの wHSC で試してみたが,どちらも上手くセグメンテーション出来ていない.
Ground Truth wsmooth=0.1 wHSC = 0.05 wHSC= 0.1 図 4.12: Esmooth を EHSC に変えた時とそうでない時の比較.EHSC は 2 通りの重みで示 している.
Ground Truth wsmooth=0.1 wHSC= 0.1 wHSC= 0.6
図 4.13: Esmooth をボクセル間が離れたクリークの EHSC に変えた時とそうでない時の比
較.EHSC は 2 通りの重みで示している.
図 4.14: 肝臓を含むと考えられる領域.白い枠線に囲まれた領域が肝臓を含むと考えら れる領域である.白い枠線に囲われた範囲内にのみクリークを登録する.
4.3.9 CT 画像の輝度勾配を考慮した高階ポテンシャル
3.3.4節で提案したエネルギーEHを用いて実験を行う.このとき,エネルギー関数は,
E(L;X) =watlasEatlas(L) +wdataEdata(L;X) +wsmoothEsmooth(L;X) +wHEH(L) (4.17) となる.セグメンテーション実行時は,各項の重みパラメータを watlas = 1, wdata =
1, wsmooth = 10 に固定し, wH を様々な値に変更して実験を行った.
まず,L′ =Lliver として実験を行った場合について示す.本実験では,提案ポテンシャ
ルのクリークを 6 個のボクセルが x 方向に連続して並んだ配置として定義することに よって, x 方向に並んだボクセル間に存在するエッジの情報をセグメンテーションに取 り入れた.この場合は,5階のポテンシャルに該当する.また,クリークの登録範囲を全 身でなく一部に絞ることで,提案ポテンシャルが作用することを意図していない部分へ 提案ポテンシャルが影響することを出来る限り防いだ.本実験では肝臓の確率アトラス 情報にもとづき,肝臓が存在するであろう範囲にクリークを登録した.図4.14がクリー クの登録される範囲を示している.白い枠線に囲まれた領域が肝臓を含むと考えられる 領域であり,この範囲内にのみクリークが登録される.
セグメンテーション精度の計算結果を表4.1および表4.2に示す.実験に用いた症例数 は,全 24 症例とその半分の数の 12症例の 2 通りある.12 症例は,高階ポテンシャル を用いていない時のセグメンテーション結果(以下ベース結果と呼ぶ)の全臓器または 肝臓のセグメンテーション精度が下から 12個の症例を選択することによって構成してい る.表4.1では全 24症例のセグメンテーション精度の平均値,表4.2では半分の12症例
表 4.1: 全症例の Jaccard index の平均 (L′ = Lliver). wH = 0 の時がベース結果に対応 している.
wH 0 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
all 0.7654 0.7641 0.7637 0.7634 0.7629 0.7621 0.7616 liver 0.7788 0.7739 0.7725 0.7711 0.7691 0.7661 0.7636
表 4.2: 半分の症例の Jaccard index の平均 (L′ =Lliver). wH = 0 の時がベース結果に 対応している.
wH 0 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
all 0.6974 0.7001 0.7003 0.7006 0.7007 0.7006 0.7006 liver 0.7130 0.7233 0.7240 0.7246 0.7244 0.7235 0.7228
のセグメンテーション精度の平均値を示している.全24症例を用いてセグメンテーショ ンを行った場合は,高階ポテンシャルの導入によるセグメンテーション精度の向上は見 られなかったが,12症例を用いてセグメンテーションを行った場合は,高階ポテンシャ ルを加えることにより,精度の向上が見られた.
セグメンテーション結果を図4.15と図4.16に示す.横列は同じ症例を示し,縦列は左
から CT 画像, Ground Truth,ベース結果,高階ポテンシャルを加えた時のセグメン
テーション結果の順に示している.高階ポテンシャルを加えた時のセグメンテーション 結果は,高階ポテンシャルの重みパラメータが最適な時の結果を示している.重みパラ メータは,図4.15では上の症例から, 1.5,0.5,0.5 となっており,図4.16は図4.15の一 番上の症例の結果を異なるスライス面で表示したものである.いずれも肝臓左葉部分の セグメンテーション精度が改善されていることが分かる.
また,x 方向だけではなく,y 方向とz 方向に連続して並んだ配置のクリークで定義 されている提案ポテンシャルを同時に用いてセグメンテーションを行った実験について 示す.クリークの配置以外は前述の実験と同じ条件で行った.
セグメンテーション精度の計算結果を表4.3および表4.4に示す.x方向のみの場合と 同じく,全 24症例を用いてセグメンテーションを行った場合は,高階ポテンシャルの導 入によるセグメンテーション精度の向上は見られなかったが,12症例を用いてセグメン テーションを行った場合は,高階ポテンシャルを加えることにより,精度の向上が見ら れた.
セグメンテーション結果を図4.18と図4.19に示す.高階ポテンシャルを加えた時のセ グメンテーション結果は,高階ポテンシャルの重みパラメータが最適な時の結果を示し ている.重みパラメータは 0.4であり,図4.19は図4.18の症例の結果を異なるスライス
CT 画像 ground truth ベース結果 高階ポテンシャルあり
図 4.15: セグメンテーション結果 (L′ = Lliver). 重みが最適な時のセグメンテーション 結果を 3 症例示している.高階ポテンシャルの最適な重みは,それぞれ wH = 1.5, 0.5, 0.5.
CT 画像 ground truth ベース結果 高階ポテンシャルあり
図 4.16: 異なるスライス面のセグメンテーション結果 (L′ =Lliver). xy 面でのスライス 画像を示している.
wH = 0 wH= 0.5 wH= 1.0 wH= 1.5 wH= 2.0 図 4.17: 異なる重みパラメータの時のセグメンテーション結果の例 (L′ =Lliver).wH= 1.5の時が最適である.
表 4.3: 全症例のJaccard indexの平均 (L′ =Lliver,クリークは 3方向に登録). wH = 0 の時がベース結果に対応している.
wH 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
all 0.7654 0.7646 0.7640 0.7628 0.7610 0.7580 0.7546 liver 0.7788 0.7765 0.7737 0.7690 0.7617 0.7497 0.7358
面で表示したものである.肝臓左葉のみでなく,肝臓右葉下部のセグメンテーション精 度も改善されていることが分かる.
次に, L′ = {Lliver, Lstomach, Lspleen, Lpancreas} として実験を行った場合について示す.
提案ポテンシャルのクリークは 6 個のボクセルがx 方向に連続して並んだ配置として定 義した.
セグメンテーション精度の計算結果を表4.5および表4.6に示す.全24症例のときは,
胃と膵臓のみセグメンテーション精度の向上が見られた.12症例のときは,全臓器,肝 臓,胃,膵臓のセグメンテーション精度が良くなった.胃と膵臓に関しては,さらにエ ネルギーを大きくしても精度の向上が見られた.
セグメンテーション結果を図4.20と図4.21に示す.高階ポテンシャルを加えた時のセ グメンテーション結果は,高階ポテンシャルの重みパラメータが最適な時の結果を示し ている.重みパラメータは 0.8であり,図4.21は図4.20の症例の結果を異なるスライス 面で表示したものである.肝臓の左葉部分や膵臓,胃で精度の改善が見られるが,胃の
表 4.4: 半分の症例の Jaccard index の平均 (L′ = Lliver,クリークは 3 方向に登録).
wH= 0 の時がベース結果に対応している.
wH 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
all 0.6974 0.6997 0.7005 0.7006 0.7005 0.6988 0.6964 liver 0.7130 0.7221 0.7255 0.7255 0.7232 0.7154 0.7072
CT 画像 ground truth ベース結果 高階ポテンシャルあり
図4.18: セグメンテーション結果(L′ =Lliver,クリークは3方向に登録). 重みが最適な 時のセグメンテーション結果を示している.高階ポテンシャルの最適な重みは,wH= 0.4.
CT 画像 ground truth ベース結果 高階ポテンシャルあり
図 4.19: 異なるスライス面のセグメンテーション結果 (L′ =Lliver,クリークは 3方向に 登録). xy 面でのスライス画像を示している.
表 4.5: 全症例のJaccard index の平均(L′ ={Lliver, Lstomach, Lspleen, Lpancreas}). wH = 0 の時がベース結果に対応している.
wH 0 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
all 0.7654 0.7638 0.7634 0.7631 0.7623 0.7612 liver 0.7788 0.7740 0.7727 0.7713 0.7693 0.7663 stomach 0.2165 0.2691 0.2755 0.2841 0.2847 0.2886 pancreas 0.1799 0.2401 0.2518 0.2571 0.2605 0.2633
表 4.6: 半分の症例の Jaccard index の平均 (L′ = {Lliver, Lstomach, Lspleen, Lpancreas}).
wH= 0 の時がベース結果に対応している.
wH 0 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
all 0.6974 0.6981 0.6982 0.6983 0.6980 0.6975 liver 0.7130 0.7234 0.7242 0.7248 0.7247 0.7237 stomach 0.1312 0.1699 0.1753 0.1828 0.1878 0.1915 pancreas 0.0968 0.1438 0.1541 0.1625 0.1700 0.1708 内容物のラベルが胃のラベルによって塗りつぶされる弊害も起きている.
また,x 方向だけではなく,y 方向とz 方向に連続して並んだ配置のクリークで定義 されている提案ポテンシャルを同時に用いてセグメンテーションを行った実験について 示す.クリークの配置以外は前述の実験と同じ条件で行った.
セグメンテーション精度の計算結果を表4.7および表4.8に示す.x方向のみの場合と 同じく,全 24 症例のときは,胃と膵臓のみセグメンテーション精度の向上が見られた.
12症例のときは,全臓器,肝臓,胃,膵臓のセグメンテーション精度が良くなった.胃 と膵臓に関しては,さらにエネルギーを大きくしても精度の向上が見られた.
セグメンテーション結果を図4.22と図4.23に示す.高階ポテンシャルを加えた時のセ グメンテーション結果は,高階ポテンシャルの重みパラメータが最適な時の結果を示し ている.重みパラメータは 0.4であり,図4.23は図4.22の症例の結果を異なるスライス 面で表示したものである.肝臓の左葉部分や脾臓で精度の改善が見られるが,胃の内容 物のラベルが胃のラベルによって塗りつぶされる弊害も起きている.
CT 画像の輝度勾配を考慮した高階ポテンシャルについては,どの実験についても,
症例間でのセグメンテーション精度の変化にかなりの差があった. CT 画像の輝度勾 配を考慮した高階ポテンシャルの導入により,精度が悪化する症例も多く見られた.全 ての症例について改善が見られるポテンシャルを見つけ出すことは出来ていない.