第 4 章 実験
4.3 提案高階ポテンシャルを用いたセグメンテーション
4.3.1 アルゴリズム
本研究では,エネルギー最小化にグラフカットを使用する.また,QPBOを用いるこ とにより,劣モジュラ条件を満たさない時でもエネルギーの最小化を可能にする.セグ メンテーションにおいて扱うラベルは多値であるので,Fusion-move を用いることによ り,近似的に多値のセグメンテーションを行う.エネルギーの定義に高階のポテンシャ ルを用いる際は, Fix の階数削減[25]のコードを用いることにより,高階のエネルギー を 1 階のエネルギーに階数を落としてエネルギー最小化の計算を行う.
4.3.2 セグメンテーション結果の評価方法
セグメンテーション結果を評価する際には,正しいラベル付けがされた画像である
Ground Truth とセグメンテーションによってラベル付けされた画像の一致率を計算す
る.評価の尺度としては,Target Overlap, Jaccard Index,Dice Index,Recall rate,
Precision rate などがある[26][27].
Ground Truthでラベルr が割り振られているボクセルの集合をTr,セグメンテーショ
ンによってラベル r が割り振られたボクセルの集合を Srとすると
{ | }
図 4.3: L字型の 3ボクセル間の相互情報量の計算結果. −1 に近いほど,ボクセル間の ラベルに相関があると考えられる.
と表すことができ,
Sr⊂ L, Tr ⊂ L (4.2)
となる.このとき,背景のラベルであるr = 0 は計算に含めない.
各尺度での一致率の計算式は以下のようになる.
• Target Overlap
ラベル r のみの一致率
T Or = |Sr∩ Tr|
|Tr| . (4.3)
全ラベルの一致率
T O=
∑
r|Sr∩ Tr|
∑
r|Tr| . (4.4)
• Jaccard Index
ラベル r のみの一致率
J Ir= |Sr∩ Tr|
|Sr∪
Tr|. (4.5)
図 4.4: 2ボクセル間の相互情報量の計算結果.相互情報量が大きくなる距離をセグメン テーションに用いた方が良いと考えられる.
全ラベルの一致率
J I =
∑
r|Sr∩ Tr|
∑
r|Sr
∪Tr|. (4.6)
• Dice Index
ラベル r のみの一致率
DCr = 2 |Sr∩ Tr|
|Sr|+|Tr|. (4.7)
全ラベルの一致率
DC = 2
∑
r|Sr∩ Tr|
∑
r|Sr|+∑
r|Tr|. (4.8)
また,Ground Truthと一致するボクセルの数を TP,Ground Truthと一致しないボク セルの数を FP,Ground Truth から見落とされたボクセルの数をFNとすると,Recall rate と Precision rate は次のように計算される.
Recall rate = TP
TP + FN, (4.9)
Precision rate = TP
TP + FP. (4.10)
Recall rate は, Ground Truth のうち,再現された割合, Precision rate は,セグメン テーション結果のうち, Ground Truthと一致した割合を示している.
本研究では,これらの尺度のうち, Jaccard Index を用いて結果の評価を行う.
4.3.3 ポテンシャル関数の学習
実験に使用するポテンシャル関数のうち,アトラス項とデータ項では, CT 画像と
Ground Truth からの学習が必要となる.
アトラス項
アトラス項で必要な統計は,座標v0(x, y, z)にラベルlが存在する確率 P(Lv0 =l|v0 ∈ (x, y, z))である.学習に使用できるCTの症例が N 人分あるとする.座標v0(x, y, z)に ラベル l が出現する頻度を nl,v0 とすると,
P(Lv0 =l|v0 ∈(x, y, z)) = nl,v0
N (4.11)
を計算することによって取得される.
データ項
データ項で必要な統計は,確率 P(Xv0 |Lv0) である.Ground Truth でラベル l が付 けられているボクセルの数をnl ,ラベル l が付けられているボクセルのうち,CT 値が x であるボクセルの数をnx,l とすると,
P(Xv0 =x|Lv0 =l) = nx,l
nl (4.12)
を計算することによって取得される.