Research aimed at improving communication skills of junior college students through collaborative internship with high school students and foreigners
研究グループ代表者名
手嶋 康則(TESHIMA YASUNORI)短期大学部キャリア開発学科・准教授(平成 27 年度)
渡邉 公章(WATANABE HIROAKI)短期大学部キャリア開発学科・教授(平成 28 年度)
共同研究者名
梶田 鈴子(KAJITA SUZUKO)短期大学部キャリア開発学科・教授
岸川 公紀(KISHIKAWA KOUKI)短期大学部キャリア開発学科・准教授
手嶋 康則(TESHIMA YASUNORI)短期大学部キャリア開発学科・准教授(平成 28 年度)
藤島 淑恵(FUJISHIMA TOSHIE)短期大学部キャリア開発学科・講師
渡邉 公章(WATANABE HIROAKI)短期大学部キャリア開発学科・教授(平成 27 年度)
研究成果の概要
インターンシップをテーマとした本研究は、前回の研究「必修化に向けた取り組み」に続き、今回は質の強化を掲げ、
外国人や高校生との協働により、本学科生のコミュニケーション力の向上を図るということを目的とした。それはイ ンターンシップを経験する中で外国人との協働においては自らが主体的に外国人に接することができるようになるこ と、高校生との協働においてはリーダーシップをとれるようになることである。
質の向上については、学生に自己評価をさせている実習前後の「社会人基礎力」のアンケートの結果を分析するこ とで、インターンシップがもたらす社会人基礎力の向上を明らかにするとともに、今後の課題についての検討を行った。
高校生との協働においては、高校側と実施を検討してきたものの、諸般の事象により実施には至っていない。
グローバルインターンシップにおいては、ベトナムでの海外インターンシップおよび協定校である韓国の東元大学 校における海外インターンシップの可能性について探った。
また、平成 29 年度に向けてカリキュラムの改定を行い、これまで行ってきた「インターンシップ(夏季)」と「イ ンターンシップ(春季)」を「インターンシップⅠ」と位置づけ、さらにそれを発展させる「インターンシップⅡ」を 新規開講することとした。
研究分野:教育社会学、進路キャリア形成、キャリア教育
キーワード:インターンシップ、高大連携、産官学連携、グローバルインターンシップ、社会人基礎力
1.研究開始当初の背景
キャリア開発学科では、平成 19 年度よりインターン シップを実施している。平成 23 年度までの 5 年間は定 員制(50 名)の選択科目であり、春季のみで実施して いた。しかし、学生アンケートや実習後のフィードバッ ク面談で、学生に働くことに対する「気づき」があるこ とや、実習後の勉学や就職活動に対する積極性がさらに 向上していることが分かり、1年間の試行期間を経て、
平成 25 年度より必修科目としている。
インターンシップの狙いの一つに社会人基礎力の向上 がある。実習後に学生が社会人基礎力を伸長させている ということが感じられたため、実習前と実習後に学生自
身によるアンケート調査を行い、インターンシップが社 会人基礎力の向上にどの程度影響しているかを明らかに することとした。
また、高校生や外国人との協働によるインターンシッ プを通し、コミュニケーション力を向上させることがで きると考え、それらの実施に向けて検討、準備すること とした。
2.研究目的
これまでは、国内(福岡市内)の企業・団体で、事務 職や販売職を主とした職場体験型のインターンシップを 実施してきたが、このプロジェクト研究では、この実習
プロジェクト研究 研究成果報告書 第5号
に加え、新たに本学科の学生と高校生または外国人と働 くという、協働型インターンシップを通じ、短大生のコ ミュニケーション力の向上につながる職場環境を開拓す ることが目的である。この研究では、次に掲げる3つの 視点から調査・研究を行うこととした。
① 社会人基礎力の自己評価を基に、インターンシッ プの質の向上を目指す
② 高校生と短大生の高大合同インターンシップを通 して、マナー力やコミュニケーション力を涵養(成 熟)する
② グローバルインターンシップの取り組みを通して、
異文化交流を図り、外国人との相互理解を深める
3.研究実施計画・方法
(1)インターンシップの質の向上について
経済産業省が提唱する「社会人基礎力」について、実 習前後に実施している学生アンケートによる自己評価の 分析を行う。
(2) 高校生と短大生の高大合同インターンシップにつ いて
学科の教育目標の一つに「社会的存在としての自己と 他者との関わりあいを理解させるとともに、複雑化する 人間関係を円滑にするための、適切な自己表現やコミュ ニケーションができる社会人を育成する」と謳っている。
高校生と合同のインターンシップを行うことにより、よ り高いコミュニケーション能力が必要となるとの考えの 下、高大合同インターンシップの実施に向けた準備を行 う。
具体的には、A 高校との合同インターンシップの実施 に向けた企画を行う。また、就業体験の研修後に行う「イ ンターンシップ・グランプリ」に、グランプリに選出さ れた学生の出身校である進路指導担当教諭を招聘し、
キャリア開発学科のインターンシップの取組みを紹介す ることで、高校側に本学科の取組みを知ってもらい、合 同インターンシップの実施の可能性を探る。
(3)グローバルインターンシップの取組み
① 「外国人との接点を創造するグローバルインター ンシップ(国内編)について」
インターンシップの受入先として、海外ビジネスを 展開中の国内企業や外資系の企業、もしくは外国人と 接する機会の多い企業及び団体を新規開拓しながら、
グローバルインターンシップを実施する。
② 「外国人との接点を創造するグローバルインター ンシップ(国外編)について」
ベトナムにおける、海外インターンシップの実施の 可能性を探る。
4.研究成果
(1)インターンシップの質の向上について
詳細については、中村学園大学・中村学園大学短期大 学部研究紀要第 49 号「社会人基礎力で見るインターン シップの効果と課題-短期大学生の場合-(藤島ほか 2017)」で報告している。(参照:リポジトリ サイト https://nakamura-u.repo.nii.ac.jp/)
今回のプロジェクト研究では、夏季と春季におけるイ ンターンシップの実習前後に行った「社会人基礎力の自 己評価のアンケート」の分析から、以下のことが明らか となった。
① 夏季実習生は、事後に社会人基礎力の自己評価が 低くなり、春季実習生は変化がないことが分かった。
また内定者と未内定者では変化がみられないもの の、夏季実習生と春季実習生に分けてみると、同じ く夏季実習生は自己評価が事後に低くなっており、
春季実習生は変化がないことが分かった。その要因 として夏季実習生は、アルバイト経験が全くない早 期の段階での事前アンケートであり、自己評価が高 い可能性がある。実習を通じて社会で求められる社 会人基礎力のレベルに気づくというのも、インター ンシップの成果の一つであるといえる。
② 夏季実習生は春季実習生より「主体性」をはじめ とする 10 項目で自己評価が高く、積極的な学生が 多いといえる。本学科のインターンシップは必修科 目のため、インターンシップに対し春季実習生には モチベーションが高くない学生がいることが影響し ていると考えられる。春季実習生は夏季実習生より 半年間長く学修をしており、ほとんどの学生がアル バイトの経験をしているということもあるが、夏季 実習生に比べ、実習に対する取組みが消極的であり、
実習前後に差がないということが考えられる。
③ 春季実習生のほうが早期内定率は高かった。これ はインターンシップ終了後の高いモチベーション で、就職活動を始めることができたことが影響して いると考えらえる。言うまでもなく就職活動は主体 的に行動することが重要となるが、インターンシッ プを通じ自ら行動しなくてはいけないことを学び、
行動に繋がったと考えられる。
④ 実習後の調査においては、夏季実習生と春季実習 生の自己評価に差はなくなるので、インターンシッ プを通じ、社会人基礎力のレベルがほぼ同じような レベルになったといえる。
⑤ インターンシップが社会人基礎力に与える影響を 考えると、短大生においては入学後間もない夏季に インターンシップを行うことで、より高い効果が期 待できる。ただし、その効果が「社会で求められる 社会人基礎力のレベルに気づく」というだけでは、
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もったいない。今回は社会人基礎力についてのアン ケート調査の結果であり、インターンシップは社会 人基礎力以外に、職業選択にも大きく影響している ことが考えられる。
また、夏季・春季の事前・事後学習に対する課題が発 見できた。
① 事前研修等で社会に求められる社会人基礎力を理 解させたうえでアンケートを実施する。
② インターンシップは学生自身の取組みによって効 果が大きく変わるのでこれまで以上に教育し、特に 春季実習生への実習に対する心構え等の教育を強化 する。
③ 目標設定についての指導を強化することで、実習 の効果をさらに上げることが課題である。
④ 早期内定者は「実習後の周囲の状況を見て動く 力」、「実習後の課題解決に取り組む力」で有意差傾 向が見られた。これらの因子である事後「主体性」、
「状況把握力」、「傾聴力」、「働きかけ力」、「課題発 見力」、「計画力」、「規律性」の力を伸ばすことがで きるようインターンシップに臨ませる。
(2)高校生と短大生の高大合同インターンシップ
① 「高大連携インターンシップの開拓および運営に ついて」
残念ながら、この高大合同インターンシップについ ては、平成 28 年度に実施する方向で A 高校と協議を 重ねていたが、諸般の事由により実施寸前で中止と なった。しかしながら、本学科の取組みに関心を寄せ ていただいている他校と引き続き、その可能性を探っ ているところである。
(3)グローバルインターンシップの取組み
① 「外国人との接点を創造するグローバルインター ンシップ(国内編)について」
インターンシップの実習先として、外国人観光客が よく利用するホテルおよび国の有形文化財にもなった 和風旅館、そしてフランス人が経営するワインの輸入 販売会社・レストランでのインターンシップを開拓し、
実習を行った。ここで、経験した学生の中には、日常 の中で積極的に外国人観光客に声をかけたり道案内を したりするなど、外国人に主体的に関わるという行動 ができるようになった者がいる。また、就職先として 外国人と関わる職場を希望するようになった学生もい る。
② 「外国人との接点を創造するグローバルインター ンシップ(国外編)について」
流通科学部が平成28年夏に実施したベトナム・ホー
チミンのレオパレス 21 でのインターンシップを候補 先として挙げ、あわせて、ベトナムに進出している福 岡市内の企業を中心にリストアップし、ベトナム・ホー チミンに出張して受け入れの可能性を探った。
レオパレス 21 は、海外事業を本格的に始動させて おり、東南アジア各地に海外支店を続々と開設してい る。また、学校法人営業部も新設し、名古屋商科大学 をはじめとし、積極的に日本の大学生をインターン シップ生として受け入れを始めている。また、平成 29 年 7 月にホーチミン市の商業センター内に開業す る高島屋に、地元福岡の企業である㈱久原本家が出店 することから、事前に福岡市内で受け入れの交渉を重 ね、現地の準備室を訪問して責任者から内諾を得た。
ほかにも、日本人街にも近い日系の企業や日本企業商 工会会員の企業からも、福岡県人会から紹介を受け、
複数の会社からも歓迎するという約束を取り付けた。
具体的な就業体験としては、不動産関連企業であれ ば営業同行や現地駐在の日本人を対象とした立ち合い など、また、インターネット関連の企業ではオフショ ア事業(IT 関連)のベトナム従業員に対する日本語 によるアシスタント作業など、様々な実習が用意でき るとのことで、十分な教育効果を期待できる感触も得 た。
さらに、ベトナムの私立大学生の家庭訪問や現地大 学生との交流会の開催、ホーチミンの福岡県人会の 方々との交流など、様々なサポート体制で準備を進め ることができることが確信できた。
ちなみに、ベトナムの首都ハノイは、福岡県と姉妹 都市でもあり、福岡県・市からも㈱久原本家をはじめ、
㈱八ちゃん堂や西日本鉄道株式会社の海外事業部(ホ テル等)など、ホーチミンに進出している企業は多い。
いずれは、海外でのインターンシップの充実を図るた めに、台湾や成長著しい ASEAN の国々にも広げてい くことも視野にいれておくべきであろうと思われるた め、この出張で構築できた人脈は大事にしたい。
2 年目には、本学の協定校である韓国の東元大学校に 出張し、東元大学校内におけるインターンシップの受 け入れについて交渉を行い、内諾を得ることができた。
高校生や外国人と働く協働型インターンシップを通した短大生のコミュニケーション力の向上を目的とした研究