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キャリア開発学科におけるアクティブラーニング実践についての研究

プロジェクト研究 研究成果報告書 第5号

学科(以下、本学科)としても AL を研究・実践する必 要が出てきた。

2.研究目的

本学科では、これまで「インターンシップ」や「海外 研修」をはじめとした AL 型科目を導入し、一定の成果 をあげてきた。今後、さらに AL を推進していくことが、

教育の質を高めることになると考え、AL を研究課題と して設定した。本研究の目的は、本学科において AL を 推進、活発化させるためには、どのような内容の AL を、

どのように展開していくべきかを検討することである。

3.研究実施計画・方法

(1)アクティブラーニング実践に向けての基礎的研究  ① AL の先進事例の研究

 AL に関する部会やテーマの学会・研修会(「大 学教育学会」「教育開会 ICT 戦略大会」「九州地区 私立短期大学協会『教職員研修会』」)に出席し、

AL の学術的情報や他大学の事例を研究する。

 ② AL 実施形態、内容種類についての研究

 近年、出版が増えた AL に関する書籍、論文を中 心に、AL の実施形態や内容種類についての文献研 究を行う。先行研究を基に、本学科における AL の 実施状況を把握するアンケート調査用紙を作成す る。

 ③ 学科内の AL 実施の現状把握

 アンケート調査を通して、本学科でどのような AL が行われているかの現状把握と、AL 実施に関 する課題を探る。

(2)アクティブラーニングの実践

 平成 27 年度から実施している UR との連携で行う高 齢者支援活動(荒江団地プロジェクト)を実施する。企 画内容、広報活動、運営準備など、より学生が積極的に 関われるように工夫する。適宜 UR と荒江団地自治会と も打ち合わせし、企業・地域とのつながりを重視する。

(3) アクティブラーニングを推進する新カリキュラム作り  AL を推進していくためには既存のカリキュラムで対 応できるのかを検討し、推進に必要な場合は新たなカリ キュラム編成を行う。

4.研究成果

(1) アクティブラーニング実践に向けての基礎的研究

(アンケート調査の結果)

 本研究では先行研究から、AL を「構造の自由度」と「活 動の範囲」の高低により4つの領域(形態)に分類した。

すなわち、(1)知識の定着・確認型、(2)表現型、(3)

応用型、(4)知識の活用・創造型である。本学科で行 われている AL はどの領域のものなのかを知るために、

学科の専任教員と非常勤教員を対象にアンケート調査を 実施した(平成 28 年 3 月)。その結果、多くの教員が AL を実践していた。その背景としては本アンケートで は AL を広義に捉えていること、アンケート項目から教 員自身が自分の教育活動が AL であると再認識したこと も考えられる。

 上記の4つの AL 領域(形態)では「知識の定着・確 認型」が多く実施されていた。小テストやグループワー ク、理解度アンケート、ミニッツ・ペーパーなど、教員 が比較的容易に取り入れられることが理由に挙がられ る。一方、構造の自由度と活動の範囲がより高い「知識 の活用・創造型」(フィールドワーク、体験学修、課題 解決・課題発見学修など)はまだ実施が少ないこともわ かった。その理由としては、クラスサイズの問題、学事 日程・時間割の過密化、教員の多忙化、費用などが推察 できる。AL の深化を考えるとき、学科として「知識の 活用・創造型」AL を積極的に取り入れることが重要で ある。

(2) アクティブラーニングの実践(荒江団地プロジェ クトの結果)

 平成 26 年 10 月に本学とURが包括連携協定を締結 し、URが管理する団地が教育実践の場となる可能性が 生まれた。本学科はキャンパスからほど近い「荒江団地」

でURとの連携による AL(荒江団地プロジェクト)を 開始した。テーマは引きこもりがちな高齢者に外出を促 し、学生あるいは地域住民との交流をしてもらうという ものである。岩田ゼミと酒見ゼミが担当することになっ た。実施の概要は表1の通りである。参加者は高齢者と は限らず、ファミリーや子どもたちだけのグループなど 予期しなかった幅広い年齢層の方々にも参加してもらえ た。

 実施後の学生の振返りレポートから、学生の気づきや 成長は次の4点にまとめられる。

① プロジェクトの企画、運営

 学生はひとつのプロジェクトを企画して実行し ていくうえでのプロセスの難しさを理解すること ができた。仲間たちとの協働作業を通して達成感 を感じた。

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② URとの連携

 通常は学生同士で行っていたプレゼンテーショ ンをURの社員の前で行うことで、発表の難しさ を感じつつ、質問する力がついたと考えていた。

③ 高齢者に対して

 普段あまり接することのない高齢者と話すこと で、幅広い年齢層の方とのコミュニケーションの 必要性や対応する時の注意点を考えた。

④ 地域社会への意識

 自分の住む地域へ視線が向き、プロジェクト参

加後に自分の住む団地のイベントに積極的に参加 する学生がいた。

 こうした気づきや視野の広がりは学外に出て、多様な 人々(企業や団地住民)との交わりから生まれてきたと 考えられる。一定の教育効果があると思われるが、今後 はいかに教育効果を測ればよいかを考えていきたい。な お、荒江団地プロジェクトは平成 29 年度にも実施予定 である。

実施日 担当ゼミ

学生人数 イベント名 内容

平成

27年度

11 月 14 日(土) 酒見ゼミ 11 名

「昔あそびでタイムスリップ 昔あそびをしながら大学生と おしゃべりを楽しみましょう」

お手玉を一緒に作り、おはじ き、お手玉、けん玉など昔の あそびを楽しみながら、おしゃ べりをした。

12 月 5 日(土) 岩田ゼミ 11 名

「動いて作ってわくわくワーク with 中村学園大学短期大学部

〜私たちと一緒に思い出をつ くりましょう」

オリジナル体操の後、「写真た て作り」をし、その後、クイ ズ大会と茶話会をした。

平成

28年度

11 月 12 日(土) 岩田ゼミ

18 名 「つくってわくわく、一足お先

に!クリスマス会」 クリスマスリース作りを一緒 にした。

11 月 26 日(土) 酒見ゼミ 6 名

+ 1 年生有志

「消しゴムはんこで年賀状!大 作戦 2017」

年賀状に使う消しゴムはんこ を作成した。

(3) アクティブラーニング型授業科目(カリキュラム 改定)

 本学科は定期的にカリキュラムを見直し、教育の質の 維持・向上を目指してきた。平成 29 年度入学生から定 員を削減することになり、平成 28 年度からカリキュラ ム改定の議論を重ねた。平成 29 年度入学生(17H 生)

から新しいカリキュラム(以下、新カリキュラム)で教 育活動を行っている。

 改定にあたり検討したポイントがいくつかあるが、ひ とつには「アクティブラーニング(特に「知識の活用・

創造型」AL)をカリキュラムのなかに顕在化させる」

ということがある。それは本学科が AL を積極的に推進 するというカリキュラム上の「意志表明」であり、学生 にも AL の重要性を理解して、AL 型授業に主体的に取 り組んでもらいたいという願いが込められている。

 表2は新カリキュラムのなかでも AL に関わる分野と 授業科目、単位数を示している。学修活動が主に教室や 大学の外で行われる授業科目群を「フィールドワーク分 野」としてまとめた。「インターンシップ」と「海外研修」

は旧カリキュラムにも入っていたが、新カリキュラムで は、「インターンシップⅡ」とし単位数も2単位に増加し、

長期あるいは海外でのインターンシップを想定してい る。旧カリキュラムでは「海外研修」は1科目で2単位 だけだったが、「海外研修Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」と4科目、

系列 授業科目 単位数

フィールドワーク分野

インターンシップⅡ 2

海外研修Ⅰ 1

海外研修Ⅱ 1

海外研修Ⅲ 1

海外研修Ⅳ 1

おもてなし研修 1

フィールドワークⅠ 1 フィールドワークⅡ 1 表2:新カリキュラム(平成 29 年度入学生に適用)

キャリア開発学科におけるアクティブラーニング実践についての研究

表1:荒江団地プロジェクト概要(平成 27 年度、平成 28 年度)

プロジェクト研究 研究成果報告書 第5号

各1単位、合計最大4単位とした。このことで1週間程 度の海外での学びでも単位修得が可能となる。また、認 定単位数が増加することで大学のグローバル人材育成の 方針にも対応できる。

 新カリキュラムでは「おもてなし研修」と「フィール ドワークⅠ・Ⅱ」という科目を新たに設置した。「おも てなし研修」は「おもてなし」をテーマに学外での体験・

活動を学生がすることで単位を修得することができる科 目である。また、「フィールドワーク」はタイムリーなテー マを設定し、授業計画をすることで、フィールドワーク 分野に柔軟性をもたせている。

 「フィールドワーク分野」の8科目で最大合計9単位 まで卒業要件を満たす単位として認定する。卒業要件が 最低 62 単位なので、単純に言えば、学生は卒業単位の 約 15%は学外での AL から得ることができる。この数 字が適切なのかは現時点では判断はできないが、今はよ り多くの学生にフィールドワーク分野の授業への参加を 促し、学外で主体的・積極的に学んでもらいたいと考え ている。

(4)今後の課題と展開

 以上、平成 27 年度〜 28 年度2年間の AL の研究と 実践の報告を行った。AL に関する本プロジェクト研究 は一旦区切りをつけることになる。しかし、本学科の AL への取組が終わりになるわけではない。今後は学内 での授業科目およびフィールドワーク分野の授業科目の なかで、さらに AL の実践を充実させていくことが課題 だと考えている。また、学生にも AL、すなわち主体的・

積極的に学ぶ必要性を理解し、その楽しさを味わい、人 間的な成長をとげ社会へ飛び立って欲しいと願ってい る。

 なお、AL への取組はプロジェクト研究としては「新

カリキュラムにおける効果的な指導法と成績評価基準に 関する研究」(平成 29 年度、研究代表者:岸川公紀)

で継続していく。

5.主な発表論文等

〔雑誌論文〕(計2件)

1) 岩田京子、サービスラーニングの実施準備に関する 一考察-本学科への適応を視野に入れて-、中村学 園大学・中村学園大学短期大学部 研究紀要、第 48 号、PP.241-246、2016、査読なし

2) 岩田京子、酒見康廣、有田真貴子、大塚絵里子、キャ リア開発学科におけるアクティブラーニングの実践 に関する調査報告、中村学園大学・中村学園大学短 期 大 学 部 研 究 紀 要、 第 49 号、PP.243-251、

2017、査読なし

〔その他〕(計1件)

1)成果発表

 岩田京子、キャリア開発学科におけるアクティブ・ラー ニングの促進-実践、研究、カリキュラムの視点から-、

第 23 回中村学園大学・中村学園大学短期大学部 教育 ワークショップ、平成 28 年 9 月 1 日、中村学園大学

6.予算配布額

(金額単位:円)

研究経費 機器備品 合 計 平成 27 年度 510,000 0 510,000 平成 28 年度 410,000 0 410,000 合 計 920,000 0 920,000

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