プロジェクト研究 研究成果報告書 第5号
多様化や、それに伴う食品成分表の収載食品の拡充や栄 養素の増加といった改訂が行われているため、それらに 対応した食物摂取頻度調査法の調査用紙についての再検 討も課題である。
2.研究目的
2002 年に開始された生活習慣病予防のためのゲノム 疫学研究(久山町第 4 コホート集団)の追跡調査として、
毎年実施されている住民健診に参加し、データの収集を 行い、生活習慣病と環境的要因(食事性因子、身体活動 等)との関連を検討することである。
また、久山町研究における食物摂取頻度調査法の調査 用紙について、調査項目、調査食品等の内容の再検討も 本研究の目的である。
3.研究実施計画・方法
(1)住民健診について(平成 27 年度、平成 28 年度)
健診の内容は、血液検査(遺伝子含む)、糖負荷試験、
検尿、計測(身長、体重、腹囲、腰囲、体組成)、血圧 測定、眼科検査、歯科検査、心電図、問診、内科診察、
食習慣調査、身体活動調査、骨密度測定などである。食 習慣調査、骨密度測定については、中村学園大学が担当 し、その他の健診項目は久山町健康福祉課および九州大 学が担当した。骨密度の指標には、超音波骨密度測定装 置 AOS-100(アロカ社製)を用いて、右足中踵骨の骨 内伝導速度と透過指標から音響的骨評価値(OSI)を算 出した。
住民健診において実施された食習慣調査については、
以下のとおりである。
①自記式食事歴法質問票(DHQ)(平成 14 年度)
およそ過去 1 か月間の習慣的な摂取量(栄養素等摂 取量および食品群別摂取量)について推定した。久山町 健康福祉課より事前に各個人へ調査票を郵送し、健診時 に記入したものを管理栄養士・栄養士が面接し、内容の 確認を行った。
②半定量的食物摂取頻度調査法(城田ら)(平成 24 年度)
食品の 1 週間当たりの摂取頻度および 1 回あたりの 摂取量を調査し、栄養素等摂取量および食品群別摂取量 を推定した。久山町健康福祉課より事前に各個人へ調査 票を郵送し、健診時に記入したものを管理栄養士・栄養 士が面接し、内容の確認を行った。
(2)世帯調査(秤量記録法による栄養調査)(平成 26 年度)
久山町住民の中から無作為に抽出し同意の得られた世 帯を対象に、国民健康・栄養調査の方法に準拠し、個人
別に秤量記録法(1 日間)にて実施した。調査は、管理 栄養士・栄養士が戸別に訪問し、聞き取りを行い記入内 容の確認等を行った。栄養素等の計算は「日本食品標準 成分表 2010」を用いた。
(3)食物摂取頻度調査法の調査用紙の改訂
これまでの半定量的食物摂取頻度調査法(城田ら)の 調査用紙をベースとし、日本国内の疫学研究において使 用されている栄養調査について文献調査を行い、調査項 目、調査食品の見直しを行った。また、久山町において 10 年ごとに実施されている住民の世帯別秤量栄養調査 の成績を用い、各食品群のポーションサイズの見直しお よび荷重平均食品成分表の改訂を行った。さらに、調査 用紙の質問項目・食品の順序や摂取量の見本レイアウト を再検討した。
4.研究成果
(1)平成 27・28 年度度健診結果
平成 27 年度の住民健診は、6 月 26 日から 8 月 29 日までの25日間実施された。生活習慣に関するアンケー ト調査および骨密度(OSI)測定は、男性 1,135 名、女 性 1,461 名の合計 2,596 名が受診した。骨粗鬆症財団 の判定基準によって OSI を判定した結果、精密検査の 必要なもの(要精検)と判定されるものは、男性 4.0%、
女性 30.7%と女性が多かった。健診参加者で OSI の正 常者は、男性 75.2%、女性 32.9%であった。
平成 28 年度の住民健診は、6 月 24 日から 8 月 22 日までの26日間実施された。生活習慣に関するアンケー ト調査および骨密度(OSI)測定は、男性 1,166 名、女 性 1,480 名の合計 2,646 名が受診した。骨粗鬆症財団 の判定基準によって OSI を判定した結果、精密検査の 必要なもの(要精検)と判定されるものは、男性 3.2%、
女性 24.0%であった。
(2)平成 14 年度(第 4 集団)の横断研究について
① 認知機能とエネルギー産生栄養素(PFC エネルギー比 率)との関連について
認知機能との関連について、PFC エネルギー比率にお いて検討した。認知機能は、改訂長谷川式簡易知能評価 ス ケ ー ル(HDS-R) と Mini-Mental State Examination
(MMSE)により評価した。その結果、炭水化物エネルギー 比率や脂質エネルギーとの関連は示さなかった。一方で、
穀類エネルギー比については、最も摂取量の低い群に比 べ第 3 分位群である中等度の摂取群で有意なリスク低 下がみられたが、摂取量そのものは有意な関連を示さず、
摂取量よりも 1 日の摂取エネルギー量に占める割合が 重要であることが示唆された。また、砂糖由来のエネル ギー比率や菓子類由来のエネルギー比率、Glycemic
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Index(GI)、Glycemic Load(GL)といった他の炭水化 物関連の因子についても検討したが、同様に関連はみら れなかった。
②認知機能と食行動との関連について
認知機能と食行動(外食習慣、欠食習慣、食べる速さ)
との関連について検討した。その結果、外食習慣、欠食 習慣、食べる速さのいずれも認知機能と有意な関連は示 さなかった。
(3)久山町住民の食物消費構造の 50 年間の変化について 対象は福岡県糟屋郡久山町の住民の中から無作為に抽 出し同意の得られた 63 世帯 153 名(男性 70 名、女性 83 名)である。栄養調査は、国民健康・栄養調査の方
(4)食物摂取頻度調査法の調査用紙の改訂
調査項目については、これまで調査していなかった、
きのこ類、種実類を追加し、さらにノンアルコールビー ルや嗜好飲料類などを細分化し、59 項目から 89 項目 へと増加した。また、調査用紙については、自記にて回 答できる様に見開き左ページ側にポーションサイズの写 真を配置し、右ページ側に回答欄を設けたレイアウトを 基本構成とした。今後は、調査用紙の妥当性、再現性の 検討が今後の課題である。
法に準拠し、個人別に秤量記録法で、平成 26 年 11 月 中の 1 日間実施した。調査は、管理栄養士・栄養士が 戸別に訪問し、聞き取りを行い記入内容の確認等を行っ た。栄養素等の計算は「日本食品標準成分表 2010」を 用いた。食物消費構造の検討には、因子分析の主因子法 を用い、因子負荷量および因子得点を算出した。
全国平均の食物消費構造の推移は、昭和 40 年の主食 偏重型の食事パタンから、近代型の食事パタンへと推移 してきた。一方で、久山町では、全国平均と同様に昭和 40 年の主食偏重型の食事パタンから、昭和 60 年には 近代型へと推移したが、その後副食多食型へと推移して きており、より望ましい食事パタンであることが窺えた
(図 1)。
5.主な発表論文等
〔雑誌論文〕(計 1 件)
1) Tsuruya K, Fukuma S, Wakita T, Ninomiya T, Nagata M, Yoshida H, Fujimi S, Kiyohara Y, Kitazono T, Uchida K, Shirota T, Akizawa T, Akiba T, Saito A, Fukuhara S: Dietary patterns and clinical outcomes in hemodialysis patients in Japan: a cohort study.
PLoS One. 2015 Jan 21;10(1):e0116677. doi:
10.1371/journal.pone.0116677. eCollection 2015, 査読有 .
久山町における栄養疫学研究
図 1 食物消費構造の変化の比較
プロジェクト研究 研究成果報告書 第5号
〔学会発表〕(計 2 件)
1) 内田和宏、城田知子、八田美恵子、安松香織、川原 愛弓、吉永伊織、清原裕:久山町住民の栄養素等摂 取量、食品群別摂取量の 50 年間の変化-久山町研 究-.第 62 回日本栄養改善学会学術総会,平成 27 年 9 月,福岡国際会議場(福岡).
2) 川原愛弓、内田和宏、城田知子、八田美恵子、安松 香織、津野崎希、吉永伊織、森脇千夏、清原裕:中 高年齢者の骨密度減少の実態とその関連要因に関す る縦断的研究.第 62 回日本栄養改善学会学術総会,
平成 27 年 9 月,福岡国際会議場(福岡).
〔産業財産権〕
○出願状況(計 0 件)
○取得状況(計 0 件)
6.予算配布額
(金額単位:円)
研究経費 機器備品 合 計 平成 27 年度 850,000 0 850,000 平成 28 年度 700,000 0 700,000 合 計 1,550,000 0 1,550,000
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