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中高年齢者を対象とした就労支援の本市の取組

第1章 相模原市の中高年齢者を取り巻く就労環境と市の取組

3 中高年齢者を対象とした就労支援の本市の取組

平成 16(2004)年に改正された職業安定法により、これまで国が主体となって実施されてきた無料職業紹介 事業が、地方公共団体の自らの施策に関する業務に附帯して行う無料職業紹介事業については、届出すること により地方自治体でも実施することが可能となった。現在では、就労支援に関する国と地方自治体の役割分担 が明確化され、地域の雇用対策は地域の実情を踏まえ、地域で実施していくことが求められている。

ここでは、他政令市の取組状況も踏まえながら、本市の就労支援の取組について取りまとめる。

(1)就労支援に関する本市の取組

①本市の就労支援に関する取組の全体像

新・相模原市総合計画では、本市が目指す雇用・就労に関する将来像は、「①市内での雇用機会が確保 されている、②市民がいきがいとゆとりを持って仕事ができる」としており、年齢に関係なく、働く意欲 のある人が安心して働ける環境整備を目指している。具体的には、総合就職支援センターでの支援を中心 に若者、ニート・フリーター就労支援事業やハローワークと連携した職業紹介事業、障害者支援センター 松が丘園を中心とした障害者就労支援等、ハローワーク等の公的な就労支援制度を利用した求職活動が難 しい人に対してきめ細やかな支援(寄り添い型)を行うことを基本に様々な事業を実施している。

中高年齢者に対する就労支援は大きく 2 つに分類され、一般的な就労を目指す中高年齢者への支援を相 模原市就職支援センター及びハローワークで、福祉的要素の強い生きがい就労を主たる目的とした高齢者

(60 歳以上)支援をシルバー人材センターで行っている。

図表 1-28 本市の就労支援相関図

その他の⽀援機関(例)

職業訓練施設等 神奈川障害者職業能⼒開発校 かなテクカレッジ など

発達障害⽀援センター

かながわ総合しごと館 ハローワークプラザよこはま 新卒応援ハローワーク

就労相談⽀援

若年者

雇用政策課

学生・新卒未就職者等 就労⽀援事業

サガツクナビ

ひとり親

各こども家庭相談課 こども家庭相談員

との相談

⺟⼦・⽗⼦⾃⽴⽀援 プログラム策定事業

こども⻘少年課

⺟⼦家庭等⾃⽴⽀援給付⾦事業

⾼卒程度認定試験合格⽀援事業

⼥性 外国⼈

・ 新卒

未就職者

発達障害

総合就職⽀援センター 就職⽀援センター

ハローワーク職業紹介・

相談コーナー 若者サポートステーション/

パーソナル・サポート・センター キャリアカウンセリング・職業紹介

求職者⽀援講座 など

⾼齢者

生きがい就労 シルバー⼈材センター

生きがい就労の 相談・提供

就労継続⽀援事業所 就労移⾏⽀援事業所 障害福祉サービス

(訓練等給付)

神奈川障害者 職業センター

就労相談・

職業能⼒評価等 障害者⽀援センター松が丘園

就労援助センター事業 障害者就業・

生活⽀援センター事業 無料職業紹介事業

生活保護受給者

ハローワーク相模原 専門援助部門(障害者・外国⼈)

学卒担当⺟⼦・就職⽀援コーナー

わかもの⽀援窓口 相模大野職業相談コーナー マザーズハローワーク相模原 相模原ジョブスポット南・中央

さがみはら新規大学等卒業予定者就職面接会

就 職 困 難 者 等 へ の 就 労 ⽀ 援

各生活⽀援課

⾃⽴⽀援プログラム ケースワーカーによる⽀援

障害者

生活保護受給

生活困窮者

⾃⽴⽀援相談窓口

⾃⽴相談⽀援 就労準備⽀援 住居確保給付⾦ など

②本市の中高年齢者に対する就労支援は他政令市と概ね同様である

本市の中高年齢者に対する就労支援は、前述のとおり大きく 2 つに分類されるが、他の政令市ではどの ような支援を行っているのであろうか。各市のホームページで紹介されている内容や雇用対策所管課から 聞き取り調査した結果で中高年齢者に対する就労支援の取組状況を比較してみたい。

図表 1-29 は、各市の中高年齢者に対する就労支援策を取りまとめたものである。各市の取組状況をみ てみると、本市の就職支援センターのような就労支援施設を市で設置しているのは 9 市(表中②)であり、

その施設で概ね本市と同じ支援を行っている。一方、市で就労支援施設を設置していない 10 市は、市内 には国や都道府県が設置する就労支援施設や就労支援事業を行う組織(産業振興財団や雇用開発協会等)

が所在しており、市が設置して行う就労支援と同等のサービスを市民は享受できるようになっている。

また、高年齢者に特化した施設を設置しているのは、名古屋市と北九州市の 2 市のみで、両施設とも職 業紹介事業は行っていないものの、隣接のハローワークやシルバー人材センターと連携し、年齢に応じた きめ細やかな支援を行っている。

図表 1-29 他政令市の中高年齢者に対する就労支援策の状況

相 模 原 市

札 幌 市

仙 台 市

さ い た ま 市

千 葉 市

横 浜 市

川 崎 市

新 潟 市

静 岡 市

浜 松 市

名 古 屋 市

京 都 市

大 阪 市

市 神 戸 市

岡 山 市

広 島 市

北 九 州 市

福 岡 市

熊 本 市

①高齢者に特化した就労支援施設を市で設置 ○ ○

 ・職業紹介事業

 ・キャリアカウンセリング ○ ○

 ・各種セミナー ○ ○

②世代に関係なく利用できる就労支援施設を

 市で設置(委託運営を含む) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 ・職業紹介事業 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 ・キャリアカウンセリング ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 ・各種セミナー ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

③市ホームページ内に就労に関する情報を

 まとめたポータルサイトを開設 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

④ハローワーク、公的機関(県・公益財団等)

 の就労支援施設の紹介 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

⑤その他事業 ○ ○ ○

⑥ハローワークを除く公的機関(県・公益財団

 等)の就労支援施設が市内に所在する ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

※上記は、中高年齢者が一般就労を目指す際に利用できる施設について、市ホームページの掲載内容や雇用対策所管課から聞き取り調査した結果である。

※主に生活困窮者の自立支援を目指す就労支援施設や若者・女性に特化した就労支援施設は除いている。

※「世代に関係なく利用できる就労支援施設を市で設置(委託運営を含む)」には、国(ハローワーク)と共同運営する支援施設を含む。

③取組の情報発信

本市の中高年齢者に対する就労支援策 は、概ね他政令市と同じであったが、では、

その取組の情報発信方法については、違い はあるのだろうか。

現在、本市のホームページでは、一般的 な就労を目指す人向けの支援情報を「求職 者向け情報」で、福祉的要素の強い生きが い就労を主たる目的とした高齢者(60 歳以 上)に対する支援情報を特設サイトである

「いきいきシニア応援サイト」で情報発信 している。これは、就労の主たる目的が一 般的な就労なのか、福祉的要素の強い生き がい就労なのかによって業務所管課が異 なるためと考えられるが、他の政令市にお いても概ね同じである。

しかし、情報を入手する市民の視点に立 った時、この 2 つのサイトで発信されてい る情報はどちらも「就労支援」に関する有 益な情報であり、どちらの情報も容易に取 得できなければいけないはずである。その ような視点からこれらの 2 つのサイト内容

がどちらのサイトを検索しても容易に入手できるかを調べたのが図表 1-31 である。

どちらのサイトにもそれぞれの内容が掲載(あるいはリンクが設定)されているのは、名古屋市、神戸 市、北九州市、福岡市の 4 市のみで、本市を含むそれ以外の市はどちらかに掲載(あるいはリンク設定)

または全く掲載されていないという結果であった。

また、福岡市の一般的な就労を目指す人向けのサイトは、利用できる支援策が世代ごとに分類されてお り、情報入手者(市民)の世代にあった情報を入手しやすい工夫がされている。

図表 1-31 各市のホームページにおける就労支援策の掲載方法

相 模 原 市

札 幌 市

仙 台 市

さ い た ま 市

千 葉 市

横 浜 市

川 崎 市

新 潟 市

静 岡 市

浜 松 市

名 古 屋 市

京 都 市

大 阪 市

市 神 戸 市

岡 山 市

広 島 市

北 九 州 市

福 岡 市

熊 本 市

①一般就労支援向けサイトで生きがい就労の

図表 1-30 求職者向け情報といきいきシニア応援サイト

出典:市ホームページ

図表 1-32 福岡市の一般的な就労支援策が掲載されているサイト

出典:福岡市ホームページ

(2)相談支援施設の利用状況

①ハローワークの利用状況

本市全体の有効求人倍率(新規学卒を除き、

パートタイムを含む)の推移をみてみると、

平成 21 年度の 0.38 倍を底に増加傾向にあり、

平成 27 年度には 0.83 倍まで回復している。

緩やかな景気回復が伺えるものの、国や県と 比較すると、本市の有効求人倍率は低い状況 にある。また、職業別にみてみると、介護・

福祉関係や保安の職業、建設・採掘の職業等 は慢性的な人材不足となっているのが特徴 である。

一方、中高年齢者の利用状況についてみて

みると、新規求職者申込件数は平成 22 年度の 8,397 件をピークに減少傾向にあるものの、毎年 6,000~

7,000 件程度の申し込みがあり、就職率も近年は県と同様の 20%程度となっている。

図表 1-34 職業別有効求人倍率の推移

H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度

職業計 0.39 0.49 0.59 0.61 0.68 0.58 0.70 0.79 0.73 0.98

A 管 理 的 職 業 0.28 0.16 0.29 0.54 0.81 0.31 0.00 0.00 0.14 0.30

B 専 門 的 ・ 技 術 的 職 業 0.92 1.02 1.10 1.00 1.04 1.53 1.35 1.52 1.30 1.64

C 事 務 的 職 業 0.10 0.12 0.19 0.19 0.22 0.28 0.28 0.32 0.35 0.41

D 販 売 の 職 業 0.38 0.45 0.58 0.59 0.62 0.34 0.37 0.56 0.44 0.79

E サ ー ビ ス の 職 業 0.33 0.62 0.69 0.68 0.88 1.21 1.52 1.60 1.51 1.93

F 保 安 の 職 業 1.05 1.30 1.94 5.57 5.84 1.34 1.43 2.28 2.20 6.94

G 農 林 漁 業 の 職 業 0.41 0.20 0.16 0.36 0.42 0.63 0.28 0.08 0.29 0.34

H 生 産 工 程 の 職 業 0.50 0.40 0.61 0.76 0.88 0.87 0.89 1.00 1.05 2.02

I 輸 送 ・ 機 械 運 転 の 職 業 0.79 0.91 0.98 1.12 1.11 1.36 1.31 1.01 1.48 1.43

J 建 設 ・ 採 掘 の 職 業 2.77 2.88 4.03 3.51 3.52 1.06 1.68 1.04 1.70 1.13

K 運 搬 ・ 清 掃 等 の 職 業 0.18 0.21 0.28 0.33 0.39 0.52 0.52 0.68 0.59 0.73

(再掲)

I T 関 連 計 0.65 0.96 1.01 0.84 0.85 0.32 0.30 0.30 0.35 0.41

福 祉 関 連 計 1.52 1.38 1.44 1.34 1.58 2.98 2.63 2.76 2.69 3.28

介 護 関 連 小 計 1.06 1.03 1.11 0.99 1.32 3.07 2.68 3.01 2.98 3.69

有効求人倍率(常用的フルタイム) 有効求人倍率(常用的パートタイム)

出典:雇用政策課

図表 1-35 中高年者の職業紹介状況

就職率 (参考)

(%) 神奈川県

55歳以上 65歳以上 55歳以上 65歳以上 55歳以上 65歳以上 B/A*100 就職率

平 成 18 年 度 5,584 3,142 426 26,277 15,091 1,391 1,175 581 52 21.0 22.0

平 成 19 年 度 5,815 3,258 480 25,991 14,587 1,613 1,154 552 29 19.8 21.0

平 成 20 年 度 7,082 3,899 581 30,154 16,812 1,758 1,065 545 54 15.0 17.2

平 成 21 年 度 8,113 4,571 783 44,032 24,391 2,664 1,050 505 40 12.9 13.9

平 成 22 年 度 8,397 4,322 712 43,495 22,852 2,468 1,238 548 45 14.7 15.0

総数

新規求職者申込件数(件)・・・A 月間有効求職者数(件)

総数

就職件数(件)・・・B 総数

図表 1-33 有効求人倍率の推移(国・神奈川県・相模原市)

0.90

0.38

0.83 1.02

0.39

0.96 1.06

0.45

1.23

0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 1.10 1.20 1.30 1.40

H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

相模原市 神奈川県 国

出典:国・県値は一般職業紹介状況(厚生労働省)

市値は市統計書及び雇用政策課