• 検索結果がありません。

第6章 面外強制開口する直線状き裂の解析

6.2 面外強制開口の解

Y軸上に1つの直線状のき裂を持つ無限板において、図‑6.1に示すようにき裂 開口部に相反方向の等分布荷重を作用させて板を面外‑強制開口させる問題(モー

ドⅢ)の解を導く。

面外力問題におけるたわみ関数も,古典理論に従えば式(2.1)と同様に重調和関数 であり、たわみ角、曲げモーメント、ねじりモーメントおよび等価せん断力(反力) は式(6.1)のように表される。関数の実部が活用されることは自明であるため,記号 Re[]は省略する。 Dは板の曲げ剛性, γはポアソン比である。

図‑6.1き裂開口部に作用する面外相反分布荷重(Mode III)

wH

‑言vⅢ(I)+ ¢Ⅲ(I)

wHx

VⅢ(I)+Iv㌫(I)+¢㌫(I)

wH,

i(‑vⅢ(z)+{v㌫(I)・¢㌫(I))

MxニーD

[2(1'v)v㌫(I)+(1‑ v)(Iv㌫(z)'砿(I))】

M,

‑D

[2(1+v)v㌫(I)‑(.‑v)({v㌫(I)・拡(I))]

M砂ニーi

(1‑vわ({v昆(I)・拡(I))

RxニーD

[‑(1‑v)(tv芸(I)+¢芸(z))I(5‑ v)v左(I)]

R,

‑iD

[(1‑v)(Zv芸(I)'少芸(I))・(5‑ v)v㌫(I)】

(6.1)

さて無限遠方で面外純せん断力が作用する場合で、き裂開口部には荷重が作用し

ない場合の解、すなわちY軸上でMxlx‑o…0となる解の基本型は、中川、前田等によ

り既に報告されているので6)、その結果を示す。

y軸上でMxlx‑o…0となる面外の純せん断の解は、調和関数vⅢとvⅢを積分した関

数VH‑JvⅢdzをもって表現することができるo任意のvⅢに対して¢Ⅲを

p=

‑ニレこニーこ.l'v二d‑‑

‑‑i,=‥

‑品v=

と定義すると、 Y軸上では、

I+妄=oであるから、式(6.1)より

(6.2)

wH

‑品vH(I)

Wu.r =

‑2¢+γ) (1‑γ)

vⅢ

(I)

wH, ー4

i仁7VH(I)

Mx=O

M, ‑4D

(1・v)vⅢ.(I)

M,y ‑i2D

(1+v)vⅢ'(I)

Rx

‑2D

(3+v)帖‑.(I)

R, ‑i4D

(1‑v)vⅢ''(I)

(6.3)

となる。この関係は、本章のテーマである面外強制開口の解にも当てはまる。

ここで式(6・3)のWHは任意の関数V(I)に対してY軸上でMx=0を満足するように 構成されているので、 V(I)に条件を付けてき裂開口部の等価せん断力Rx‑0、ある いは開口用相反荷重を表すためにRx‑pとなるようなものを定義すれば開口部で純

せん断荷重を受ける板の面外問題の解となる。

第2章で求めた面内強制開口の解を、面外強制開口の解に活用する。面内力問題

においてY軸上でTサニ0となる解は、 ¢Ⅰ■‑=zvI‑‑と定義することで導かれる。 Y軸上

でz'言‑oとなるから、

Y軸に沿うc,.は式(2)よりJ,=Re[2vI.]と簡単な形で求めら

れることになる。

本章で対象とするような開口部で面外の純せん断力(開口用の面外外力)が作用 する問題では、反力となる等価せん断力を対象とするが、式(6.3)よりY軸上におい てMx=0となる等価せん断力は、

Rx

=ト2D(3+v) vⅢ‑‑】

(6. 4)

となる。

ここで、面内力問題におけるvllと面外力問題におけるvⅢ‑‑を対応させることによ り、面外力問題の解を求めることにする。すなわち面内力問題のY軸上のcr,を表す vI‑を、面外力問題のRxを表すvⅢ‑‑と等しいものとする。面外力問題ではさらに式

(6・2)のようにVH‑JvⅢdzとする必要があるから、式(6・1)のたわみ関数Wiに必要

なvHは,第2章の式(2・13)のV3を2回積分して定義すれば良いことになる。 V,を

zに関して2回不定積分したものをVH.(I,t,S)と定義して、式(6・6)に示す。式中の

pは荷重強度、 cは荷重の分布幅、 2aはき裂長さ、 bはプロセスゾーンの長さを表 す。

vⅢ(I,i,s)

[ [vH. (I,i,S)]L(̲::・b]

ss:̲;i

2

(6. 5)

(6.6)

VH.(I,i,S)

=

47T叫2a

+

b)c [去(z5

・i3s5

・5t2(I‑is)3

'5s4(I‑is))

log

・孟(I

I

is)5.og(J;T7 ・打エア)

一志(10sz(5t2

2s2)Ii8(t2 ‑∫2)2)Jii7

i

J26 tan‑1

・去(I‑is)〟干〉(z2

I

t2戸

‑⊥Jf7・z(25t2.ll,2)Jm

60

・〈孟(1.t2 ‑9s2)Jf7

式(6・5)の導関数および、 (6.1)式‑代入して得られる変位と断面力は割愛するが,

≠を導くために2回不定積分を行ったためにこの関数だけではき裂両側の線上の 一方では、完全連続の条件が満足されない結果となる。これは中川、前田等が既に

報告した開口部に外力が作用しない場合の解で現れた現象と同じであり、 vⅢ.に含 まれるlog(I+ z2+t2)の虚数部の不連続性によるものである。このlog項の虚数部の

Y軸上の形状についての詳細は割愛するが、元来log関数の虚数部は多価関数であっ て複雑な曲面を形成するので、代数関数と対数関数の積を積分する場合にはいずれ

の面を起点に積分していることになるかを配慮し、 Y軸上での不合理な食い違いを 避ける必要がある.この煩雑さを回避しつつ式(6.6)よりこの成分を消去するた吟に、

中川、前田等が文献6'で示した式(6・7)の関数g‑(I,i)、g2(I,i)をY軸上の境界条件の 乱れを補正する項として活用する。すなわち、関数g.(I,i)、g2(I,i)を3回積分した関 数をVHll,Vmと定義し、 Im(lo戚z+ z2+l2))を消去する。

gl(I,i)

;log

g2(I,i)

‑去log

a+b

vHl (I,i)

Ill

gldzdzdz

i[一芸z4.i(z2 ・t2)言一言t3〟了7

I

Slog

α+∂

vⅢ2 (I,i)

JN

g2dzdzdz

‑去[一芸(z2 ・t2)言.孟t2広7

I(i‑;t2)log( +雫三〕]

(6.7)

(6.8)

式(6・3)から推察されるように、開口部でV"(I)=0となるもの(文献6)において 式(6・7)および式(6.8)がこの条件を満足することを示している)あるいは

V"(I)‑‑p/(2D(1+v))となるもの(式(6.6))を選べば、実際の解はそれらを重ね合 わせて構成することができる。

式(6・8)のVHl(I,i)およびVIH2(I,i)は適切な定数を乗じて重ね合わせると、き裂開

口部に外力を伴わない解となるため、

≠ob,∫,∫)‑重ねて全体としてき裂開口部にお

ける境界条件を満足させることができる。しかしこの関数の導入によって、無限遠

方でY軸に沿うせん断外力を受けている状態が導入されるため、 Y軸上のせん断力 はY‑∞で0とはならないことになる。図‑6.1に示されるように開口部のみに相

反せん断外力を作用させるので、無限遠方におけるY軸上のせん断力は0とならな

ければならない。結局、 Y軸上のIm(lo舶+ z2+t2))によるたわみの不連続成分を

打ち消し、同時にき裂先端より十分離れたY軸上の点y,で、等価せん断力Rxb,)が

0となる条件を成立させる必要がある。このため、未定係数cl,C2を設定して、上記 の関数3個を重ね合わせ、この条件を満足させることにより、式(6.9)により必要と なる≠を求めるものとする。

YⅢ(I,s,t)

VⅢ.(I, s,i)+

cIVⅢ1

(I,i)+c2Vm(I,t)

式(6・6)‑(6・8)の関数で最初にlog(I+

(6. 9)

z2.12)の項が現れるのはVn (I,s,i)(た だし, k‑0,1,2)の項であるから各導関数VHk (I,S,i)のレベルでIm(log(I+

の項を求めて総和を0にする方程式を導くと次のようになる。

z2+t2))

去((a・b)3 1a3)cl

‑去((a・b)2 ‑a2)c2

‑P

247Tb

(2a

+

b)c

‑c〈喜一5a2)

ここで,

P(a.a)= tan‑I

) (a・b, ‑?

a21言・6(a・b)4〈p(a・b,一計6a4〈p(a,一号〉]

(6・10,

, β(〟)=tan l

この条件式は積分した関数VHk (I,S,i)のレベルでIm(lo戚z+

(6.ll)

z2+t2))を消去する 条件式と同じものとなる。これによってlog関数の多価の特性で現れるY軸上のたわ

みとたわみ角の不連続性が消滅される。

次にY軸上の無限遠点の等価せん断力Rx[,‑のを0にする(これはx=∞点で作用す

るせん断外力成分を0にすることと同じ意味である)ための条件式を導く。関数式 の形で無限遠点の値を求めることは,極めて煩雑な級数展開を必要とすることから, 本文ではコンピュータによる直接の数値計算で処理することとする。すなわち、

y,,,1でVⅢk (I,S,i)による等価せん断力成分をRxkレ,)として

凡O,,)

=

Rrob,,)+cIRrl(〟,)+ C2Rx2(γ,)

= 0 (6. 12)

とする。

式(6.10)と式(6.12)によって未定係数cl,C2がコンピュータの数値計算過程で決 定され、 VHおよびその導関数であるvⅢが確定することにより、式(6・3)により変位 と各断面力を求めることができる。