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非相対論的な場と電磁場の相互作用

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第 5 章 電磁場と物質場の相互作用 81

5.2 非相対論的な場と電磁場の相互作用

様に、違う電荷を持った粒子の場に対する共変微分はDµ =µieAµのようにする。このよ うにすると共変微分はライプニッツ則

Dµ(AB) = (DµA)B+A(DµB) (5.31)

を満たす(A, Bがどんな電荷を持っていても)。この時、ABに対する共変微分に入る電荷はA

の電荷+Bの電荷である。

作用がこのような電荷に比例した角度での位相変換で不変であるための必要条件として、作 用に現れる場の電荷の和がかならず0になっていなくてはいけない。

ABC eieAΛAeieBΛBeieCΛC (5.32) のように変換して不変であるためには、eA+eB+eC = 0でなくてはならないのである。

量子化するとそれぞれの場はそれぞれの粒子の生成・消滅演算子となる。作用に現れる場が 常に電荷の和が0になる組み合わせになっているということは、粒子が生成・消滅した時に電 荷の総和が変化しないことを意味する。すなわち、位相変換の不変性は電荷の保存則を保証し ているのである。

5.2 非相対論的な場と電磁場の相互作用

5.2.1 作用とゲージ不変性

電荷qを持ったFermi粒子の場の理論を非相対論的に考えていく。相互作用がない場合の作

用は

IF REE =

d4x

(

∂tψ− 1

2miψiψ

)

(5.33) であるが、ここで微分を共変微分に置き換えることにより、電磁場と相互作用する場合の作用

ICharged =

d4x

(

(

∂t−iqA0

)

ψ− 1

2m(∂i+ iqAi)ψ(∂iiqAi)ψ

)

(5.34) を作ることができる。これに、電磁場自体の作用

IEM =

d4x

(

1

4FµνFµν

)

(5.35) を加えたものが全作用となる。

量子化を行うためには、前節で説明したゲージ不変性を固定しなくてはいけない。非相対論 的な場合には、クーロンゲージiAi = 0を選ぶことが多い。今ゲージをとっていない状態のベ クトルポテンシャルをA˜µとすると、ゲージ変換のパラメータΛを、

iiΛ =−∂iA˜i (5.36)

を満たすように選べば、新しいベクトルポテンシャルはクーロンゲージの条件を満たすように なる。∂ii = ∆と表し、

1(⃗x, ⃗y) =− 1

|⃗x−⃗y| (5.37)

でその逆演算子を定義する5と、

Λ(x) = 1(x, y)∂iA˜i(y)d3y (5.38) とすればよい。クーロンゲージを取った時の運動方程式を書いてみよう。ゲージを取る前の Maxwell方程式は

µµAν −∂µνAµ =−jν (5.39) であった。クーロンゲージiAi = 0を取ると、左辺第2項は−∂0νA0のみが残る。ν = 0に対 しては

iiA0 =−j0 即ち∆A0 =j0 (5.40) という式になる。この式には時間微分がどこにもない。そのため、場A0はそれ自体は力学的 に発展しない、補助的な場であると言える。つまり、

A0(⃗x, t) =

d3⃗y∆1(⃗x, ⃗y)j0(⃗y, t) (5.41) のようにj0で表してしまうことができる。ところでj0とはなんであったかというと、ラグランジ アン密度にj0A0のような形で入っているもの(j0 = ∂L

∂A0)であったから、今の場合はj0 =ψ となる。これは電荷密度そのものである。この式は、A0 =−ϕだったことを考えると、

ϕ(⃗x, t) =

d3⃗y 1

|⃗x−⃗y|j0(⃗y, t) (5.42) という式となり、静電場の場合のクーロンポテンシャルを求める式そのものになる。ただし、

これはクーロンゲージが静電場でないと取れないと言っているのではない。静電場の時と同じ 式が出るようなゲージだというだけである。

この式だけを見ていると、離れた場所のj0(⃗y, t)が即時にA0(⃗x, t)に影響を受けていることに なり、超光速現象を容認しているかのごとき印象を与えるが、ゲージ場A0自体は観測量では ないので、これは物理的な意味での超光速現象を意味しない。物理的に意味のある量(たとえ ば電場Ei =iA0−∂0Ai)を考えれば、このような超光速の伝播はない。

このようにしてA0は求めてしまうことができるので、作用もこれを代入して簡単にしてし まおう。電磁場のラグランジアン密度は

1

4FµνFµν =1 2

(

µAνµAν (∂µAµ)2) (5.43) とまとめられるが、括弧内の第2項は(∂0A0)2になってしまうので、ちょうど第1項のA0を含 む部分の時間微分の項がちょうどなくなってしまう。結果は

1 2

(

µAiµAi +iA0iA0) (5.44) となる。適当な部分積分をすると作用が

1 2

d4x(µAiµAi−A0∆A0) (5.45) とまとまる。A0の含まれる部分は

d4x

(

1

2A0∆A0+A0j0

)

(5.46)

5

(

∂xi

)2

∆(x, y) =δ3(⃗xy)を証明するには、まず点yを原点とする極座標に直す。こうすると、左辺が原 点以外では0であることと、体積積分すると1であることが簡単に示せる。

5.2. 非相対論的な場と電磁場の相互作用 87 となるが、ここに(5.41)を代入することによって、

dtd3⃗xd3⃗y1

2j0(⃗x, t)∆1(⃗x, ⃗y)j0(⃗y, t) (5.47) という形にまとめることができる。j0が電荷密度であることを考えれば、この項はちょうど、

粒子の間のクーロン相互作用のエネルギーを表していることがわかる。

また、他のjiについても計算してみると、

ji = ∂L

∂Ai

= iq 2m

(

ψ(iiqAi)ψ−(i+ iqAi)ψψ) (5.48) となる。これらのカレントjµAの0次を取ると、位相変換に対するNoetherカレントJµ

−q倍になっていることがわかる。もちろん、これらも保存則µjµ= 0を満たす。

5.2.2 正準交換関係

ψに対する運動量はiψであり、正準反交換関係(Fermionなので交換関係ではない)を (⃗x, t), ψ(⃗y, t)}=δ3(⃗x−⃗y) (5.49) と設定すればよい。

次に電磁場の方を考える。A0が消去されたので、残る電磁場はAiが3つということになる が、実はこの3つは独立でない(∂iAi = 0)ので、独立な電磁場は2個しかない。量子化を行う 時には独立な自由度に対して正準交換関係を設定しなくてはいけない。そのことを考慮せずに 計算すると失敗する。どのように失敗するかをまず示しておく。

Aiに対する運動量をπiと置くと、

πi = ∂L

∂A˙i =

∂tAi (5.50)

となり、 [

Ai(⃗x, t), πj(⃗y, t)]= iδijδ3(⃗x−⃗y) (5.51) という交換関係を置けばよさそうであるが、この交換関係は

[

iAi(⃗x, t), πj(⃗y, t)]= i∂jδ3(⃗x−⃗y) (5.52)

[

Ai(⃗x, t), ∂jπj(⃗y, t)]= i∂iδ3(⃗x−⃗y) (5.53) となって、本来ゼロとなるべきものがゼロにならない。

正しい交換関係を求めるためには、AiiAi = 0によって消される部分と消されない部分 に分け、消されない部分にのみ交換関係を設定するという作業が必要になる。まず運動量表示 に持っていって、

Ai(⃗x, t) = 1 (2π)32

d3⃗kAi(⃗k, t)eik⃗x (5.54) と考えると、クーロンゲージはkiAi(⃗k, t) = 0という式になる。ここで、一般の(ゲージ条件 を課していない)Aiから、ゲージ条件を課したAiだけを選びだすような行列を考える。もし、

⃗k = (k,0,0)のように⃗kx-軸の方向を向いているならば、この行列は

δij −δi1δ1j =

0 0 0 0 1 0 0 0 1

(5.55)

のように考えられる。つまり、単位行列から、今抜きたい方向への単位ベクトルの直積になっ ている行列(いまの場合では

δi1δ1j =

1 0 0 0 0 0 0 0 0

(5.56)

となる)を引けば良い。ベクトル⃗kが一般の方向を向いているときはその方向の単位ベクトル は ⃗k

|⃗k|であるから、引き抜くべき行列は 1

|⃗k|2kikj となる。つまり、一般のゲージ場からクーロ ンゲージを満たすゲージ場への射影演算子は運動量表示では、

Pij =δij kikj

|⃗k|2 (5.57)

と書ける。この射影演算子は

PijPjk=Pik (5.58)

のように、自乗すると元に戻るという性質を持っている(一度引き抜いたら、二度引き抜いて も結果はいっしょ)。

よって、この射影演算子を使って射影された部分(2成分)に対して正準交換関係を要求すれ ばよいことになる。

結果として出てくる正準交換関係は、

[

Ai(⃗x, t), πj(⃗y, t)]= i (2π)3

d3⃗k

(

δij −kikj

|⃗k|2

)

eik(⃗xy) (5.59) となる。この交換関係は、クーロンゲージを尊重したものになっている。なお、実際にはこの ような計算は『拘束系の量子化』と呼ばれ、Diracによる一般論があり、それに従えば任意性な く正準交換関係を求めることができるが、ここではとにかく自由度が抜けるような式を探すと いう方法を使った。

この交換関係から導かれるAの伝播関数は

0|T(Ai(x)Aj(y))|0= 1 (2π)4

d4k

(

δij kikj

|⃗k|2

) i

k2eik(xy) (5.60) のように、射影演算子を含んだものになる。

5.2.3 相互作用ハミルトニアン

以上からこの系のハミルトニアンを求めると、H =Hm+HEM +HIと3つにわけて書くこ とができて、

Hm = 1 2m

d3⃗x∂iψiψ (5.61)

HEM = 1 2

d3⃗xiπi+iAjiAj) (5.62) HI = iq

2m

d3⃗x(Aiiψ−∂iψψ)−iqAiAiψψ) +q2

2

d3⃗xd3⃗yψψ(⃗x)∆1(⃗x, ⃗y)ψψ(⃗y) (5.63)

5.3. 相対論的な場と電磁場の相互作用 89

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