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非接触ICカードの普及課題

3 非接触ICカード利用ガイドライン

3.7 非接触ICカードの普及課題

市場で非接触ICカードを普及させていくためには、カード仕様の標準化という問題は 重要なポイントとなる。詳細については第3.4節を参照していただきたい。

3.7.1  非接触ICカードの電波法上の扱い

非接触ICカードは、電波を利用するため電波法による規制を受けることになるが、非 接触ICカードは、社会に広く普及し、個人や一般にも利用されることが期待されるもの であるので、電波法に基づく規制もこれに応えるものである必要がある。

その一つの考え方として、非接触ICカードシステムについて一定の技術基準を満足す るものは、無線局の免許を不要にする等の手続きを適用することが望まれるので、具体的 な基準および技術的条件について検討される必要がある。

3.7.1.1  割り当て周波数の国内外比較

国際的に産業用、科学用、医療用として周波数(ISMバンド)が割り当てられている が、地域や国により内容に差違がある。今後標準化されていくことが望まれる部分である。

現状の割り当て周波数の国内外比較を表 3‑9に示す。

表 3-9 割り当て周波数の国内外比較(*1)

注番号(*2)

周波数(MHz) 許容偏差

国内 国際

告示

(*3)

6.780 ±15kHz J30 524

13.560 ±6.78kHz J40 534 該当

27.120 ±162.72kHz J40 546 該当

40.68 ±20.34kHz J40 548 該当

(433.92) ±0.87MHz --- 661

(915) ±13MHz --- 707

2450 ±50MHz J40 752 該当

5800 ±75MHz J40 806 該当

24125 ±125MHz J40 881 該当

(*1)ISMの国内電波法での取り扱い・・周波数の公開(電波法 26)

「...割り当てることが可能である周波数及び割当てた周波数の現状を示す表を 作成し、公衆の閲覧に供しなければならない。」 →『周波数の割当原則』に明記 (*2)周波数の割当原則・・無線通信規則の周波数分配表(国際)と日本の周波数分配表        の注番号の中で規定。

J40の記載

『...産業科学医療用(ISM)の使用に指定する。これらの周波数帯で運用する無 線通信業務は、ISM 装置の運用によって生じる有害な混信を容認しなければなら ない。また、ISM 装置は、本装置からの輻射をできる限り抑制するとともに、こ れらの周波数帯の外側においても、無線通信業務に有害な混信を生じさせないレ ベルにその輻射を抑制しなければならない』

(*3)通信設備以外の高周波利用設備の電界強度の最大許容の特例(公示第 257 号)

       『該当の周波数帯内においては、通信設備以外の高周波利用設備から発射される基        本波又はスプリアス発射による電界強度の最大許容値を定めない』

3.7.1.2  リモート式カードに関する現状の電波法

現状のリモート式カードに関する電波法について図 3‑8に示す。

構内無線局

第4条第1項第26号)

第14条)

特定小電力無線局

第6条第4項第2号)

微弱無線局

第6条第1項第1号)

誘導式無線電信無線電話(*1)

第44条第1項第2号)

電波法 電波法施工規則

高周波 利用設備

第100条)

無線局

第4条)

免許

技適不要

2.45GHz マイクロ波 リモートカード として使用可

免許

技適等要

図 3-8 リモート式カードに関する現状の電波法

注*1【誘導式無線電信無線電話】は次の3つの要件を満たすものをいう。

l 電線路を有すること。

l 10 KHz 以上の高周波電流を通ずること。ただし、λ/2 πの距離において電 界強度が15μ v/m を超える設備にあっては、10〜250 kHz の範囲内の 周波数であること。

l 通信設備であること。

現状、マイクロ波型(2.45GHz)を除いた非接触ICカードは、微弱無線局の範囲で利用 しなければならない。今後広く普及させていく上では、距離を伸ばしたい近接型、近傍型 では、新たな電波割り当てが必要である。

現在、電気通信技術審議会にて【非接触式定期券システム】用の技術的要件が、近接型 の審議を参考として検討されている。また、【入退室システム】用を検討開始の予定であ り、これは、近傍型の審議を参考にされると思われる。

3.7.2  ICカードのコスト

ICカードに限らず、カード普及の条件としてコストはかなり重要な位置を占める。

カード普及を考える上でのコストとは、カード自体のコストと、周辺機器関係のコスト、

さらに全体システムのコンピュータシステムコスト、システムのアプリケーションソフト の開発コスト、およびランニングコストである。

汎用化を目指すアプリケーションであれば、市場から要求される価格は自ずと投資対効 果費用で決定されてくる。ここで言う投資対効果費用とは、ICカードの持つ機能、セキ ュリィティ性、利便性等が考慮されるべきであり、単に磁気ストライプカードとの比較で 論じられるべきものではない。また、カードの価格は当然需要と供給のバランスの上に成 り立っており、非接触ICカードの仕様がどのように選択されるかによっても変化する。

いずれにしても、メンテナンス性に優れた非接触ICカードは市場での認知度も上がり、

システム価格は低下してくるものと予測される。

3.7.3  導入動向

非接触ICカードは、ここにきて大きなアプリケーションへの実用化が顕在化してきた。

主な物として、

l NTTテレホンカード l 汎用電子乗車券 などである。

今後の普及に向けては、これらアプリケーションとのリンクを考慮しながら検討を進め ていくことが重要と考える。

3.7.4  インフラの整備

接触式・非接触式に関わらずICカードシステムでは、チップを搭載したカードを使用 することから得てしてこのチップにのみ着目し、過大な期待を寄せ、すべてをチップが担 いうると考えがちである。信頼されかつ安全対策も十分なシステム構築は、システム全体 で取り組むことが重要である。

現状ICカードシステムのインフラ整備はまだまだこれからの状態である。しかしなが ら、先ほど紹介した非接触ICカードのアプリケーションは大きな社会的インフラとなっ ていくと考えられる。これらのシステムインフラの内容を吟味して、それとのリンクを検 討していくことは、今後の非接触ICカード普及において重要となってくると考えられる。

また、非接触式あるいは接触式のICカードの共通利用アプリケーション、共通利用端 末の開発等利用者サイドで利便性の高いインフラ整備を行っていくことが求められる。

3.7.5  参考文献

l 「共通セキュリティ関連技術WG中間報告書」(ECOM:WG05)

l ICカード総覧((株)シーメディア)

l ISO/IEC JTC1/SC17/WG8 報告書各種(社団法人 日本事務機械工業会)