2 接触ICカード利用ガイドライン(決済分野)
2.4 クレジット
2.4.4 オフライン取引きデータの効率的な事後処理についての考察
クレジットカード業務においてはその後払いという特性故に、ICカードの普及により 増加する売上精算データとしてのオフライン取引きデータを、適宜発行者へ計上する必要 がある。特に現行の磁気カードが完全に切替わった場合を想定した時に、売上精算データ の事後処理を迅速且つ効率的に行うことが重要になる。以下この点に関して考察した内容
を記す。
2.4.4.1 効率的な事後処理に求められる要件
前節の通り、ICカード化により偽造カードによる不正利用が防止され、カードと端末 のリスクコントロール機能を上手く組み合わせて、オフライン取引きであっても、買い廻 りが防止されるとすると、安全に完了したオフライン取引きの売上精算データについては、
現行の磁気カードシステムにおけるネガチェックのみで取扱われた売上精算データ程には、
途上与信管理の観点からもデータ授受の頻度(緊急度)は問われないものと考えられる。
(勿論事務処理の平準化の要請は残るので、特定日への集中回避を考慮する必要はある)
そこで考えられるのは、各カード会社センタについては、オンラインオーソリゼーショ ンによる販売承認の判定が必要な取引きのレスポンスを向上させるために、余分な負荷を かけないことであり、特に電子データ化されたものであれば、各加盟店から必ずしも個々 に直接カード会社へ売上精算データを送信する必要は認められないし、大半のカード会社 センタはCAFIS手順対応のみのセンタ構築であり、直接受信する為に一気に全てのカ ード会社センタの改修を行うことは、コスト面を含めて現実には不可能である。つまり、
何ヶ所か各加盟店が保有するオフライン取引きの売上精算データを集約し、カード会社毎 に振分ける業務を行なう業者があればよいことになる。このことより、各種端末の管理業 務等も行なうであろう情報処理センタ(ネットワークセンタ)が重要な役割を担うことに なるものと考えられる。
2.4.4.2 売上精算データ授受の手法について
上記の通り、情報処理センタ(ネットワークセンタ)が加盟店とカード会社間に介在す るとすると、売上精算データの授受の手法については、先ずデータ授受が行なわれる場と しては、加盟店(端末)〜情報処理センタ(ネットワークセンタ)間、情報処理センタ(ネ ットワークセンタ)〜カード会社センタ間の二つの場があり、それぞれの手法や課題は以 下の通り。
(1) 加盟店(端末)〜情報処理センタ(ネットワークセンタ)間
基本的には、毎日営業時間終了後に端末貯まったオフライン取引きによる売上精算 データを、情報処理センタ(ネットワークセンタ)へディレードバッチ伝送により、
送信処理を行なう。
この場合、現行のG−CATのバッチ伝送と同様、端末側で深夜等繁忙期を避けた 時間帯の中で、端末毎に起動タイマを設定して自動的にデータ伝送をおこなうことに なる。
しかしながら、この手法の場合端末インフラの整備が不十分な時点においては、現 行のアナログ公衆回線接続でも、十分センタ側でコントロール可能なものと思慮され るが、将来端末台数が数十万台から百万台を超えるような状況を想定した時、タイマ 設定のみでは混乱の回避は不可能であろうと思われる。
この場合必要なことは、各端末からのデータ伝送を如何に短時間で終了させるかと いうことであり、実現策としてはISDNの利用とデータの圧縮が考えられる。この 点は今後の重要な検討課題である。
* 現在考え得るものを表 2‑9に示す。
表 2-9 データ伝送の要件一覧 伝送データレコード
フォーマット
主として各CCTのフォーマットに準拠
*クレジットカードをベースにしているのでICカード に必要な項目は盛込み、不要なものはカットする 通信プロトコル 主として各CCTのプロトコルに準拠
通信回線の電気的・
物理的条件
INSネットサービスのインターフェースを適用 伝送速度 9600bps、64Kbps
(2) 情報処理センタ(ネットワークセンタ)〜各カード会社間
次に、情報処理センタ(ネットワークセンタ)〜各カード会社間の売上精算データ の授受の方法に関しては、カード会社毎のデータの容量の差異等から、凡そ次の2つ の方法によるものと考える。
① データ伝送
カード会社毎に振り分けた売上精算データの容量が多い場合は、専用線若しくは DDX−P網を使った情報処理センタ(ネットワークセンタ)〜カード会社間のデ ータ伝送が最も効率的と考える。この場合双方大型のコンピュータを備えているの で、起動は双方向ともに可能で、繁忙期を避けての授受の設定も容易であるものと 考える。
尚、通信プロトコルの問題であるが、現行のCAFIS手順は全くICカードの 対応(特にEMV)は想定もされておらず、大幅な見直しが必要と思われる。IS O 8583に準拠して策定されたCC手順への対応等重要課題である。
② MT・FD交換
比較的売上精算データの容量が少ないカード会社との授受については、受取るカ ード会社側のセンタ構築の問題も勘案すると、MT若しくはFDで十分と考える。
売上交換日は、1回〜6回/月の中で選択できるものとし、フォーマットについ ては、各カード共現行の統一標準フォーマットに準拠したものが望ましい。新しく 策定する場合でも、統一フォーマットは必要である。
2.4.4.3 情報処理センターでの一括処理を行う場合の役割・要件
上記のような運用を実現する為に、ICカードの利用システムの中核をなすものと考え られる情報処理センタ(ネットワークセンタ)の果たす役割は非常に重要であり、特に以 下のようなことが求められるもの思われる。
先ず単純に、売上精算データの集配信等に関する業務処理においては、売上精算データ 処理は、加盟店とカード会社との精算という重要な業務の仲介であり、特に間違いがあっ てはならない処理である。そうした点からも、処理の自動化や正常終了したことを双方で 確認できる手段、並びに、万が一件数/金額の不一致が発生した場合、データの精査・照 合システムを備えておくことや、売上控え伝票が存在する場合には一括保管の仕組みも必
要である。
また、端末情報の管理、その他あくまで契約を伴ってではあるが、鍵の管理までをも行 なうことも必要となるものと考える。
従って、情報処理センタ(ネットワークセンタ)には、基本的な業務処理の為のみでな く、様々な情報に関するセキュリティ確保の面から、認証局に求められるものと同等の事 務取扱いを含めたセキュリティ機能の保持を伴うセンタ、並びにシステム構築が要求され、
義務付けられるものと考える。この点に関しては、先述のWG8の認証局の運用に関する 様々なガイドライン、センタの建物を含めた安全基準については、通産省で定め通産大臣 名で認定を行っているものに『情報処理サービス業電子計算機システム安全対策実施事業 所認定制度』があり、また、(財)金融システム情報センタ(FISC)が策定した『金 融機関等のコンピュータシステムの安全対策基準』と『同解説書』(1998年6月を目 途に7年ぶりに大幅改定作業中)も現在FISCで検討されており、これらを参考にその 具体的な要件を詰める必要がある。