Voltage(V)
図2.25 各超格子構造電極の1−V測定結果
24メサ加工によるリーク電流の低減と高電界動作
pin型PDおよびAPDは感度を向上させ高速応答を得るために素子を高電界動作(逆バイ アス動作)させる。しかし、エピタキシャル成長したサンプルを壁開のみでデバイス化した場合、
通電時に壁開面を伝う大きなリーク電流が発生し、高感度を得ることができない。そのため、光 検出器は一般に側面をエッチングにより除去し、メサ構造を形成する。
本研究では、ZnSe−pin型PDおよびAPDの側面リーク電流を低減するためにソフトエッチ ングが可能なウエットエッチングプロセスと微細加工が可能なドライエッチングプロセスによるメ サ加工を検討した。
2.4.1ウエットエッチングプロセスによる暗電流の低減
ウエットエッチングプロセスにおいて最も重要なことはエッチング液の選択である。エッチン グ液の選択を誤るとエッチング表面の荒れや汚染により、リーク電流が返って増加する。その ため、エッチング液として最低限必要な条件は表面が滑らかに削れ、またエッチング液が表面 から完全に除去できることである。本研究はZnSe系光検出器のエッチング液として、これらを 満足するBr一メタノールを選択しメサ加工を行った[54,55]。
実験に用いたサンプルはMBE法によりGaAs基板上に作製した膜厚2.5μmのZnSe−pin 型フォトダイオード(Photodiode:PD)で、壁開面が全てエッチングされるように表面にマスクを 形成した。但し、マスクにはトリクレンで容易に溶解が可能なア・ピエゾンワックスを用いた。実 験は表2.10の条件でワックス以外のZnSeエピタキシャル薄膜を完全にエッチングにより除去 した後、表2.11の条件で洗浄を行い、光学顕微鏡によるエッチング側面と素子の電流一電圧 測定(1−V測定)を評価した。
表2.10 エッチング条件
Etchant 0.25vol%Br−CH30H Etching temperature 15℃
Etching time 13min
Etching rate ZnSe:0.3μm/min
表2.11エッチング後の洗浄の条件
洗浄の条件 洗浄液 洗浄温度 超音波洗浄時間
A
15℃
1min
B
C}{30H 10min図2.26にエッチング後の側面写真(×2400)を示す。エッチングによりZnSeエピタキシャル 薄膜が完全に除去され、更にGaAs基板も2.5μmほど削られている。エッチングされたGaAs 部分に注目すると、表面は滑らかに削れ鏡面にエッチングされていものの、エッチング速度は 一定でなくマスク付近が特に削れている。また、ZnSeとGaAsとの境界部分が階段状になって いる。これらはエッチング液の流体によりマスク付近でもっとも反応が進み、更にマスクに対し て2μm程度内部までに等方性エッチングが行われたためだと考えられる。しかし、等方性エ ッチングが行われたが、ZnSeの側面は滑らかにエッチングされ、メサ構造が形成されている。
図2.27にエッチング後のZnSe−pin型PDの1−V特性を示す。但し、比較のために壁開の みのサンプルも示す。壁開のみのサンプルは大きな暗電流が発生し、立ち上がり電圧は0.5V 程度と低く、逆耐圧も2V程度である。これは壁開面を伝う大きなリーク電流が発生した為であ る。一方、エッチングを行った2っのサンプルはリーク電流が低減される傾向ではあったが、洗 浄条件Aのサンプルではリーク電流はそれほど改善されていない。これは、洗浄時間の不足 により側面のBrが完全に除去されず、そこを伝って電流が流れたためだと考えられる。そのた め、十分な洗浄を行った洗浄条件Bのサンプルはリーク電流が低減し、ZnSeのバンドギャップ に対応した立ち上がり電圧2Vが観測された。また耐圧も5V以上に上昇した。この5Vの逆バ イアスにおけるi−ZnSe層内の最大電界強度は1.5×105V/cm相当し、素子の高電界動作が 可能となった。これより、Br一メタノールエッチング液はメサ加工に必要な円滑なエッチングとリ ーク電流の低減という二つの条件を満足することから、光検出器の加工に十分応用可能だと
考えられる。
34μm
ZnSe−pin
図2.26Br一メタノールでエッチングしたサンプルの側面写真(x2400)
0.1
0
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浄条件A 1
一洗浄条件B
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一4