4.4.2測定の結果
まず、この素子のブレークダウンを検証するため、1−V特性の温度依存性を測定した。図 4.8に暗状態の1−V特性の温度依存性を示す。室温におけるブレークダウン電圧は17V付近 で、また、温度の減少に伴いブレークダウン電圧が減少している。よってこのブレークダウンは 4.3.1項で示したように、アバランシェブレークダウンである。これより、この素子はAPD動作が 可能なことが示された。
次に室温でHe−Cdレーザ(λ=325nm)をZnSe−APDに照射した場合の、電子および正孔の 増倍率を測定した。図4.9に電子の増倍率(M。)と正孔の増倍率(M,)示す。ただし、増倍率は 空乏層の広がりによる増加を規格化し、また弱電界における量子効率を1とした。図4.9より 電子および正孔のどちらを注入した場合とも増倍効果は7V以上で発生し電圧の増加と共に 上昇している。しかし、M.がM,よりも電圧に対する増減が大きく、15Vの最大増倍率は M。=5.5がM,=3.7であった。この結果は逆バイアス10V〜15Vの電界強度(E=6.9〜8.6×
105V/cm)において、電子のイオン化率(α)が正孔イオンの化率(β)より大きいことを示してい
る。
4.4.3増倍率のシミュレーションによるイオン化率の決定
実験より得られM。、M,の電圧依存性から増倍率の理論シミュレーションを用いてイオン化 率α及びβを以下で決定する。
一般に電子および正孔のイオン化率α(cm−1)、β(cm−1)は電界E(V/cm)の関数であり次式 で表わされることが明らかにされている[70]。
[×10 3】0
︵<︶芒Φヒδ
衿.5
ハづ べ △Σ.⊂Σ⁚﹂98↑⊂︒焉︒ 喜言Σ
266K247K
322K303K285K
ZnSe−APD, Dark
一17 −16.5 −16
Voltage(V)図4.8ZnSe−APDの1−V特性の温度依存性
ZnSe−APD λ325nm, RT
0
図4.9
\
5 10 15 Reverse voltage(V)
ZnSe−APDの電子の増倍率(M。)と正孔の増倍率(Mp)
一般に傾斜接合の場合、増倍率Mと最大電界強度Emを用いるとイオン化率は次式で表わ
される[73]。
烏一
m9q麗Vア『
(4.6)
α(E。)=π一1
dE
ぱ輌鳥一E)γdE
(4.7)但し、aは不純物濃度勾配( 一4m)、 Vdは拡散電位、ε,は比誘電率、ε。は真空誘電率、 qは素 電荷である。これらの式に、a=3.7×1022cnr4、 Vd=2.69、ε、=9.25と図4.9で得られたM。を代入 すると、最大電界強度Emに対するイオン化率は図4.10の(○)ようになる。この結果をもとに、
式(4.4)のα。、αユをフィッティングパラメータとして、皿=1とm=2のそれぞれ場合の計算を行っ た結果が、図4.10の実線(m=2)、破線(m=1)である。計算の結果、m=2が良い一致を示し、イ オン化率は電界に対して2次の関数であることが判明した。
次に、増倍率の実験値を用いてαおよびβを数値解析的に決定する。増倍率M。、M,はα、
βを用いると次式で表わされる[74]。
J 1
叫而=1−∬α・叫一 (α叫血 (48)
Mp=
﹂ 1
㌔(W)1−rβ・・xp[∬(α一β)dピ]dx
Wイr−V)}%
(4.9)
(4.10)
但し、空乏層端を0及びWとし、空乏層外の拡散長領域で発生した電流をJ。(0)、Jp(W)、外部 回路に流れた電流をJ、J とする。ここで、αおよびβは電界の関数であるが、本研究で用いた 素子は傾斜接合であるため空乏層の各位置での電界強度は一定ではなく次式で表わされる。
但し、x。はpn接合部分の位置である。
E(x)=E。べqa
(X−X。)2 (4.11)
2εsεo
以上の式よりα。、α1、β。、β1をフィッティングパラメータとして増倍率のシミュレーションを 行った。
105
10
︵∈oこ︶芒9法Φ8⊂£価N≡〇一
、−oF7.92×10exp(−2.1×10/E)α=t9×10exp(−7.4×1011/E)
1
t5
11E(cm〈/)