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一〔晋〕・中〔蒜〕

(4.15)

 しかし、ZnSeにおいてe,は約30meVと知られているが、 eiやλに関する報告はない。そこ で、まずeiについて検討する[76]。

 電子による衝突電離を考え、電子の有効質量をm。、正孔の有効質量をmh、衝突前後にお ける電子の速度をVi、外衝突電離によって作られた電子と正孔の速度をそれぞれv。、Vh、

バンドギャップをE、とすると、運動量保存則とエネルギー保存則より次式の関係が得られる

[77]。

m,V1=m,Vf+m,V,+mhVh

(4.16)

;mW12=E、+;mW・2+;mW二+;m h2   (417)

 衝突直前の電子のエネルギーei=m,Vi2/2が最低となる条件は、γi=Vf=Vhのときで、こ の時eiは

司一

となる。これらの概念を、バンド図を用いて検討する[78]。図4.13に擬ポテンシャルを用いて 計算したZnSe〈100>のバンド構造図を示す。但し、 ZnSeの物性パラメータとして、 V3s=−0.23、

V8s=+0.01、Vlls=+0.06、 V3sO.18、 V4>0.12、 V1⊆+0.03、△。=0.4eVを用いた[79,80]。この

図で、衝突前の運動量とエネルギーをki,ei、衝突後の運動量とエネルギーをkf,ef、電子の 運動量とエネルギーをk。、e。、正孔の運動量とエネルギーをkh、 eh、とするとZnSeにおける衝 突直前の電子のエネルギーeiが最低となる条件を作図ずると図内の矢印のように表わされる。

よって、ZnSeの電子のしきい値エネルギーeiは3.5eVと判明した。

 次にイオン化率を決定するために必要なλを検討する。λは実験的に決定することが困難 なため、一般に式(4.15)とイオン化率の実験値より求められる。そこで、これまで得られた、

e,=0.03eV、 ei=3.5eVを式(4.15)に代入して、実験で得られた図4.12のZnSeのαと最もよい一 致を示すようにλをフィッティングパラメータとしてイオン化率の理論値を計算した。図4.14に λを変化させた時のαの実験値と理論値を示す。図より最も実験値と理論値が一致するλは 34Aであった。

5

    0

︵﹀Φ︶﹀◎﹂Φ⊂山

一5

ke, kf

ZnSe<100>

e

ee, ef

eh

         一1   −0.5    0    0.5    1        Wave vector

図4.13擬ポテンシャルで求めたZnSeのバンド構造とイオン化に必要なしきい値の解析

06 1

     F◎      4      り        り

     り       り

︵㌃︒ご⊂Φ逗Φ8⊂£﹇QNモ旦

0 03

1

ZnSe, RT

ei=3.5eV,

ep=0.03eV

       50A

    30A

        34A λ=20A

       40A

0しexp Oしsim

1    2 1/E(cm/V)

3    4

  【×1σ6]

図4.14 ZnSeにおける電子のイオン化率αの実験値と解析結果

 以上より、ZnSeのイオン化に関わるパラメータはep=0.03eV、 ei=3.5eV、λ=34Aであった。こ れらの値をGaPと比較する。 GaPのイオン化に関わるパラメータはep=0.05eV、 ei=2.6eV、λ

=32Aである[78,81]。よって、 ZnSeとGaPが同程度の電界で同じイオン化率が得られる理由は、

ZnSeのしきい値エネルギーeiがGaPの1.3倍であるにも関わらず、λが同程度で、光学フォノ ンエネルギーe,がGaPの3/5であるためだと結論づけられる。よって、光学フォノンエネルギ ーの小さいZnSeはAPD材料として有利であることが判明した。

4.5まとめ

  この章では、ZnSe−pn型フォトダイオードを高電界動作させII−VIワイドギャップ化合物半 導体において世界ではじめて観測されたAPD動作について記述した。

 はじめに、高電界動作を得るためにZnSe−pn型PDをBr一メタノールによるメサ加工を行っ た。その結果27V(7.8×105V/cm)の高電界動作において真性なブレークダウンを観測した。

そのブレークダウンを検証するためブレークダウン電圧の温度依存性を測定した結果、温度 の低下に対しブレークダウン電圧が減少する結果が得られた。この結果、真性なブレークダウ ンがアバランシェブレークダウンであることを証明した。また、この素子に光を入射した結果、

最大のアバランシェゲイン50を観測した。

 次にZnSe−APDに電子および正孔のみを注入し、電子注入による増倍率と正孔注入による 増倍率の測定結果をもとに理論解析により電子と正孔のイオン化率を決定した。計算により得 られた電子(α)と正孔(β)のイオン化率比はk=β/αは1/2程度とSiの20倍と大きな与えで あり、GaAsやGeなどに近いことが判明した。しかし、 ZnSeはワイドギャップ化合物半導体であ るにも関わらず、GaPと同程度の電界強度で同じイオン化率が得られることが判明した。その 理由をイオン化率およびイオンに必要なしきいエネルギーを解析的に求めた結果、ZnSeのし きい値エネルギーeiがGaPの1.3倍であるにも関わらず、λが同程度で、光学フォノンエネル ギーepがGaPの3/5であるためだと結論づけた。これらの結果は、 ZnSe−APDがワイドギャッ プ化合物半導体であるにも関わらず比較的低い電界強度、つまりGaPと同等の逆バイアスで APD動作が可能なことを示し、 ZnSeは青一紫外光域APD材料として有望である。