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ドキュメント内 島 嶼 S D G s プ ロ ジ ェ ク ト (ページ 35-54)

ハイランド・島嶼地域における若者の流出は重大な問題であるが、スコットランドの島嶼開発公社

(HIE)が行った15歳~30歳の若者の行動と意識(抱負aspirations)調査によると、地域に住み 続けることを決意している若者の割合が55%と、2015年の調査時の43%から増えている。地域を 出ていく若者たちも、5人に3人(59%)が、いずれ適当な時がくれば地域にUターンすると考え ている。3人に2人(64%)が、将来ハイランド及び島嶼地域で仕事をしたいと考えていて、それ ができるためには、いくつかの経済的・社会的条件が整っている必要があると述べている。経済的 条件のトップ4は、良い収入、質の良い仕事、低額な生活費、そしてキャリア向上の機会。社会的 条件のトップ3は、生活の質、手ごろな価格の住居、質の良い医療へのアクセスとされている*。

*ハイランド・島嶼地域には①シェットランド ②オークニー ③西部諸島 Comhairle nan Eilean Siar (Western Islands)3つの島政府議会があり、3議会が一致して2013年に”Our Islands Our Future Campaign”と題し、島 の将来のためのキャンペーンを中央政府に向けて行った。これがきっかけとなり、住民の声を反映させた島嶼法(The Island Act)が2018年に承認、2019年に島嶼計画(The National Island Plan)が立ち上がっている。 これらの裏打 ちされた政策の実施が地域に住み続けることを決意している若者の割合が高いことの背景にあるものとみられ、島嶼 SDGs協議会で情報を整理中である。

6-3 同じスケールで見たオークニー諸島、シェットランド諸島と五島列島の比較

オークニー諸島 シェットランド諸島 五島列島

6-2. へき地の公共交通~日本と海外における新しい取り組み~

~ 概要 ~

新上五島町(長崎県五島列島)より、海外における過疎化の進むへき地での公共交通の新し取り組 みについての調査依頼があり、主に北欧における取り組みの調査を通して、人口が僅かなへき地の 公共交通事情についてまとめた。路線バスなどの従来の公共交通に代わる(ないしは補充)する試 みとして、デマンド対応型の(Demand-responsive Transport)新たな交通手段を紹介する。近年 の日本のへき地での取り組みの事例としては、①岩手県石巻市の日本カーシェアシェアリング協会

(NPO)の寄付車による「コミュニティ・カーシェアリング」(近所同士で車を一緒に活用し合う 活動)、②兵庫県養父市のマイカー運送ネットワーク「やくぶる」(NPO)、③路線バスを活用した 宅急便の輸送(ヤマト運輸)を取り上げる。

~ 上五島町の交通事情 ~

「長崎県特定有人国境離島地域の地域社会の維持に関する計画」(長崎県, 2017年;2019改訂)「II 地域別 3五島列島地域」によると、上五島町の位置する五島列島の交通事情の問題の一つは、ガ ソリン価格が本土以上に高額なことと、路線バスなどの公共交通機関の路線や便数が十分ではない ため、通勤・通学をはじめとした移動を伴う活動は、ガソリンを消費する自家用車に頼らざるを得 ないことにある。 [長崎県 2019]

~ へき地の公共交通事情(OECD 諸国) ~

経済協力開発機構(OECD)がまとめた公共交通についての調査によると、へき地の公共交通の特 徴は、①移動距離が長いことと利用者が少ないことから高額であることと、②自家用車へのアクセ スがない人たちが利用する交通機関である。 (Leiren and Skollerud 2015) これは都市における 公共交通機関の役割—人々が自家用車でなく公共交通機関を利用することで交通渋滞や環境汚染、

温室効果ガスの排出量を削減すること—とは大きく異なる。

ノルウェー政府による公共交通についての住民調査から明らかになったことのなかで特記すべき は、[Leiren Skollerud , 2015, p.66]

 へき地に暮らす高齢者が心配しているのは、車の運転ができなくなった後、どのようにこれま で車を利用して行っていた活動を維持していくのか。

 公共交通機関で是非とも確保して欲しい移動の機会は、ア)朝、町の中心部へ行く便(trade

route 買い出しのための便)と、イ)夕方、町で人に会ったりイベントに参加したりするため

の夕方に町へ向かう便。

交通の提供にかかる費用が高額となることがあげられている。コスト高の主な理由は以下の7点で ある。[Kauppila, 2015] p.28

① 交通サービスの提供額が全体として高額となったこと

② 人口減少により学校の廃校や高齢者サービスの提供機関の数が少なくなり、学校教育や福祉サ ービスを受けるためにより長距離を移動する必要が生じ、スクールバスと福祉サービス関連の コストが高くなったこと。

③ 市場競争に基づく公共交通サービスの提供レベルの減少により、地方でも都市においても、法 令により国や市町村が住民に提供すべきサービスとされている移動サービス(タクシーにより 提供されることが多い)を国や市町村で買収しなくてはならなくなったこと。加えて、公共交 通の補助金の減少。

④ 交通サービスの提供にあたり市町村と地方行政間や市町村内において協働が皆無、ないしは十 分になされていないこと。

⑤ 交通サービスが包括的なかたちで計画されておらず、各部署が他の部署と連携を取らずに動い ていること。

⑥ 官庁にノウハウと情報が不足しているため、タクシーを含めた交通サービスが上手く運用でき ていないこと。

⑦ (ノルウェーの場合)タクシーのライセンスは割当制(各市町村におけるタクシーの台数を官 庁が決めている)によって制限されていて、かつ料金は統制されている現状の中で、タクシー・

サービス提供業者の間で市場競争が皆無なこと。

~ 既存の公共交通の維持だけでは解決されない問題 ~

公共交通サービスの提供コストの削減と従来のサービス提供を維持していくことだけでは解決さ れない問題も多い。例えば、北欧圏の一つであるイギリスでは、次のような問題が指摘されている。

イギリスでは、地方行政が住民に無償で提供することが義務付けられているサービスの中に次のも のが含まれる。① 8歳~16 歳の子どもで、家から最寄りの学校までの通学距離が 3 マイル以上 である場合、学校までの移動を無償で提供すること。② 障がい者または60 歳以上の住民に平日 の朝の通勤ラッシュの時間を除く時間帯の公共交通を無償で提供すること。(国の条例であるが、

地方政府がサービス提供業者に払い戻しをする。)

問題は、高齢者の公共交通利用の全額免除が果たして賢明であるかどうか。フリーバスがあったと しても、利用できるサービスが無い結果となっていること。さらに、フリーパスの保持者たちから、

無償でサービス皆無よりは、半額負担などに戻してバスのサービスを提供をして欲しいといった声 がある。 (White 2015) p.57

~ へき地におけるデマンド対応型の(Demand-responsive Transport)新たな交通手段 ~

このような事情の下、イギリスでは、へき地の公共交通の維持・向上のために次のような取り組み がある。 (White 2015)

A) 従来の路線バスのサービスの向上 B) カーシェアリング

- 車の移動手段を持たない人たちのニーズと、人を同乗させてもよいという車所有者の意欲

をマッチングさせる試み。へき地においては、様々な目的のためにこの移動方法がかなり 包括的なサービスを提供している。

- カーシェアリングは大きく二つに分類される

① 車やライセンスの無い人に空いている席を提供すること

② 車所有者の間でのカーシェアリング。通勤の際に同乗者を乗せ車内の空席の数を減ら すこと。

C) ボランティアによるミニバスの運行

イギリスでは1985年の交通法(Transportation Act 1985, 19-20条)によって認められている。

この手段を利用する場合(先述のカーシェアリングも同様に)十分なボランティアの確保と維 持が課題となる。

D) スクールバスと福祉関係の移動サービスの統合

これを実施する場合、2通りのやり方がある。①通学時間に子どもたちが利用したミニバスを 別の時間にショッピングや病院・薬局への移動に大人が利用する場合。② 子どもたちの通学 と大人の町への買い出し等を1台のミニバスで同時に利用する場合*。

* 日本でのスクールバスと福祉関係の移動サービスの統合の事例としては、北海道ニセコ町の「ふれあいシャトル」の例 がある。「ふれあいシャトル」は、「スクールバス」「福祉バス」「一部の路線バス」を統合、再編し、誰でもワンコイ 100円で利用できる交通手段として、20024月から2012年まで運行したニセコ町内の循環バス。20129 30日をもって運行を終了し、以後はスクールバスおよびデマンドバスによる運行となっている。

https://web.archive.org/web/20130127122736/http://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/bunyabetsu/tiikikoukyoukoutsuu/

kakuhoijikaizen/sonota/jinzaiikusei/H23/shiryou_niseko.pdf

B) カーシェアリングと D) ボランティアによるミニバスの運行は、デマンド対応型交通手段で、

自家用車や通常の公共交通サービス(指定された路線を定められた時間に運行する)とは異なる。

利用者は少なくとも利用の2時間前に電話でサービスを依頼するなど、必要な時にサービスを依頼 できる。従来の公共交通に限界があるへき地で新たに登場してきた取り組み。

デマンド対応型の交通手段(DRT)の導入の検討にあたり、実際の利用者となる住民へのコンサル ティングが従来のサービス提供時よりも重要となってくること。DRT の発案、長期的成功のため には、地域住民参画型のサービスでなければならないこと。[Leiren Skollerud, 2015]

以下に、へき地におけるデマンド対応型の(Demand-responsive Transport)交通手段の成功例を 紹介する。

■ 海外の事例

スウェーデンのKolsillre村の「村バス」(The Village Bus) https://youtu.be/ekkHhkxuDhc 欧州政府のNorthern Periphery Programの「地方交通の解決策」(2007年~2013年)として始 まったプログラム。2010年9月に導入*。

* https://www.raseborg.fi/boende-och-miljo/trafik-och-batliv/byabussen

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