Remote UAG
5.5.3. 関連研究
PURE の特徴は,ロケーションを越えた資源の認証認可や組み合わせ,組み合 わせた資源の実行制御が可能なことである.そこで,サービス発見やサービス 合成に関する関連研究,及びリモートアクセスに関する関連研究との比較を行 う.
サービス発見・合成に関しては,これまでにも多くの研究が報告されている.
たとえば,自動登録された資源をネーミングによって発見した後,それらを動 的にバインドして利用者の置かれた環境の中で最適なサービスを提供するサー ビス合成機構を持つものとして,Hive[11],STONE[46],DANSE[47],VNA[48],
Ninja[49][50]などが提案されている.また,個々のサービスをジグソーパズル のピースに見立てて,それらを利用者が組み合わせることで,サービス合成が 可能な”Playing with the Bits”[51]が提案されている.これらの関連研究で
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は,利用者の置かれた環境でのサービス合成に力点が置かれており,安心・安 全なサービス利用には欠かせない認証認可の観点では議論されていない.
一方,PURE では,利用者の置かれた環境に応じた自動的なサービス合成は行 っていないため,”Playing with the Bits”の実現形態に類似している.しか し,合成サービスの安心・安全な利用において最も重要な認証認可がサービス 合成における前提となっていることが異なる.
リモートアクセスに関しては,PC 環境をネットワーク経由で別のパソコン上 に再現する技術として,VNC[52], MetaFrame, Sun Ray といったサーバベースコ ンピューティング[53]が提案されている.これらは,アプリケーションをサー バ上で実行する形態をとっており,そのサーバ配下のクライアントであれば,
どこからでもサーバ上のアプリケーションを実行できるというものである.ま た,アプリケーションそのものを外出先の PC で実行することができる PC 環境 ローミング技術[54]が提案されている.これは,IC カードなどによる利用者認 証に基づいて,暗号化されたコンピューティング環境を専用サーバから外出先 の PC にダウンロードする.それにより,あたかも外出先の PC に自分の PC 環境 がローミングされたかのような作業環境を実現するものである.携帯電話を利 用した利用者認証に基づき,遠隔地,たとえば友人宅から,自宅のホームネッ トワークにアクセスする情報家電サービス利用方式[55]が提案されている.こ れは,DLNA プロトコルにより遠隔からコンテンツの視聴などを可能にするもの である.さらに,携帯電話を用いて自宅のホームネットワークに接続された情 報家電の制御が可能なサービスゲートウェイ[56]が提案されている.
しかしながら,これらの既存研究は,リモートアクセスにおいて利用者認証 のみしか行っていない.外出先の環境における PC や家電などの資源に関しては,
専用端末を想定しているか,その利用が暗黙に了解されている場合(友人宅の TV の場合など)を想定している.つまり,資源自体の認証は考慮されていない.
一方,PURE では,外出先で利用する資源自体の認証が行えること,ネットワ ーク経由で合成が可能な資源のバリエーションが豊富なことなどが既存研究と 異なる.
5.6 むすび
個人適応型ユビキタス環境ローミング実現のために必要な【要件 1】~【要件 7】を満足する PURE を提案した.さらに,プロトタイプ開発によるユーザイン ターフェースを含む利用イメージ,スケーラビリティを含む性能評価結果,安 全性に関する評価結果を示した.
それにより,PURE が要件の満足のみならず,性能や安全性の面で優位性があ ることを示した.また,サービス発見・合成に関する既存研究と比較して,安 心・安全なサービス利用の根幹である認証認可に軸足を置いていることを示し た.さらに,リモートアクセスに関する既存研究と比較して,資源自体の認証 が行え,かつネットワーク経由で合成が可能な資源のバリエーションが豊富な ことが優位点であることを示した.
PURE では,利用者が所持している利用権によるサービス利用を前提としてい る.そのため,該当する資源が存在しなかったり,他者に占有されていて利用 できなかったり場合が想定される.この問題に対して,PMAA[8]では,利用者の 要求により代替資源を提供する仕組みを提案している.
また,ASAMA[9]では,利用者に,移動に伴って利用可能な代替資源を提供す る仕組みを提案している.このような既存研究成果を本研究に応用することで,
より柔軟な個人適応型ユビキタス環境ローミングの提供が可能になると考えら れる.
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