5.1.機器設備メーカーの動向の概要 5.1.1.実施概要
音案内を設置する音響機器メーカーや可変情報提供事業者等へのヒアリングにより、現状の情報 提供の工夫や課題、先進事例、今後の研究開発、各種サービスの実用化の動向等を把握した。
対象とした企業とヒアリング項目は表
34
のとおりである。
表 34 調査対象と調査項目(機器設備メーカー)
事業分野 対象とする機器設備 調査項目
福祉関連機器開発
音響システム 緊急避難情報システム
点字・触知案内板 電気機器 可変式情報表示装置 電気機器
エレベーター エスカレーター
音響システム 電気機器 音響システム
・開発の経緯
・商品サービスのポイント
・導入状況・実績
・導入先の事業者や利用者からの要望
・参考にした事例・関連する先進事例
・これまでの課題とそれに関する対応
・今後の研究開発・サービス展開
5.1.2.調査結果の概要
ヒアリング調査における、主だった状況、課題を以下にまとめる。
(1)音案内について
○提供商品・サービス
・
H2
年から提供されている「音声標識ガイドシステム」(シグナルエイド対応)は、公共施設、駅 を中心に全国2,300
施設12,000
箇所に音声案内を提供している。音量については、早朝・夜間 は下げている。・
H20
年に発表した、白杖を持っている人を認識して、その人に向けて音声案内を流す「白杖認識 システム」は、これまでに10
か所程度の施設で導入されている。・周囲の騒音を測定し、音量を自動的にコントロールする周囲騒音対応型自動音量調整装置を開発 した。主に新設の空港等で使われている。ただし、適正な音量に設定するには音響測定や調整が 必要。
・指向性スピーカーは、「ラインアレー型」と呼ばれる細長い形状のスピーカーを、ホームの案内 放送やエスカレーター上部の上下区別の音声案内のために設置した。建物内の案内に指向性スピ ーカーを設置するには提供する情報の優先順位、主要動線等施設側での音響設計の配慮が必要。
・可変式情報表示装置と指向性スピーカーの併用は、テキスト(文章)をパソコンに打ち込めば合
成音声がスピーカーから流れる仕組みが既にあるため、文字と音声の同時の案内が技術的には可 能。
○国への要望
・音案内の設置位置については、改札口、トイレ入口、ホーム上の階段等、大まかな場所について はガイドラインに盛り込まれているが、音源の向き、設置位置等については記述がないので、公 的な機関による基準があるとよい。
・案内音声コンテンツの標準化を進めてもらいたい。
・望ましいコンテンツ(音声・音響)の統一基準を国等で定め、各事業者に提供してもらいたい。
(2)文字・光等による情報表示装置について
○提供商品・サービス
・スクロール:基本的に立ち止まって見るしか出来ない(人が多い)ため、可変式情報表示装置で は、切り替え式で文字情報を提供している。
・事故発生時の情報提供:運転指令が列車の停止、折り返し運転、徐行運転等を指令すると、駅情 報表示装置に情報を反映し、同時に各社のホームページにアップされるようなシステムがある。
なお運転指令における情報を提供するシステムは、パソコン上で一定の情報内容が整理されてお り、指令員はパソコンで提供する情報を選択するだけであり、迅速に情報を提供できるシステム が構築されている。車両内の表示器も同時に制御されている。
・小型・薄型ディスプレイ:天井が低い地下鉄等に導入するため、ハーフ
LCD
という1920
×480
ドットの通常のサイズの半分よりやや小さいサイズの表示器を開発。また、LCD
は現在のもの より薄型のサイズも開発しており、更に両面(表裏)に表示パネルがある。強化ガラスを採用し 液晶画面を保護する仕様である。○国への要望
・事業者間でサインが異なり統一されていない。情報の内容、表現方法、ピクトグラム等は事業者 間で規格として取り決めを行っていくべき。「今度の列車」、「次の列車」等、細かな表現が違え ば分かりにくい。
・階段に列車出発を案内する音声案内を設置すると、駆け込み乗車が増えるという問題があり、事 業者側が階段付近には音声装置を設置することは困難と考えている。また階段の上部に可変式情 報表示装置を設置すると上を見ていて足を踏み外す等の安全性の問題も生じる。
・
LCD
を採用するようになってから、様々な情報伝達が可能となったため、あらゆる情報を表示 するようニーズが高くなっているが、逆に情報量が多く分かりづらくなることが多く、何を強調 するのか、絞り込んでいく作業が重要である。(3)昇降機について
○提供商品・サービス
●エレベーター
・ユニバーサルデザインの考えに基づいたエレベーター、エスカレーターを提供している。
・ボタンの配列の仕方は、エレベーター協会の標準仕様があり、階床を上側、開閉ボタンを下側に するよう業界で統一することになっている。また、階床ボタンの配置は左下から右上にジグザグ に上がっていく様式となっている。協会会員のメーカーは原則、その指針に沿ってエレベーター
を製作することになっている。施主の強い希望があれば、その意向に沿うこともあるが、基本的 にはエレベーター協会の標準で設置している。現在、ボタンを押さなくても希望の階数に行ける ようにするために、かご内に階数を指定するための音声認識機能を検討している。
・かご内のアナウンスの内容は、標準機能の「気配りアナウンス」では、かご内満員時の「満員で す」、災害時の「ドアが開いたら降りてください」のほか、オプションで「○階です」という階 床案内、「上へ参ります」という方向案内、「ドアが閉まります」等の注意喚起を付加できる。ア ナウンスは上記の標準的なものから選ぶほか、施主の希望に沿って内容や言語(英語等)を調整 できるようにしている。
・かご内のインターフォンにカメラは設けていない。聴覚障害者への配慮としては、インターフォ ンを押して管理室から応答があるとランプが点滅するようにしている。羽田空港では聴覚障害者 に配慮したボタンがあり、それを押すと画面に「係員が向かっています」という表示が出るが、
それは羽田空港だけの仕様である。標準の液晶インジケータを同様に活用できる。
●エスカレーター
・エスカレーターの上下方向がわかるように、矢印と進入禁止マークの
LED
表示を、エスカレー ター乗り口の手すりの下で行っている。・音量は初期設定を基本に設置するが、現場で簡単に調整できる仕組みになっている。音声の聞き 取りやすさについては設置後に検証する機会はない。
・エスカレーターの音声案内は、乗った人への注意喚起がメインだったため、内蔵スピーカーから の音声は乗り込まないとわからないかもしれない。ある場所ではエスカレーターの乗り口にポー ルが設置されており、そこから向かってくる人に対して音声アナウンスが流れる。これは施主か ら要望があり、オプションとして用意した。
5.2.機器設備メーカーヒアリングの結果
機器設備メーカーのヒアリング調査の詳細は、利用者ニーズごとヒアリング結果をまとめた、
p.13
からp.21
を参照。