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部門及び附属センターの紹介

第2章 研究部門・研究センターと研究分野

第1節 部門及び附属センターの紹介

国内外の応用力学共同研究拠点(大学附置研究所兼全国共同利用研究所)である応用力学研究所は、

2010年に3研究分野に改編され、2013年より3力学部門と3センターで構成されている。大気・海洋環 境と再生エネルギーと核融合プラズマの 3 研究分野において、社会のニーズに沿って学術から応用まで 研究を推進している。本章では、研究分野紹介と、2018 年度・2019 年度の研究活動の概要を説明する。

尚、3センターは、以下の通りの時限を設定されている。

■大気海洋環境研究センター(旧:東アジア海洋大気環境研究センター): 2022.3.31

■高温プラズマ理工学研究センター(旧:高温プラズマ力学研究センター): 2022.3.31

■自然エネルギー統合利用センター:2023.3.31

地球環境力学部門 6 分野

大気海洋環境研究センター5 分野

新エネルギー力学部門 4 分野

自然エネルギー統合利用センター5 分野

核融合力学部門 4 分野

高温プラズマ理工学研究センター6 分野 エネルギー

環境

非線形・複雑系力学

第1項 新エネルギー力学部門(DIVISION OF RENEWABLE ENERGY DYNAMICS)

部門長: 寒川 義裕 新エネルギー力学部門(Division of Renewable Energy Dynamics)では、クリーンで再生可能なエネルギ ーである風力、太陽光、海洋等の効率的な取得とエネルギー変換のための研究開発に取り組んでいる。特 に自然エネルギーの力学現象、エネルギー変換のための基礎物理現象、新エネルギ-創成機器及び変換機 器の研究開発に取り組んでいる。

風工学分野(Wind Engineering)では、地表に近い大気の風の動き、乱流の輸送拡散現象の基本過程を 調べ、大気環境の調和と保全、ならびに風力エネルギーの有効利用に関する研究を行っている。主な研究 テーマは、1)大気境界層の構造と風の流れ、2)風環境予測法の確立、3)風力エネルギーの有効利用、

などである。これらの目的のために大型境界層風洞、温度成層風洞、密度成層水槽などを用いた室内実験 及び野外実証実験と数値流体シミュレーションを行っている。

結晶成長学分野(Crystal Growth Dynamics)では、再生可能エネルギーや省エネルギーに資する太陽電 池やパワーデバイス等のデバイス材料の開発・結晶成長に関する研究を推進している。特に、ナノスケー ルとマクロスケールの実験と数値解析を統合して、再生可能エネルギーや省エネルギー社会への学術的 貢献を結晶成長学の実験と数値解析を基礎として行っている。

新エネルギー材料工学分野(Renewable Energy Materials Engineering)では、超高効率太陽電池用材料、

深紫外レーザ用材料、低損失電力変換素子用材料の開発および航空機や自動車用の先進複合材料の開発 に関する基礎と応用研究を行っており、再生可能な自然エネルギー利用及び省エネルギー社会の普及に 貢献することを目指している。

海洋環境エネルギー工学分野(Marine Environment and Energy Engineering)では、海上風、潮流、波浪 を利用した自然エネルギー技術、養殖生簀を代表する海洋空間利用技術、及びこれらの技術が海洋環境へ の影響の評価に関わる未解決な流体力学的な諸問題について先駆的な研究を行っている。

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●風工学分野(Wind Engineering)

①大気境界層の構造と風の流れ

様々に温度成層して乱流状態にある大気境界層の構造および輸送特性を調べ、大気境界層内で行われ ている物質、運動量、熱の移流、拡散現象の解明を目指している。また、成層状態における風の流動パタ ーン、波動の発生などについて、風洞、水槽実験、および数値シミュレーションを用いて研究を行ってい る。

②大気境界層中の物体周辺流と構造物のフラッタ

種々の形状を有する非流線型物体(ブラフボディ)が、大気境界層中に置かれた場合、どのような周辺 流れと空力特性を示すかについて系統的な室内実験(水槽/風洞)と数値流体シミュレーションを行い、

ブラフボディフローに関する統一的説明を目指している。また、流体中の構造物はしばしば振動を起こし ます。そのうち特に危険なものは、自然に振幅が増す振動で、これをフラッタと呼ぶ。その発生メカニズ ムの解明と振動防止策を研究している。

③風環境予測技術の確立(数値風況予測モデル RIAM-COMPACT/リアムコンパクトの開発)

数値風況予測シミュレーター(リアムコンパクトと名付けた)の高精度化を図っている。リアムコンパ クトを、風力業界における標準モデルの一つとして広く普及に努めてきた。特に、複雑地形上に設置され た大型風車の数値風況診断という新しい分野を確立した。数値風況診断を実施することで、地形乱流の影 響が視覚的にかつ定量的に明らかになる。計算結果から、効率的な発電を行いつつ、風車の安全運転制御 上の指針を示すことに成功した。今後は、リアムコンパクトの世界規模への利用を目指した研究開発を行 う。また同時に、レンズ風車の離島や建物屋上への導入を支援する最適候補地の選定技術を確立する予定 である。

④風力エネルギーの有効利用

風力・水力・海洋エネルギーの有効利用に関する研究である。特色は、流体エネルギーを集中させて風 力・水力発電の効率を飛躍的に高めた新しいタイプの風力発電システムおよび水力発電システムを開発

(それぞれレンズ風車、レンズ水車と名付けた)した。全くユニークな新型レンズ風車に関しては、数年 に亘る研究の結果、従来の風車と比べ、2–5倍の発電出力の増加を達成し、小型(1-5kW機)・中型(100kW 機)のレンズ風車を開発した。レンズ水車に関しても、全く同じ原理で、同じ形状のシュラウド付き水力 タービンを流水中に設置することにより、高効率水車を開発することができた。

⑤自然エネルギーの次世代取得技術とその統合的利用に関する研究

自然エネルギー取得を飛躍的に高めるイノベーションを創出する。地球環境に調和した多様な高効率・

高密度の自然エネルギー取得方法・統合利用を研究開発する。その研究成果の実用化、事業化を目指し、

かつ漁業、農業との協調を図って社会実装を実現する。理工学、農学、社会学と広い学術分野を包含する ため、文理融合、大学間連携が必要となる。また世界を同時に社会実装の舞台にするため、産学における 国際共同研究が必要となる。本事業を通し、大学発ベンチャーの創出、強化を図る。

分野ホームページ https://www.riam.kyushu-u.ac.jp/windeng/

准教授 内田 孝紀

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●結晶成長学分野(Crystal Growth Dynamics)

①結晶成長における 3 次元総合流動解析

LSIや太陽電池用半導体の特性向上のために必要な結晶育成環境の定量的な予測法の確立を行い、新規 結晶育成法や欠陥制御の提案を行う。特に、高効率のLSIや太陽電池を作成するには、結晶中の点欠陥分 布や固液界面近傍の温度分布や応力分布に関して定量的な予測が必須となってきている。本研究では、今 まで計算機メモリー容量のために不可能であった 3 次元の計算を可能にするアルゴリズムの開発を完了 したので、今後このコードを使用して新規育成法の提案を行っていく。

②パワー半導体用結晶の新規成長法の提案

環境とエネルギーに対する要求が高まる中、高出力高効率のパワー半導体への期待が高まってきてい る。本研究では、Siに代表される元素半導体を主として, SiCやAlNのようなワイドバンドギャップ半導 体の結晶成長を、結晶学立場から解析しさらに新規の結晶成長法を提案する。特に、実際のパワーデバイ ス作成用の結晶成長の実験と数値解析を行い、この両面から、高品質の新規単結晶育成法の提案を行って いく。

③半導体プロセス用高効率並列計算の研究

すべて研究室で開発した分子動力学や 3 次元総合流動解析に使用するコードの並列化を推進すること により、最適プロセス予測の研究を行っている。OpenMPやMPI を使用した並列計算コードの開発に関 する研究を行っており、PCクラスターやSMPを用いたコード開発を行っている。

分野ホームページ https://www.riam.kyushu-u.ac.jp/nano/

教授 柿本 浩一

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●新エネルギー材料工学分野(Renewable Energy Materials Engineering)

①超高効率太陽電池材料の開発

2014年ノーベル物理学賞の受賞対象デバイスとなった青色・白色LEDに『窒化物半導体』が用いられ ている。窒化物半導体(InGaN)は発光デバイスのみならず太陽電池などの受光デバイスにも適用可能で ある。また同材料は、現在、人工衛星の太陽電池に用いられているIII−V族化合物半導体よりも耐放射線 性が高く、理論的に優位な変換効率も予測されているため、宇宙利用も期待されている。本研究分野では 同材料の開発と高品質化を行っている。

②深紫外レーザの開発

これまで赤外線、赤色、緑色、青色レーザが実用化されている。より波長が短くエネルギーの大きな紫 外線は、その波長域に応じて長波長紫外線(UVA: 波長380~320 nm)、中波長紫外線(UVB: 波長320

~280 nm)、短波長紫外線(UVC: < 280 nm)のように分類され、UVA領域のレーザについては既に社会 実装がなされていた。本研究では、他機関と共同で未踏波長(UVB領域)のAlGaN深紫外レーザを開発 している。

③低損失電力変換素子用材料の開発

電気自動車などに搭載されているDC−AC電力変換システム(インバーター)に「パワーデバイス」が 用いられている。現在は、シリコン(Si)パワーデバイスが広く用いられているが、これを窒化ガリウム

(GaN)系パワーデバイスに置き換えることにより電力変換損失を従来の約 1/10 に抑えることが期待さ れている。窒化物半導体の作製(成長)プロセスを最適化し、結晶の高品質化ひいてはデバイス特性の向 上を目的として理論的・実験的研究を行っている。

④FRML の研究

破壊靭性の高い金属と疲労特性に優れる繊維強化高分子を一体成形した Fiber Rein forced Metal

Laminate(FRML)ハイブリッド材の開発研究はTi合金/炭素繊維強化樹脂CFRPとAl合金/硝子繊維強化

樹脂GFRPの実用化段階にある。当分野では、より一層の性能向上が期待できるAl/CFRPの開発研究を 行っている。Al/CFRPにおいてはガルバニック・コロージョンに耐え、強度に優れる膜の開発がその中心 課題となる。膜強度の評価や積層構造の熱残留応力についての研究も行っている。また、自動車軽量化に 関連する鋼板/CFRPの層間強度についての研究も進めている。

⑤成形性及び強度に優れた先進複合材料の開発

近年、地球環境の変化や化石燃料の高騰などによって、省エネルギー社会の構築は緊急な研究課題とな っている。中でも、飛行機や自動車などを代表とする各種運輸機器の軽量化は特に注目されている。当分 野では、先進複合材料によるこれらの機器の軽量化の研究を行っている。特に複雑の形状に適用できる軽

教授 寒川 義裕 准教授 汪 文学(2019 年 3 月退職)