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1.演

【背景】膵・胆管合流異常では、共通管内や近傍の膵管内に蛋白栓や膵石の形成を合併するこ とがあり、かかる症例には分流手術後に膵炎や膵石症の合併が危惧されることから、膵頭十二 指腸切除術を考慮する必要性が生じる。今回、副膵管内に蛋白栓の形成を合併した胆管拡張型 膵・胆管合流異常に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した 1 例を経験したので報 告する。

【症例】30 才、女性。妊娠 27 週に、心窩部痛と嘔気を自覚し、近医を受診した。腹部 CT 検 査にて、胆石性膵炎を疑われたが、妊娠中であったことから、最低限の透視下で ERCP が施行 され、総胆管結石の診断で内視鏡的採石術が施行された。その後、症状は軽快していたが、出 産後 1 ヶ月目に再度、心窩部痛を自覚し、同医を受診した。MRCP 検査では、新古味分類 IIIc3 型の胆管拡張型膵・胆管合流異常を認め、膵内胆管、共通管、副膵管内にそれぞれ結石 と考えられる透亮像を指摘された。再度、内視鏡的採石術が施行され、膵内胆管、共通管内の 結石は除去されたが、副膵管内の結石は内視鏡的治療が困難であり、外科的治療を勧められ、

当科を紹介された。腹部造影 CT では、総胆管、肝内胆管の最大型 13mm 程度の嚢状拡張と 膵頭部には副膵管の 19mm の嚢胞状拡張を認め、内部には高吸収域を認め、膵石または石灰 化を伴った蛋白栓の形成が疑われた。また、胆嚢内には胆嚢壁に沿って造影効果のある最大径 3mm 程度の小結節を多数認めた。以上より、胆管拡張型膵・胆管合流異常、副膵管内膵石ま たは蛋白栓の形成による副膵管からの膵液流出障害、多発性胆嚢ポリープと診断した。副膵管 内膵石は、内視鏡的採石術が困難であり、これが反復性膵炎の原因と考えられたため、十分な インフォームドコンセントを得た上で、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術、拡大胆嚢摘出術を施 行した。標本膵管造影では、主乳頭ならびに副乳頭に明らかな狭窄所見を認めず、共通管とそ の近傍の主膵管は軽度拡張、副膵管は 18x10mm 大に嚢胞状に拡張し、内部に蛋白栓が充満 していた。病理組織所見は、合流部近傍で膵管、総胆管ともに濃縮分泌物を入れ拡張し、合流 部よりも上流部の胆管は嚢状に拡張し、上皮の過形成、コレステロールポリープの形成を認め、

周囲に炎症細胞浸潤を伴っており、膵・胆管合流異常に合致する組織所見であった。副膵管は、

嚢胞状に拡張し内部には蛋白栓の貯留を認めた。胆嚢内の多発するポリープは、過形成上皮に 覆われたコレステロールポリープであり、標本内に明らかな悪性病変は同定されなかった。術 後は経過良好で、術後 21 日目に退院した。

【考察】内視鏡的治療が困難な副膵管内蛋白栓の形成を合併し、急性膵炎を発症した胆管拡 張型膵・胆管合流異常に対して、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した 1 例を経験した。

自験例に対して一期的な膵頭十二指腸切除術を選択することは、賛否が分かれるところとは 三重大学  肝胆膵・移植外科

むらた やすひろ

田泰洋、飯澤祐介、加藤宏之、種村彰洋、栗山直久、安積良紀、

岸和田昌之、水野修吾、臼井正信、櫻井洋至、伊佐地秀司 4.研 究 要 旨

3.所 2.研 究 者 名

副膵管内蛋白栓を合併した胆管拡張型膵・胆管合流異常に対して亜全胃温 存膵頭十二指腸切除術を施行した 1 例

主題 IV 胆道再建術式

30

47

1.演

2.研 究 者 名

【目的】

当科では、先天性胆道拡張症に対して 2013 年から腹腔鏡下手術を導入し、これまで 5 症例 に施行した。第 37 回膵・胆管合流異常研究会では、当科特有の para-axial setting を用いた腹 腔鏡下手術について報告した。今回は、同手術の短期成績について報告する。

【方法】

2013 年から現在まで、当科で腹腔鏡下手術を行った 5 例の術前評価・術後成績について検討 した。

【結果】

男児が 1 例で女児が 4 例。手術時の平均月齢は 50.2 ヶ月、平均体重は 14.9kg であった。病 型分類(戸谷)はⅠ -A が 2 例、Ⅰ -C が 1 例、Ⅳ -A が 2 例であり、拡張胆管の平均径は 43.1mm であった。全ての症例で術前腹痛のエピソードがあり、1 例に PTCD を施行した。

PTCD を施行した症例は、術前ビリルビン値が 10.6mg/dl まで上昇していた。術前アミラーゼ 値の平均は 440IU/l で、最高値は 1160IU/l であった。術前 CRP 値の平均は 2.1mg/dl で、最 高値は 5.2mg/dl であった。平均手術時間は 607 分、平均出血量は 129ml であった。術後 1 例に minor leak と思われるドレーン排液を認めたが、経過観察のみで改善した。術後の平均 経口摂取開始時期は 3.8 日で、平均在院日数は 11 日であった。全ての児を外来経過観察して いるが、腸閉塞や膵炎などの合併症は現時点で認めていない。

【考察】

 術後は大きな合併症も無く経過は概ね良好であり、今後も症例数の増加が見込まれる。他院 の術後成績と比較すると、当科の手術時間は有意に長く、今後は手技の向上や手術時間の短縮 に努めたい。

症例 年齢

(歳)

性別 体重

(kg)

病型 手術時間

(分)

出血量 (ml)

合併症 術後在院日

1 2 10.2 Ⅳ a 621 40 10

2 3 14.2 Ⅰ c 541 130 10

3 1 7.6 Ⅰ a 558 110 9

4 11 30 Ⅳ a 550 280 10

5 2 12.4 Ⅰ a 765 85 リーク疑い 16

4.研 究 要 旨

長崎大学病院 小児外科 3.所

たうら やすあき

浦康明、大畠雅之、山根裕介、吉田拓哉、小坂太一郎、江口 晋、

永安 武

当科における腹腔鏡下胆道拡張症手術の短期成績の報告

1.演 2.研 究 者 名

【目的】

 手術過誤は発見が遅れると時に致命的となるが、今回われわれは胆道再建時の過誤解明とそ の解決に苦慮した先天性胆道拡張症の一例を経験したので、警鐘事例として報告する。

【症例】

 2 歳男児。先天性胆道拡張症に対して小開腹での腹腔鏡補助下拡張胆管胆嚢切除、肝管腸 Roux-Y 吻合術を前任者執刀で施行されたが、術後に内ヘルニアおよび肝管腸吻合部縫合不全 に伴う胆汁性腹膜炎を認めたため 9 日後に開腹での内ヘルニア解除および経 Roux-Y 腸管胆管 ステント留置が施行された際、Roux-Y 吻合部が回腸であったため空腸での Roux-Y 吻合部切離、

肝管 - 空腸腸管間置術(図 1)が施行された。

 それにより胆汁性腹膜炎は軽快したが、その後長期に亘って胆汁うっ滞を伴う胆管炎を反復 したため、癒着による通過障害を疑い、6 ヵ月後に再開腹術が施行されたが、癒着は軽度であっ たため、間置腸管逆流防止弁形成 ・ 腸瘻造設術が施行された。しかしその後も腸瘻チューブを クランプすると胆管炎を反復していた。

 担当医交代後、胆管炎反復の原因として肝管腸吻合部狭窄を疑い、腸瘻造影にて軽度の狭窄 を認めたため内視鏡的バルーン拡張を 2 回施行したが、狭窄は改善したもののその後も胆管 炎は反復した。その原因検索のため胆道シンチを施行したところ間置腸管内胆汁うっ滞を認め、

また小腸造影で間置腸管内への造影剤流入を認めた。

 その原因を熟慮したところ、初回手術での胆道再建時に Treitz 靭帯と回腸末端とを誤認し たため逆蠕動方向の回腸での胆道再建が施行され、さらに 2 回目の手術での肝管 - 空腸間の逆 蠕動回腸間置(図 2)を疑い、初回手術より 10 ヵ月後に 4 回目の手術を施行したところ、肝 管 - 空腸間の逆蠕動回腸間置が確認され、間置回腸転位術(図 3、4)を施行した。

 その後病状は改善して 4 週間で退院し、術後 2 年の現在まで胆管炎再燃は認めていない。

【考察】

 再建腸管の蠕動方向の誤認については、術中に気付かれて修復が行われる症例はあるものの、

文献的には過去に同様の事例の報告はなされておらず、ようやく昨年 12 月に日本医療安全調 査機構より「亜全胃温存膵頭十二指腸切除、結腸右半切除術で小腸を逆蠕動方向に再建した症 例」が警鐘事例として報告1)された。

 また、腹腔鏡下での小腸での胆道再建における腸管の口側・肛門側の誤認防止法として、

「Treitz 靭帯の同定に加え、Roux-Y 吻合予定部の口側と肛門側の腸間膜に色の違う血管テープ 4.研 究 要 旨

3.所

やまだ たかはる

田耕治1)、近藤琢也2)、渡部祐司3)、児島 洋4)、森本真光5)、桑原 淳3) 吉田素平3)、山本祐司3)

愛媛大学医学部附属病院 小児外科1)、北九州市立医療センター 小児外 2)、愛媛大学医学部附属病院 消化器腫瘍外科3)、医療法人仁友会 南 松山病院外科4)、国立病院機構愛媛医療センター 外科5)

胆道再建時の過誤解明とその解決に苦慮した先天性胆道拡張症の一例 主題 IV

胆道再建術式

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【文献】

1) 症例報告 No.2. 一般社団法人日本医療安全調査機構 医療安全情報 № 6, 2014 年 12 月 . 2) Atlas of PEDIATRIC LAPAROSCOPY and THORACOSCOPY. Saunders 社 .

     図1.誤認されていた初回手術と 2 回目の手術の内容

 

     図2.実際の手術と 2 回目の手術の内容

     図3 4 回目の手術時の術中写真

主題 IV 胆道再建術式

    図4 4 回目の手術内容(間置回腸転移術)

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