第8章 .放射性廃棄物対策の着実な推進
第3節 .長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU 廃棄物)地層処分事業の制度化
る。
2.フランス提案(固化体形態の変更)の取扱い
電気事業者が、フランスからの提案を受け入れることとする場合、我が国にとっても輸送 回数の低減や貯蔵、処分時の占有面積の削減などのメリットがある。
フランスからの提案を受け入れる場合に返還される低レベル放射性廃棄物ガラス固化体 の地層処分は、原子力委員会において、安全に実施することが技術的に可能と判断され、
処分方策の選択肢とすることは適切であるとされた。
当該廃棄物は、地層処分相当の廃棄物であることから、処分にあたっては、次節に示す 制度上の措置において対応することが適切である。
図 3.8.2 再処理施設から発生する長半減期低発熱放射性廃棄物
TRU 廃棄物には、α核種濃度が高い等の理由により、浅地中処分、余裕深度処分の概 念を適用できないと考えられるものも存在し、これらについては地層処分を行う必要があると 考えられると、原子力委員会において整理されている(図 3.8.3)。
図 3.8.3 長半減期低発熱放射性廃棄物の処分方法
浅地中ピット処分 操業
再処理施設 MOX燃料加工施設
地層処分
放射能濃度に応じた適切な処分
海外再処理施設
返還
50~100m
余裕深度処分
(地下鉄等、一般的な地 下利用に対し余裕を持っ た深度への処分)
300m以深
低レベル放射性廃棄物
数m 廃棄物
発 生
再利用
産業廃棄物として処分
解体
地層処分対象の 長半減期低発熱 放射性廃棄物
zコンクリート
ドラム缶
角型容器
キャニスター zハル・エンドピース
z雑固体廃棄物 zプロセス濃縮廃
液固化体 z廃銀吸着剤
処分の方法
z金属 主に解体時に発生
約 88,400m3
約 25,200m3
約 26,600m3
物量:「TRU廃棄物処分技術検討会-第2次 TRU廃棄物処分研究開発取りまとめ-」
(約19%)
(約18%)
(約63%)
原子力委員会新計画策定会議資料より プロセス濃縮廃液
雑固体廃棄物
高レベル放射性 廃棄物
ハル・エンドピース
吸着処理 大気放出
【長半減期低発熱放射性廃棄物の種類】
○ハル
・ 数cmにせん断された燃料棒を、溶解槽で溶解させた 際に溶け残る燃料被覆管
○エンドピース
•使用済燃料集合体の末端部分
•集合体のせん断時に、切断除去
○プロセス濃縮廃液
•酸回収、溶媒再生、除染、分析等により発生し、蒸発 濃縮等の処理後、固化
○雑固体廃棄物
•再処理工程の各工程で発生する雑多な固体状の廃棄 物
•可燃性(紙、布等容易に焼却できるもの)、不燃性 (金 属配管、ガラス等焼却できないもの)に分類
(MOX燃料加工施設の操業・解体からも発生)
○廃銀吸着材
•使用済燃料のせん断・溶解時に発生するオフガス中の 放射性ヨウ素を吸着した使用済みのフィルター
オフガス
廃銀吸着材
各工程から
TRU 廃棄物の地層処分については、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業同様、① 長期にわたる事業の安定的な遂行(長期安定性)、②長期にわたる安全性の確保(長期安 全性)、③国民及び地元からの信頼性の確保(社会的信頼性)の観点から、国の法的関与 等により計画的かつ確実に事業の遂行が可能な事業形態とすることが必要である。
なお、TRU 廃棄物の浅地中処分、余裕深度処分については、発生者等の関係者が具体 的な実施計画を速やかに立案、推進していくことが重要である。また、国は、TRU 廃棄物の 処分が確実に行われるため、基盤的技術に係る研究開発を行う等、適切な措置を講じてい くことが重要である。
2.長半減期低発熱放射性廃棄物の地層処分事業のあり方
(1)地層処分事業の特殊性を考慮した制度のあり方
①事業の基本スキーム
地層処分事業の特殊性に鑑み、TRU 廃棄物の地層処分事業のスキームは、国による 基本方針及び最終処分計画の策定、段階的な処分地選定プロセスや実施計画の承認 等、最終処分法と同様の制度とすることが適切である(図 3.8.4)。
図 3.8.4 長半減期低発熱放射性廃棄物の地層処分事業の基本スキーム
②併置処分を視野に入れた制度の整備
高レベル放射性廃棄物の処分施設の近傍に、地層処分が想定される TRU 廃棄物の 処分施設を併設して処分を行う併置処分については、原子力委員会において、相互影 響を受けずに安全に地層処分することが可能であり、地層処分の処分方策の選択肢とす ることは適切であるとされた。
併置処分の実現により、処分場数の低減、処分地選定手続きや一部施設の共有化に よる合理化等の経済性の向上が見込まれることから、国としては、関係者の理解を前提に、
併置処分を視野に入れた施策を進めることが重要である。このため、高レベル放射性廃 棄物の処分実施主体が TRU 廃棄物地層処分の処分実施主体となり得る制度とすること が合理的である。
以上を踏まえると、TRU 廃棄物地層処分事業は、最終処分法の枠組みの下、国の認 可を受けて設立される「原子力発電環境整備機構」が行うこととすることが適切である。な お、既に設立・認可されている機構についても、業務追加の申請認可により、TRU 廃棄
拠出金単価の決定 実施計画の策定 指定・監督
設立認可・監督
資金の流れ 資金の流れ
実施主体 原子力発電環境整備機構
処分地の選定 最終処分の実施 拠出金の徴収 ほか
実施主体 原子力発電環境整備機構
処分地の選定 最終処分の実施 拠出金の徴収 ほか
廃棄物発生者 電力会社 再処理事業者 MOX燃料加工事業者
資金管理主体
資金の管理・運用 ほか
資金管理主体
資金の管理・運用 ほか 積立金の
外部管理
積立金の取戻し
(経済産業大臣の承認要)
経 済 産 業 大 臣
○ 基本方針の策定
● 最終処分の基本的方向
● 国民、関係住民の理解増進に関する事項 ほか
○ 最終処分計画の策定(5年ごとに10年間の計画を策定)
● 最終処分の実施時期、処分量
● (今後、概要調査地区などが選定されたときはその所在地)ほか 経 済 産 業 大 臣
○ 基本方針の策定
● 最終処分の基本的方向
● 国民、関係住民の理解増進に関する事項 ほか
○ 最終処分計画の策定(5年ごとに10年間の計画を策定)
● 最終処分の実施時期、処分量
● (今後、概要調査地区などが選定されたときはその所在地)ほか
拠出金の納付
実施計画の承認 業務困難な場合の措置
解散の歯止め
物地層処分事業を行うことを可能とすることが適当である。
③併置処分を制度化する際の留意事項
現在、高レベル放射性廃棄物の処分地選定手続きが進められており、TRU 廃棄物の 地層処分がその手続きに加わってくる状況も想定されるなか、TRU 廃棄物を含めた地層 処分事業を円滑に進めていくためには、地元の理解を得ていくことが重要である。
また、TRU 廃棄物地層処分の地質環境に求められる要件は、基本的には高レベル放 射性廃棄物と同様のものと考えられるが、併置処分の実現のためには、一定のスペース が必要等の理由から、候補地点の地質環境等の実地調査(例えば、ボーリング等による 概要調査)の結果が得られた後に、判断がなされるべきである。
そのため、併置処分を制度的に義務付けるのではなく、地元の意向等も考慮できるよう、
処分実施主体が選択可能な事業オプションとして位置づけるべきである。
(2)費用確保のあり方
①地層処分事業を考慮した費用確保方策の基本的考え方
TRU 廃棄物の地層処分事業に係る費用措置の方法については、処分地選定から閉 鎖後のモニタリングまで含めた、長期にわたる事業に要する資金を確実に確保するため、
拠出金として予め手当てすることが必要である。その際、国は、手当てされるべき額を合 理的な見積りに基づいて確定し、拠出の方法を明確化する等、合理的かつ安定的な資 金確保制度を設計することが重要である。
拠出された資金の安全性・透明性を確保するために、最終処分法と同様、独立の主体 による資金管理が行われることが必要である。
②費用措置の前提
○拠出金制度の対象となる廃棄物
TRU 廃棄物のうち地層処分の対象となるものは、①ハル・エンドピースや廃銀吸着 材のように含まれる放射性物質の種類や濃度から地層処分することが適切であり、発 生に至るプロセスや廃棄物の物性に基づき区分が可能であるもの、及び②廃棄物毎 の発生に至るプロセス等では区分ができないものの、濃度区分等処分場に要求される 安全規制上の要件に基づき浅地中処分又は余裕深度処分を適用できないものであり、
これらの廃棄物を拠出金制度の対象とすることが適切である(図 3.8.5)。また、必要に 応じ、処分実施主体が、業務の遂行に支障のない範囲内において、拠出金制度の対 象とならない TRU 廃棄物の処分を受託することが可能な制度とすることが適切である。
図 3.8.5 拠出金制度の対象となる長半減期低発熱放射性廃棄物(地層処分)
地層処分
ハル エンドピース 廃銀吸着材
放射性のヨウ素を 除去する吸着材 排気
銀吸着材
吸気 (断面)
細 概 要 断
難燃性廃棄物
ゴム手袋
工具 金属配管 不燃性廃棄物 濃縮廃液等
特 徴 ・発熱量が比較的大・C-14を含む ・I-129を含む ・硝酸塩を含む -
廃棄体 イメージ
(例)
(例)
処分方法
低レベル放射性廃棄物 低レベル放射性廃棄物 低レベル放射性廃棄物
(例)
(例)
余裕深度処分・浅地中処分
硝酸系廃液の処理例 モルタル
ペレット
乾燥・ペレット化 硝酸系廃液
モルタル
ペレット
乾燥・ペレット化 硝酸系廃液