3.1 対象地域
3.1.1 対象地域の現況
(1) 対象地域の特徴
CDB エリアを含む配水区1は、ヤンゴン市の政治・経済の中心部である。ヤンゴン・ダウンタ ウンの中心にはスーレーバゴダが位置しており、 高さ 50m近い黄金の塔である。周囲はロータ リーになっており、市庁舎が隣接している。この円を中心に東西にマハバンゥーラ通り、南北に スーレーパゴダ通りが延びる。
配水区 1 は CDB および IUR のタウンシップから構成されており、イギリス統治時代の水道施設 が存在する配水区である。従って、多くの水道施設が老朽化しており、漏水率の削減を図るには、
それらの更新が必要である。本 F/S では、この配水区内の水道施設の近代化として、配水施設の 全面更新を計画する。
現在の給水状況は下表のとおりである。
表 3.1 2011 年の配水区1の給水状況
項目 配水区 1
推計人口 875,783
給水人口 624,785
給水普及率 71.3%
給水件数 74,977
一日最大配水量 237,049 m3/日 52 MGD 出典:JICA 調査団
(2) 配水区 1:Central area 配水区
提案する配水区は、この地区の地形を活かすものとする。旧市内の南北に丘陵地帯が走ってお り、その高台に配水池を設け、なるべく自然流下方式で配水する。既設の配水池である Kokine 配水池(20MG)、Shwedagon 配水池(1MG)は市南部の高台にある。さらに。Shwedagon 配水池に隣 接する Central 配水池(10MG)を改築すれば、合計配水池容量は 31MG となる。
配水区は、下図に示すとおり CBD、Inner Urban Ring 地区であり、Inya 湖の南端が北の境界、
Pazuntaung 川が東の境界となる。Dagon、Bahan、Sanchaung タウンシップの標高は 10~20m 以上 と比較的高く、出水不良地区となっているため、これらを高区としポンプ圧送し、その他の低平 地を低区とし自然配水系とする。
ミャンマー国ヤンゴン市上下水道改善プログラム協力準備調査 第4巻 上水道フィジビリティスタディ
3-2
出典:JICA 調査団 図 3.1 配水区 1 の既存管網位置図
ミャンマー国ヤンゴン市
上下水道改善プログラム協力準備調査 第4巻 上水道フィジビリティスタディ
3-3 3.1.2 計画給水人口
水道計画の基本数値を下表に示す。
表 3.2 配水区 1 の水道計画の基本数値 (1) 推計人口の推移
2011 2018 2020 2025 2040 自然流下系 570,560 577,102 579,198 584,933 607,293 ポンプ系 305,223 313,134 315,668 322,603 349,641 計 875,783 890,237 894,866 907,535 956,934 (2) 給水人口の推移
2011 2018 2020 2025 2040 自然流下系 442,700 492,627 503,786 521,473 587,302 ポンプ系 182,085 224,676 237,857 262,157 338,604 計 624,785 717,303 741,643 783,630 925,906 (3) 給水普及率の推移(%)
2011 2018 2020 2025 2040 自然流下系 77.6% 85.4% 87.0% 89.2% 89.2%
ポンプ系 59.7% 71.8% 75.4% 81.3% 82.5%
計 71.3% 80.6% 82.9% 86.3% 86.8%
(4) 給水件数の推移(件)
2011 2018 2020 2025 2040 自然流下系 57,585 91,604 91,936 92,846 96,396 ポンプ系 17,392 49,704 50,106 51,207 55,499 計 74,977 141,308 142,042 144,053 151,895 注)給水件数;2011 年は実績値、それ以降は給水人口÷6.3 人/件で推計した。
出典:JICA 調査団
3.1.3 計画需要量
一日最大需要量は、2011 年の現況から 2025 年で 1.2 倍、2025 年から 2040 年で 1.6 倍に増加す ると推計されている。計画需要量は、計画目標年度である 2025 年の 63MGD とする。
表 3.3 一日最大需要量の推移
m3/日 2011 2018 2020 2025 2040 自然流下系 154,827 180,602 183,337 191,209 239,272 ポンプ系 82,222 82,881 87,051 96,122 137,951 合計 237,049 263,483 270,389 287,331 377,223
MGD 2011 2018 2020 2025 2040
自然流下系 34 40 40 42 53
ポンプ系 18 18 19 21 30
合計 52 58 59 63 83
出典:JICA 調査団
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3-4 3.2 給水計画
配水区1の 2011 年から 2040 年までの給水計画を下表にまとめる。計画水需要量は計画目標年 である 2025 年の一日最大需要量を採用する。配水区 1 の DMA と配水主管位置を次図に示す。
表 3.4 配水区 1 の給水計画
2011 2018 2020 2025 2040 推計人口 875,783 人 890,237 894,866 907,535 956,934 給水人口 624,785 人 717,303 741,643 783,630 925,906 給水件数 74,977 戸 141,308 142,042 144,053 151,895 給水普及率 71.3% 80.6% 82.9% 86.3% 96.8%
計画漏水率 50 % 37 33 25 10
給水原単位(家庭用) 95 L/日 126 133 150 200 一日平均需要量 215,499 m3/d 239,529 245,808 261,210 342,929
47 MGD 53 54 57 75
日最大係数 1.09 1.10 1.10 1.10 1.10
一日最大需要量 237,049m3/d 263,483 270,389 287,331 377,223
52 MGD 58 59 63 83
DMA(配水管理区画) 0 35 35 35 35
出典:JICA 調査団
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3-5
出典:JICA 調査団 図 3.2 配水区 1 の DMA と配水主管位置図
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3-6 3.3 施設計画
3.3.1 送水施設
2025 年のヤンゴン市の 10 配水区の水需要量と貯水池水源配分を次図に示す。本図は、マスター プランから、ヤンゴン市域以外(周辺 6 タウンシップ)の需要量と配分を取り除くことにより、
修正し作成されている。
出典:JICA 調査団
図 3.3 配水区1の水源(M/P の水量配分を一部修正)
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3-7
マスタープランでは、将来は Yegu ポンプ場を経由しなくとも直接水源あるいは浄水場から各配 水池に送水可能なように、各水源及び浄水場のポンプ能力を修正することとして計画している。
しかし、2025 年においては、Gyobyu、Hlawaga、Ngamoeyik の水が、既設 Yegu ポンプ場を経由し て配水区1に供給される。2025 年以降は、新設される Kokkowa 浄水場からの送水にて賄われる計 画である。
既設 Yegu ポンプ場と配水区1の配水池の位置を下図に示す。Yegu ポンプ場から既存 2 配水池 までは、既存送水管を使用するため本計画対象には含まれない。
M/P では、Kokkowa 川の浄水が配水区 1 および 3 に送水できるようになった時点の 2030 年頃に 既設 Yegu ポンプ場は廃止の予定である。しかし、配水区1の近代化は、それ以前に実施する計画 である。従って、この移行期の間は、Yegu ポンプ場を活用することとする。
将来廃止となるため、Yegu ポンプ場の改修は本 F/S に含めなかった。既設 Yegu ポンプ場のポ ンプ類は老朽化している。本ポンプ場の状況は十分監視しポンプ類の故障した場合は、ポンプの 修理あるいは改修を行う必要がある。
Kokkine 配水池
⇒ 容量が最も大きく
市内南部地域全体への配水拠点。
Central 配水池
⇒ 市内中心部に近く、容量も 大きく、標高も高い Shwedagon 配水池
⇒ 市内中心部への配水拠点で あるが、容量が小さく、配水池 としての機能が果たせない。
水需要の大きいDowntown
出典:JICA 調査団
図 3.4 配水区1の既存配水池位置図 Yegu P/S 既存の送水施設 配水池へ供給する拠点
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3-8
3.3.2 配水基幹施設(配水池、配水ポンプ、配水本管)
(1) 基幹配水施設の概要
基幹配水施設(配水池、配水ポンプ、配水本管)の概要を以下に示す。
表 3.5
基幹配水施設の概要 施設既設 Kokine 配水池 配水池 RC 製 91,000 m3 x1 池 配水ポンプ なし(配水自然流下方式)
改築 Central 配水池 配水池 RC 製 45,000 m3 x1 池 配水ポンプ 26.0 m3/min x 2 台
88.6 m3/min x 3 台
配水本管 φ300-1800 x70.5 km (配水池から各 DMA 入口まで) 出典:JICA 調査団
(2) 配水池の計画
配水池は既設配水池の容量と同量とし、下表のとおり設定する。
表 3.6 配水池容量の計画
既設 Kokine 配水池 改築 Central 配水池 20MGDx4546=91,000 m3 10MGDx4546=45,000 m3
自然流下 配水ポンプ併設
出典:JICA 調査団
1) Kokine 配水池
a) 配水池の現況
既設の Kokine 配水池(20MG、図 3.6)は市南部の高台に位置し、周辺は高級住宅街に囲まれて いる。ヤンゴンの配水拠点となっている配水池であり、1926 年に完成し、90 年弱と長期間使用さ れている。構造物の健全度については地上部が土に覆われており詳細は不明であるが、Central 配水池と異なり漏水は確認されていない。2007 年の清掃時には、汚泥が約 1.5m(5feet)沈殿して おり、ポンプで引抜き除去を行った。その後の汚泥高は 0.6m(2feet)程度になったとのことで ある。このため、池の定期的な清掃が必要である。
表 3.7 Kokine 配水池の概要
配水池名 概要
Kokine 配水池 建設時期:1925~1926 年 敷地面積:559 feet X 286 feet 構造:地下式 RC 配水池
容量:90,920 m3 (20MG)
水位:HWL +42.7m(140feet)、LWL +36.6 m(120feet)、水深 6.1m 流入管:φ1400mm 鋼管(Yegu ポンプ場から送水)
流出管:Shwedagon 配水池用φ1050mm 送水管、北方面タウンシップ用φ1050mm 鋳鉄管及び東南タウンシップ用φ1050mm 鋳鉄管
出典:JICA 調査団
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3-9
Kokine 配水池の下流には Shwedagon Pagoda 配水池(1894 年築造、容量 1MG)があるが、池容 量が配水量と比較して少量のため、配水池に水が溜まらず素通り状態となっている。そのため、
配水区1における配水池の滞留時間は以下のように算出される。配水池の滞留時間は 8 時間を目 安とすると、現在の池容量は十分であると言える。しかしながら、需要増に伴って、将来は滞留 時間が減少することから、2020 年以降は容量不足になるものと予想される。従って、配水池の容 量増あるいは他の配水池の整備が必要である。
表 3.8 Kokine 配水池の滞留時間(Central 配水池を改修しない場合)
2011 2018 2020 2025 2040 一日最大需要量(MGD) 52 58 59 63 83 滞留時間(時間) 9.2 8.3 8.1 7.6 5.8 注:滞留時間=配水池容量(20MG)÷需要量 MGD×24 時間
出典:JICA 調査団
b) 配水池の将来計画
前出の通り、Kokine 配水池の構造物の健全度については不明な部分が多く、現況を調査するに は、配水池を空にして内部調査を実施しなければならない。しかしながら、配水池はダウンタウ ンエリアへ配水する重要拠点の一つであり、配水池停止時には広域の断水が発生する可能性が高 い。配水池停止時の断水予想図を下図に示す。
出典:JICA 調査団
図 3.5 Kokine 配水池停止時の断水影響予想範囲(着色範囲)
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3-10
従って、配水池を空にして調査を実施するために以下のステップを想定し、後述する Central 配水池の改築を計画の一部とする。
Step1: Yegu 増圧ポンプから Central 配水池への直送管を整備する(Kokine 流入管のバイパス 工事)。
Step2: Central 配水池の配水エリアをポンプ圧送系(高区)に再編し、管路整備を行う。
Step3: 現在使用していない Central 配水池の改築および配水ポンプの整備。
Step4: 低区と高区を分割するために、Central 配水池から高区に試験的に配水。
Kokine 配水池のためのステップとして、
Step5: Kokine 配水池を空にして、配水池内の清掃および構造物の診断等の調査の実施。
Step6: 診断結果に応じて、補修・補強工事を実施する。
Step7: Kokine 配水池の配水エリアを自然流下系 (Low Zone)とし、管路整備を行う。
Step8: Shwedagon Pagoda 配水池の運用停止。
配水池の診断結果によっては、Kokine 配水池を改築する可能性もあるが、本計画では配水池を 継続して利用することを前提で計画し、配水区1の低区用の配水池として整備する。Central 配 水池の改築により Kokine 配水池が受持つ配水区域が軽減されるため、下表のとおり将来に渡って 8 時間以上の滞留時間を確保することが可能となる。
表 3.9 Kokine 配水池の滞留時間(Kokine 配水池と Central 配水池の併用運用のケース)
2011 2018 2020 2025 2040
一日最大需要量(MGD) 52 40 40 42 53
滞留時間(hr) 9.2 12 12 11 9
注:滞留時間=配水池容量(20MG)÷需要量 MGD×24 時間 出典:JICA 調査団