第2章 木の部品化概論
③ 真壁の構造特性
2.4 部品化による地域材住宅の仕様
在来木造軸組工法を真壁にすることで、標準化による部品化システムの効果は大き いことが前章から分かった。真壁の軸組により、3 次元の立体としての部品にはない、
垂直の柱と水平の梁による 2 次元の線材部品の組み合わせは、多様な軸組のパターン が考えられる。この多様化は部品の組合せによる効果であり、この部品の壁や建具を 配置して、決定される空間は多様になる。
本開発の部品化による地域材住宅の建設は急な技術改変ではなく、旧態の大工工務 店の在来軸組工法を踏襲しつつ改良すべきものと考える。そのため、これまでに日本 家屋に受け継がれてきた 3 尺グリッド 6) (図 10)を踏襲する。現在の在来軸組工法おけ る家のグリッドは、柱を正角とする芯押さえの関東間が主流である。しかし、本開発で は管柱と通柱も全て 120mm 角の柱とするダブルグリッドにする。京間のダブルグリッ ドに倣うことで、柱間の内法が標準化でき、壁パネルの巾が規定できる。この 3 尺巾 は流通する建材も 3 尺×6 尺の大きさのものが多く、日本人の体形に合っていて作業 性がよい材料寸法である。なお平面計画において、3 尺巾の廊下の有効巾は、真壁の両 側板壁では内法寸法が 844mm であり、大壁では両側石膏ボード下地のビニールクロス 貼では内法寸法は 764mm である。これは真壁の方が 80mm(10%)ほど広くでき、廊下の 直線部分では車椅子も通行可能な寸法になる。また、近頃は畳の間は少ないが、3 尺グ リッドによる畳の標準化は、住まい手と作り手の空間認識が畳の畳数で理解し合える ことも大きなメリットである。
真壁による部品は、柱梁による制約により、関連づけられた部品であり、他の部品と 干渉することが少ない。これは柱や梁に仕切られ、互いに絡むことなく自立している からである。この様に真壁で構成される解かれた部品は交換可能になる。
現在の木造住宅の外壁に取付ける建具は、ほぼ規格アルミサッシに独占されている。
以前の規格アルミサッシの開口寸法は、メーカーにより各々異なっていたが、1998 年 5 月、国の答申で各メーカーは統一された開口寸法(図 11)で製造することになった。
メーカーは製品の種類とその性能で競っているようである。開口寸法が統一されてい るため、ユーザーはどのメーカーでも選ぶことができるのでアルミサッシの交換は有 利である。
本開発の地域材住宅は、この規格アルミサッシの高さ寸法を基準にして、建地割で ある矩計(図 11)を計画する。
構造部品の柱や梁は、栃木県における山の杉の植生(図 4)から、(図 5 上欄 T120 シ リーズ)は定寸 3 種の 120×120,120×180,120×240 と定尺 5 種の 3m,4m,5m,6m ,4 種 を用いる。桧材は1種の定寸 120×120 と 3 種の定尺 4m, 6m にして矩計(図 11)を決 定する。
造作部品は木取(図 4)から木割(図 5 の T40,T30,T15 シリーズ)の厚みによる標準 化を行っている。幅は各々3,4 種類で数少ない部品にしている。一般的に原木からの歩 留は 60%程度であるが、これらの部品による歩留りは、90%以上になっている。また下 地材の寸法と造作材の寸法を同じにして、材の美醜で良いものは造作材として使い、
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その他は下地材として使う。例えば T30シリーズの 30mm×40mm は造作材の格子と下地 材のパネル桟を同寸法として使う。この使用部位にすることで、自然木の美醜のばら つきは緩和できる。
壁は作業場の製作により、両面に杉板や面材を張ったパネル(図 6,図 7)にして、
外形は取り付け部位により、土台から胴差までの高さの 1 階全パネル、胴差から軒桁 までの 2 階全パネル、窓の高さに応じて高さが変わる腰壁パネル、小屋組の母屋や棟 木と同方向に配置する母屋パネル、小屋組の張間方向の屋根勾配にした妻パネルの 5 種類と造作部品に属する腰板パネル 1 種の計 6 種類(図 6)である。この壁パネルの外 形寸法は 3 尺グリッドによる柱幅のダブルグリッドで幅が決定され、高さは矩計で決 定する。
木割(図 5)と壁パネル(図 7)による部品で構成した平面詳細図を図 12 に示す。
この図から各部品は明解に柱により隣接する部品と重なりが無く独立していることが 分かる。そのため部品の交換は容易である。これは施工時では個々に部品を取り付け られるため、他の部品に影響を与えずに並行して他業種も工事が行えるので工期の短 縮につながる。
図 10 3 尺モジュールによる平面の標準化された畳
(注)文献 1)から抜粋
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図 11 規格アルミサッシの開口寸法の標準化
(注)サッシメーカーのカタログより
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図 11 計画した矩計
建地割
図 12 地域材住宅の矩計図
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図 13 部品取り付けの平面図