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第3章 古民家と在来工法住宅の耐震性能

3.4 古民家と在来工法住宅の構造特性

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なりがちになる。そのため、在来工法住宅は古民家よりも偏心が大きくなると推察で きる。これは一般に、伝統構法住宅の構造特性は「総持ち」と言われる所以である。

1/30rad.時復元力を見ると古民家の方が在来工法住宅よりも大きくなっている。在 来工法住宅は古民家の 6 割ほどになっている。また 1/30rad.のベースシア係数 GB(せ ん断力係数、建物の重量と建物の復元力の割合)でも古民家の方が在来工法住宅より も大きく、在来工法住宅は古民家の 6 割ほどになっている。これも耐震要素の違いに よるものである。

設計のクライテリアを稀に発生する地震動(中地震)の損傷限界変位を 1/120rad.

にして、極稀に発生する地震動(大地震)の安全限界変位は建築基準法・告示第 1457 号第 6 の 2 に示す 1/30rad.に設定した。古民家の損傷限界変位は張間方向では

1/91rad 桁行方向では 1/87rad であり、安全限界変位は張間方向で 1/19rad、桁行方 向では 1/17rad である。一方、在来工法住宅では損傷限界変位は張間方向、桁行方向 とも 1/108rad であり、安全限界変位は張間方向で 1/15rad、桁行方向では 1/16rad で ある。この様に古民家、在来工法住宅とも設計のクライテリアの損傷限界変位

1/120rad.安全限界変位 1/30rad.の両方ともクリアできていない。古民家と在来工法 住宅の損傷限界変位を比べれば在来工法住宅の方が小さくなっている。これは在来工 法住宅の耐震要素は大壁造のサイディングと石膏ボードの面材による耐力壁であり、

古民家の土壁や貫によりも剛性が高い材料であるためである。安全限界変位では双方 とも同じ傾向を示していて、むしろ在来工法住宅の方が塑性域が長い傾向を示してい る。それは在来工法住宅の限界耐力計算表の表 5、2(2)耐震要素の耐力と補正耐力に 示す様に、外壁に使用するサイディングは変形が進んでも耐力が落ちない性状を示し ており、そのため安全限界変位が大きくなっている。

そこで古民家と在来工法住宅の特定変位時におけるべースシア係数の値の大小を比 べて見る。そのため、表 4(古民家)と表 5(在来工法住宅)の各々の 3(1)張間、

8(1)桁行に示す特定変形時におけるベースシア係数のグラフを図 9 と図 10 に表して みる。これから分かるように、各特定変形時におけるベースシア係数は、古民家の方 が在来工法住宅よりも高い値を示している。在来工法住宅は張間方向、桁行方向とも 1/60rad~1/40rad 時がベースシア係数のピークなっていて、その後の変位は減少に転 じている。しかし、古民家では 1/40rad.を過ぎても減少することなく増加して、

1/15rad.においても減少はしていない。在来工法住宅の安全限界変位が大きく古民家 と同じような傾向であるが、各特定変形時のベースシア係数を見ると、在来工法住宅 はそれほど塑性域でのベースシア係数を高く維持できない。その点、古民家は塑性域 でのベースシア係数を高く維持できる、変形能力が高い構造特性を示している。この 特性は木造建築が一度塑性変形を経験した本震後の余震においても信頼できる根拠

2),4)になる。

0 0 0.1 0.2 0.3

1/120 1/60 1/40 1/30 1/20 1/15

桁行方向

1 2 3 4 5 6 7 8

古民家

図 10 桁行方向の特定変形時のベースシア係数

べ-スシア係数

在来工法住宅

特定変形角(rad,)

1 2 3 4 5 6 7 8

0 0 0.1

0.2 0.3

1/120 1/60 1/40 1/30 1/20 1/15

張間方向

べ-スシア係数

特定変形角(rad,)

図 9 張間方向の特定変形時のベースシア係数

在来工法住宅

古民家

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