第 4 章 ユークリッド幾何学と位相幾何学 61
4.5 部分集合と開集合・閉集合
4.5. 部分集合と開集合・閉集合 第4. ユークリッド幾何学と位相幾何学 一方で,実は非常に大変なことが生じてくる.4.2節で,
「閉区間[0,1]と開区間(0,1)が,Rの同相写像で移り合わない」
ことを証明した.これからすぐに,
「閉区間[0,1]と開区間(0,1)は同相でない」
ことが証明できるだろうか?
とりあえず,同じように証明できるかやってみよう.そのためには,定理
4.2.2と4.2.3,さらにその拡張である前節の定理4.4.1の拡張版をつくる必
要がある.
まず同様に,前節の定義(4.4.3,4.4.4,4.4.5) を拡張してみる.
定義4.5.3. 【ε-近傍(ε-neighborhood)】XをRnの部分集合(つまり X ⊂Rn)とし,xをX 内の点とする(つまり,x∈X).与えられた ε >0に対して,xのXにおけるε-近傍とは,次の集合のこと.
N(x, ε;X) ={y∈X|d(n)(x, y)< ε}
注意 4.5.2. つまり,N(x, ε;X) =N(x, ε;Rn)∩X のこと.
定義4.5.4. 【連続写像の定義の言い換え】
X⊂Rn,Y ⊂Rm,f :X →Y とし,a∈Xとする.
このとき,fがaにおいて連続であるとは,次が成り立つこと.
fがaにおいて連続⇔
∀ε >0,∃δ >0 s.t. x∈N(x, δ;X)⇒f(x)∈N(f(a), ε;Y) さらに,∀a∈X においてf が連続であるとき,fはX上で連続,また は,単に,fは連続写像であるという.
定義4.5.5. 【部分集合の開集合(relative open set)】
X ⊂RnかつY ⊂X のとき,Y がX 内で開集合であるとは,任意の y ∈ Y に対して,あるε > 0が存在して,N(y, ε;X)⊂ Y が成り立つ
こと.
注意 4.5.3. 例えば,任意のx∈X ⊂Rnとε >0に対して,N(x, ε;X)は X の開集合.
定義4.5.6. 【部分集合の閉集合(relative closed set)】
⊂Rn ⊂ −
第 4. ユークリッド幾何学と位相幾何学 4.5. 部分集合と開集合・閉集合
注意 4.5.4. 全体集合ではなく,部分集合の開集合である,ことを特に明示
したいときは,「相対開集合」という言い方をする(この「相対」は relative の訳).閉集合についても同様.
こうすると,確かに前節の定理4.4.1の拡張版が証明できる.
定理4.5.1. 【連続関数と開集合・閉集合】
X⊂Rn,Y ⊂Rm,関数f :X→Y に対して,fがX 上の連続関数
⇔終域Y の任意の開集合V に対して,fによるV の逆像f−1(V)が Xの開集合.
⇔ 終域Y の任意の閉集合W に対して,f によるW の逆像f−1(W) がXの閉集合.
ところが,問題発生.この定理を使って「閉区間[0,1]と開区間(0,1) は 同相でない」ことを証明しようと思うと...
(背理法)X = [0,1]とY = (0,1)が同相だったとしよう.つまり,同相 写像f :X →Y が存在したとする.もし,
「閉区間[0,1]が開集合でない」かつ「開区間(0,1) が開集合で ある」
となれば,f−1(Y) = X より,定理 4.5.1 に矛盾.しかし,これは正しい のか??
次の定理を使ってみると..
定理4.5.2. 【部分集合の開集合の特徴付け】
XをRnの部分集合,V をXの部分集合とするとき,
V がXの開集合 ⇔ ∃V˜ ⊂Rn s.t. V˜はRnの開集合 かつV = ˜V ∩X
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4.5. 部分集合と開集合・閉集合 第4. ユークリッド幾何学と位相幾何学 練習問題 4.5.1. X ={x∈R|x >0} ⊂Rとする.f(x) = (x,|xx|)で決まる 写像f :X →R2は連続写像であることを示しなさい.
(Hint: まずは写像fのグラフを図示してみよう)
練習問題 4.5.2. X = [0,1]⊂R,Y ={(x, y)|y=x,0≤x≤1} ⊂R2とす る.XとY は同相であることを示しなさい.
(Hint: f(x) = (x, x)で決まる写像f :X→Y を考える)
練習問題 4.5.3. X = [0,1]×[0,1]⊂R2とする.N((0,0),1;X)を図示しな さい.
練習問題 4.5.4. X = [0,1]×[0,1]⊂R2,Y =X−(0,0)⊂Xとする.Y が X 内で開集合であることを示しなさい.
第 4. ユークリッド幾何学と位相幾何学 4.5. 部分集合と開集合・閉集合
【余談】トポロジーと位置と形
もうちょっと複雑な例.平面上の単位円周と,3次元空間内の結び目とか.
これは図形としては「同じ」ように思えるが,空間への入り方が違うことに よる.そのような分類基準を採用すれば,また違う幾何学ができて面白いが,
一般的な位相幾何学では,それらは「同じ」図形だと見なしたい.
図 4.1: 結び目 結び目理論
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