凡 例
第 2 節 適応策(影響と対策)
1「農業、森林・林業、水産業」
気候変動の影響が懸念される事例
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異常気象の増加により、農業への影響が予測されています。
短時間集中豪雨の発生頻度の増加により、山地や傾斜地での崩壊・土石流等が頻発し、周辺地域 の社会生活に与える影響が増大することが予測されています。
海水温の上昇による藻場の種構成や現存量の変化によって、磯根資源(磯に根付いて生活する魚 類・貝類・藻類等)への影響が予測されています。
強い台風の増加等による高波のリスク増大の可能性があり、 漁港施設等への被害等が予測されて います。
適応策
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災害に強い農業生産基盤の整備に取り組みます。
森林の有する水源の涵養、災害の防備等の公益的機能を高度に発揮させるため、森林の整備等を 推進します。
海水温上昇による海洋生物の分布域・生殖場所の変化を把握し、それに対応した水産生物のすみ かや産卵場となる藻場造成や漁礁設置等の漁場整備に取り組みます。
異常気象による高波の増加などに対応するため、 防波堤等の漁港施設や海岸保全施設の整備等を 推進します。
漁礁設置 間伐材の搬出(森林整備)
2「水循環・水資源」
気候変動の影響が懸念される事例
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公共用水域の水温の上昇に伴う水質悪化が予測されています。
年間の降水日数の減少により、渇水が頻発化、長期化、深刻化することが懸念されています。
適応策
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貯水池(ダム湖)については、水質の変化に応じて、曝気循環等の水質保全設備の適正な運用に 取り組みます。
渇水期における対応策として、貯水率に応じ、近接河川からの補水、節水広報の実施、制限パッ キンの取付け等の段階的な対応を行うマニュアルを作成していますが、 渇水期でも市民生活への 影響を軽減できるよう、臨時的に水を求めるための補水箇所を追加する調査を進めるほか、マニ ュアルの充実を図ります。
雨水利用のための施設の設置を促進するとともに、道路維持用水や樹木散水等を含め、下水処理 水の利用を促進します。
雨水利用タンク 浦上ダムの曝気循環の様子(水質保全)
3「自然生態系」
気候変動の影響が懸念される事例
○ 気候変動により、分布域の変化やライフサイクル等の変化が起こることにより、種の絶滅を招く 可能性や外来種の侵入・定着率の変化に繋がることが想定されています。
適応策
○ 健全な生態系を保全・再生するため、外来種の防除と水際対策、希少種の保護増殖など、生物多 様性の保全のため施策の推進を図ります。
外来種(ブルーギル)
希少生物(カスミサンショウウオ)
外来種(ミシシッピアカミミガメ)
4「自然災害(防災)」
気候変動の影響が懸念される事例
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記録的な大雨の増加により、河川災害、土砂災害、浸水被害等の増加と被害の拡大が懸念されて います。
海面水位の上昇や強い台風の増加により、高潮や高波による浸水被害の拡大が懸念されていま す。
適応策
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長崎市は、 平坦地が少なく、急な崖が迫った斜面地まで住宅が建てられているという地形的な特 長から、急傾斜地の崩壊対策や河川の改修に取り組みます。
海抜表示シートの設置、ハザードマップの整備等を継続するほか、防災行政無線・防災メール等 による情報伝達の強化を図ります。
防災拠点へ太陽光発電施設及び蓄電池を導入するなど防災施設の充実を図ります。
地域防災計画に登載している農道、林道及び作業道の危険箇所において、法面の崩落等による災 害防止を図ります。
急傾斜地崩壊対策 整備前
(年)
長崎の海面水位平年差の推移
長崎海洋気象台提供
(年)
※海面水位平年差とは、平均潮位から平年値を引いたもの(単位cm)。 平年値の期間は1981〜2010年の 30 年平均値。
出展:「九州・山口県の気候変動監視レポート2015(福岡管区気象台作成)」より
5「健康」
気候変動の影響が懸念される事例
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夏期の熱波の頻度が増加し、熱中症搬送者数が増加することが予測されています。
気候変動による気温の上昇や降水量の増加は、感染症を媒介する蚊(ヒトスジシマカ)の居住環 境における個体数を増加させる等、 デング熱など感染症にかかりやすい要因を増加させる可能性 があります。
適応策
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熱中症による救急搬送人員数の調査・公表や熱中症予防の普及啓発(熱中症チラシの作成配布、
広報ながさきや出前講座での注意喚起など)に取り組みます。
ホームページにおいて、デング熱などの感染症の情報提供を行うとともに、国の指針「蚊媒介感 染症に関する特定感染症予防指針(平成 27 年 4 月 28 日告示)」に基づき、長崎県と協力して 蚊の生息調査等を実施していきます。
デング熱を媒介するヒトスジシマカ 熱中症ちらし
6「市民生活・都市生活」
気候変動の影響が懸念される事例
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気候変動による短時間強雨や強い台風の増加等が進めば、インフラ・ライフライン等に影響が及 ぶことが懸念されています。
都市化によるヒートアイランド現象に、気候変動による気温上昇が重なることで、都市域ではよ り大幅に気温が上昇することが懸念されています。
適応策
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浸水被害が想定される地域において、 雨水排水ポンプの設置や都市下水路の整備による浸水対策 を推進するとともに、災害時における人員・物資の輸送を確保するため、防災道路の整備や緊急 輸送道路ネットワークの構築に取り組みます。
ヒートアイランド抑制のため、公共空間での樹木植栽や芝生化を推進するとともに、緑化基金の 活用などにより、民間建築物の屋上や壁面等の緑化に取り組みます。
人口排熱の低減のため、住宅・建築物の省エネルギー化を推進するほか、次世代自動車の普及拡 大や公共交通機関の利用促進などの自動車からの排熱減少に取り組みます。
都市の熱の発生抑制を図るライフスタイルの改善に向け、クールビズや緑のカーテンの普及推 進、省エネルギー製品の導入促進や自動車の効率的利用(エコドライブの推進)等に取り組みま す。
屋上緑化
長崎市役所で導入した電気自動車 緑のカーテン
計画の推進体制と進行管理
第1節 推進体制
ドキュメント内
【全体】長崎市地球温暖化対策実行計画
(ページ 69-75)