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道は拓けない

ドキュメント内 表1_4_ol (ページ 44-47)

税所 篤快

はたらくって何ですか?

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「自分のやりたいことを

境で、見え方に変化を感じることはありますか?

税所:シンプルに思うのは、日本人はなぜこんなに手が挙げ られないんだろうということ。ヨルダンのパレスチナ難民キャ ンプで国連が運営している小学校を訪問し、授業を見学しま したが、挙手する率がとても高いんです。それは僕が受けて いるゼミと比較してもハンパなくすごくて、授業に対するモ チベーションの差に戦慄しました。先生が怖いからというの もありますが、明らかに難民キャンプの子たちのほうが教育 へのコミットメントが高いですね。

宮道:そのままビジネスを優先する選択もあったと思うので すが、大学に戻ったのはなぜですか?

税所:小学 6 年のときに乙武洋匡さんの『五体不満足』を読 んで、乙武さんとつるんでいる早大生に憧れたんです。大学 に苦労して入りましたし、そのぶん思い入れも強いので、戻 らないという考えはなかったですね。それに戻ってきた時に、

緑豊かな早大のキャンパスは、自分を守ってくれるホッとす る場所だと感じました。今はパレスチナのガザで、アラビア 語で受けた発達障がいの講義に興味を持ったので、大学で改 めて学んでいます。大学は知識を貯める場所として、ビジネ スに取り組んでいる今も活きています。

やりたいことを貫けた時の満足感が大事 行き詰まったら、原点回帰すればよい

宮道:学生でありながら事業にも携わる中で、年長者と関わ ることが多いと思いますが、心掛けていることはありますか?

税所:ビジネスに進み、より多くの人が関わるようになった時、

そこで背伸びをして大人を満足させることへとフォーカスが

ずれてしまった反省があります。ですから「素で関わること」

が大切だと思っていて、またそう指導してくれる信頼できる 人が身近にいるのが理想的。あとは、やりたいことを貫けた という僕の満足が一番かと。その中で仲間ができて、世界中 でいろんな人と出会えることは、しがらみのない今しかでき ないと思っています。

宮道:最後に、税所さんのこれからの夢と、学生に向けてメッ セージをお願いします。

税所:僕がやりたいのは、幼少の頃好きだった「サンダーバード」

のような「国際 教育 救助隊」。支援を求めている人がいたら、

フットワーク軽くその地に出向いて教育支援をしたいです。今 あるいくつかのコンテンツをさらに 100 本くらいにまで増やし て、あと 2 年かけてこのプロジェクトを五大陸でやることが目 標です。自分がやりたいことをやっているだけなのでアドバイ スというのはあまりないけれど、辛かったりバカにされたりし た時のエネルギーを、良い原動力にすること大切にしてくださ い。また、やりたいことに邁進する中で行き詰まったら、原点 回帰することですね。自分の信念とズレていたら正せるし、も しくはそこからまた新しい道を見つけに動くこともできます。

2冊目となる著書『「最高の授業」を、世界の果て まで届けよう』(飛鳥新社)を2013年6月に上梓

やりたいことに突き進む熱意

 取材場所のカフェに税所さんが現れ、私の真正面に 座った時、まず感じたのがその目の輝きだった。「映像授 業で教育格差をなくす!」という想いを持って突き進む彼 の話を聞いて、とくに印象に残ったことが3点あった。

 1点目は、やりたいことを見つけるためには、数を打つということだ。e-Educationプ ロジェクト発案の舞台にもなったグラミン銀行に関心を持ったきっかけについて、「す ぐに見つけられた訳ではなく、何十冊と読んだ中でこれだ! と感じる一冊の本と出会 うことができた」と税所さんは言う。また、バングラデシュ以外で事業を展開していく中 で、「学習障がいを持つ子どもの支援」という新たな目標を見つけられたことからも、

やりたいことや問題意識を明確にするためには、チャレンジの数を増やすことは欠か せないのだと知った。

 2点目は、人との出会いがもたらす力だ。インタビューを通じて、税所さんがここまで プロジェクトを進めてこられたのは、彼自身の努力や試行錯誤はもちろんのこと、支え てくれる人の存在の大きさを感じた。大きいことをしたい! と共に誓った大学の友人

や、叱咤激励しながらも温かく見守ってくれる恩師、教育格差をなくしたいという想い に共感してくれた現地の仲間たち。彼らとの出会いが税所さんを突き動かす原動力 になっており、幾多のピンチを乗り越える助けとなった。

 そして3点目は、実践こそ大切だということである。どれほど素晴らしいアイデアで も実践しなければ意味がない、とはよく耳にするフレーズだ。しかし、税所さんはあらゆ る場面でそれを体現してきた。自身の原体験からヒントを得た映像授業モデルも、思 いつきで終わらせずしっかり形にしてきたからこそ、現地の人の信頼を得ることができ た。彼は信念と情熱をもって突き進めば、人の心を動かし、大きなうねりを巻き起こせ ることを証明してきた。そして何より、「世界を変える」という彼の夢を実現するために 必要なのは、他でもない実践なのだと感じた。

 税所さんにいち個人としてのモットーを尋ねたところ、「人生の最大の目的は、知識 ではなく行動だ」との言葉が返ってきた。その言葉が説得力を持つのは、彼自身が苦 難を乗り越えて活動をやり抜いてきたからである。

 インタビューを通して一貫していた主張は、「自分のやりたいことをとことんやるしか なく、それは学生でもできる」というものだった。私自身も、失敗を恐れずチャレンジし 続けたいという想いを新たにした。

インタビューを終えて

明治大学 情報コミュニケーション学部 情報コミュニケーション学科3年

学生記者 宮道 淳

photo:Mitsuhisa Tajiri text:Mutsumi Saito

はたらくって何ですか?

6 佐藤 茂

秋保の里に広がる5ヘクタールの農園を営む。奥さまの秀子さんとともに

大滝自然農園

佐藤 茂

仙台の奥座敷として有名な秋保温泉郷から 秋保大滝に向かう途中に広がる里山の一角 で、30年間農薬や化学肥料を一切使わずに

「自然循環型農法」に取り組む。水はけがよ く、年間を通して寒暖の差が大きいこの土地 は、味の濃いしっかりとした野菜や米が育つこ とでも知られる。妻の秀子さんとともに、これまで に多くの農業研修生を育て、また知的障がい 者の小規模作業所を開設し、農業と福祉を結 びつけた活動にも精力的に取り組んでいる。

前に進む原動力は

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