41
42
[3]Navier-Stokes の式(流体の運動方程式)
ニュートン の運動第二法則 F =ma を流体に適用し て得られる「流体の 運動方程 式」を Navier-Stokes の式という。非圧縮性ニュートン流体の1次元流れの Navier-Stokes の式は、(2)式 で表される。(Navier-Stokes の式の導出は、3年次の移動現象論にて扱う。)
) z (
v y
v x
v x
g P t
v x x x
x
x 2 2
2 2 2 2 2
÷÷ø çç ö
è æ
¶ +¶
¶ +¶
¶ + ¶
¶ -¶
¶ =
¶ r m
r
操作方法
[1]定常層流速度分布(2つの平板間の流れ)
図4に示すように、2枚の無限に広い平板の間の定常1次元流れを考える。流れの方向をx方向 とする。図のy方向およびz方向(図示していないが、奥行き方向のこと)の速度はゼロである。y方 向の速度分布を求める。z方向の速度分布は一定である。平板間の距離を L とする。
定常状態であるので速度の時間的変化はゼロである。また、x方向およびz方向の速度勾配は ゼロである(¶vx /¶x=0, ¶vx /¶z=0)から、(2)式は、(3)式となる。
) y (
v x
gx P 2x 0 3
2
¶ = + ¶
¶ -¶ m
r
図3 速度勾配とせん断応力
上の板の移動速度
下 の 板 の移 動 速 度 x
y
流れ 0 L
x方向の重力加速度 gx 図4 2 枚の板の間の流れ X
y
速度vx
vxは、yの関数である
運動量
43 x
/ P x /
P ¶ =D D
¶ (一定値)とし、境界条件(4)式を用いて(3)式を解くと、(5)式となる。
L x x
v v L
y
v v y
=
=
=
=
のとき、
のとき、 0
0 (4) (板に接している流体の速度は板の速度と同じ!)
( ) ( ) v ( )
L v y v Ly y x g
vx P x L 5
2 1
0 0
2 - + - +
÷ø ç ö
è æ
-= r
D D
m (式の導出は3年次です。)
① ファイル 層流速度分布 を開く。
② sheet2 を開き、表中の空白セルに適切な数式を代入せよ。
③ 上側の板の速度 VLとして 1m/s を入力し、速度分布およびせん断応力分布を図示せよ。この とき、速度分布が直線になる理由を考察せよ。
④ つぎに、板間隔を 0.001mとせよ。上側の板の速度 VLを 0m/s(静止)とし、x方向の重力加速 度 gxを 9.8m/s2を入力し、速度分布およびせん断応力分布を図示せよ。
⑤ gxを 9.8m/s2とした状態で、上側の板の速度 VLとして 0.3m/s を入力し、速度分布およびせん 断応力分布を図示せよ。
[2] 定常層流速度分布(1枚の平板上の流れ)
図 5 に示すように、無限に広い平板の上の重力によって流れる定常1次元流れを考える。流 れの方向をx方向とする。図のy方向およびz方向の速度はゼロである。y方向の速度分布を求め る。z方向の速度分布は一定である。液膜の厚さを L とする。
大気に接しているのでx方向の圧力は場所によらず一定であるから、¶P /¶x =0となる。境界条 件(6)式を用いて(3)式を解くと、(7)式となる。
0
0 0
=
¶
¶
=
=
=
y / v L
y
v v y
x x
のとき、
のとき、
(6)
(
Ly y)
( )vx gx 2 7
2
- 2
= m
r (式の導出は3年次です。)
① ファイル 開放層流速度分布.xls を開く。
② sheet2 を開き、表中の空白セルに適切な数式を代入せよ。
③ 板の水平に対する角度として 30 deg を入力し、速度分布およびせん断応力分布を図示せよ。
このとき、y=L における速度勾配がゼロ(境界条件)となる理由を考察せよ。
X
y 流れ
θ
図5 平板上の流れ
44 [3]非定常層流速度分布
[1]と 同様の 現象の時間による変化を考える。¶P/¶x=DP/Dx( 一定値) とし 、(2) 式の Navier-Stokes の式に対して、伝熱シミュレーションにて学んだ離散化を適用すると、(8)式となる。
) y (
v v
v x
g P t
v
v i ,t i ,t i,t
x t
, i t t ,
i 2 8
2 1 1
m D D r D
r DD ÷+ +
-ø ç ö
è
æ
-- = - +
+
すなわち、時刻 t+Δt の速度分布vi,t+Dtを時刻 t の速度分布vi,tを用いて表現すると、(9)式とな る。
( )
) ( v x t
g P y
v v
vi,t t vi ,t i ,t 2 i,t x 1 i,t 9
2 1
1 +
þý ü îí
ì ÷÷ø
çç ö è
æ
-- +
= - + +
+ D
D D D r
r m
D
① ファイル 非定常層流速度分布 を開き、sheet1 の説明を見よ。
② sheet2 を開き、y = 0 および y = L 以外の速度を表現するセルには(9)式が代入されていること を確認せよ。ただし、時間きざみΔt = 0.01 秒となっている。(Δt の値を大きく設定しすぎると、
解が発散してしまう。)
③ 上側の板の速度として 1m/s を代入せよ。
④ F9 を押し、再計算を実行せよ。時刻 t = 0.1s ,1s および定常になったときの速度分布および せん断応力分布を図示せよ。
⑤ 保存をせずにファイルを閉じよ。このとき、ファイルの上書き保存をしないこと。保存する必要 がある場合には、別のファイル名を用いて保存すること。
[4]非定常層流速度分布(開放)
[2]と同様の現象の時間による変化を考える。¶P /¶x =DP/Dx=0とし、[3]と同様に扱う。
ただし、y=L において、速度勾配がゼロになるよう、境界条件を設定する。
⑥ ファイル 非定常層流速度分布(開放) を開き、sheet1 の説明を見よ。
⑦ sheet2 を開き、y=0 および y=L 以外の速度を表現するセルには(9)式が代入されていることを 確認せよ。ただし、時間きざみΔt = 0.002 秒となっている。(Δt の値を大きく設定しすぎると、
解が発散してしまう。)
⑧ y=L に対応するセルに、開放を意味する数式を代入せよ。
⑨ 全体の傾斜角度として 30 deg を代入せよ。
⑩ F9 を押し、再計算を実行せよ。時刻 t = 0.02s ,0.1s および定常になったときの速度分布およ びせん断応力分布を図示せよ。
⑪ 保存をせずにファイルを閉じよ。このとき、ファイルの上書き保存をしないこと。保存する必要 がある場合には、別のファイル名を用いて保存すること。