第 2 章 先行研究
4.4 速度に関する分析
実施日が前後するが,L3(図4.5)について述べる.L1,L2,L4が動かす方向 に焦点をおいた課題だったのに対して,L3では速さの調整の仕方について学んだ.
P1(図4.5)には「かたつむり」と「うさぎ」の絵が用意してあり,この2つを動 かす.「かたつむり」は動きが遅い生き物,「うさぎ」は動きが速い生き物であるの で,その差をスピードで表す.自由課題は「そうげん」をテーマに動くものを描 き,動かす.自由課題は自由度が高いため,分析の対象外とした.
表 4.7: L4-P2の分析結果
絵 方向 人数 割合 p値
ロケット 上(正解) 38人 82.61% <0.001 **
下 5人 10.87% 0.026 *
左 0人 0.00% <0.001 **
右 3人 6.52% 0.002 **
ふうせん 上(正解) 31人 77.50% <0.001 **
下 1人 2.50% <0.001 **
左 1人 2.50% <0.001 **
右 7人 17.50% 0.361
しずく 上 4人 10.00% 0.028 *
下(正解) 32人 80.00% <0.001 **
左 1人 2.50% <0.001 **
右 3人 7.50% 0.009 **
図 4.5: L3-P1の画面
ビデオでは,授業者はまず「かたつむり」と「うさぎ」の絵を見せ「うさぎの 絵はどう動く?」と尋ねた.そうすると「ぴょんぴょんする」と園児は答えてい た.授業者が「かたつむりは?」と尋ねると,園児は「ゆっくり」と反応してい た.その後,授業者が「かたつむり」を「うさぎ」より速く動かすと,園児から
「ちがう」という反応が返ってきた.その後,授業者は「それぞれにあった動きを つけてください」と言って園児たちに課題に取り組ませていた.
授業者の指示した通りに,メガネを作っていた園児は31名だった.分析対象と なった園児の中で「かたつむり」と「うさぎ」をそれぞれ遅く・速く動かしてい たのは7割であった(表4.9).速さの差を2倍以上つけていた園児は5割だった.
「かたつむり」と「うさぎ」のどちらを速くするかは,どちらかが速くなればどち らかが遅くなるため,どちらが速くなるかの確率は均等だと仮定し,2項検定を おこなった.p値の表記についてはL1,L2,L4と同じである.「うさぎ」を速く動 かしている園児の数は有意に多いことがわかる.
図4.6は各園児が作ったメガネの「かたつむり」と「うさぎ」の速さの差のヒス トグラムである.正の差は「うさぎ」の方が速いプログラムであり,負の差(黒
表 4.8: L4-自由課題の分析結果
世界 方向 数 割合 p値
横の 上 31 14.03% <0.001 **
世界 下 14 6.33% <0.001 **
右(正解の一部) 86 38.91% <0.001 **
左(正解の一部) 77 34.84% <0.001 **
左右合計(正解) 163 73.75% <0.001 **
縦の 上(正解の一部) 129 54.66% <0.001 **
世界 下(正解の一部) 39 16.53% 0.009 **
上下合計(正解) 168 71.19% <0.001 **
右 25 10.59% <0.001 **
左 31 13.14% <0.001 **
表 4.9: L3-P1の分析結果 速さ 人数 割合 p値 うさぎが速い 24 75.00% 0.003 **
2倍以上速い 16 50.00% 1
い枠線に囲まれたカラム)は「かたつむり」の方が速いプログラムを表す.「かた つむり」の方を速く動かしている園児が7名いるのがわかる.
また,L3におけるP2の結果では,上記P1に見られるよりも,理解を見ること が難しかった.P2では「細長い魚(ダツ)」と「マンボウ」が用意されていた.「カ タツムリ」と「うさぎ」ほど,園児はその速さの違いを,直感的に感じ取れなかっ たことが原因だと思われる.
図 4.6: L3-園児の速さのヒストグラム