第二章 撥水処理材の性質
4. 透湿性
4.1. 目的
透湿は、材料の両側に水蒸気圧差がある場合に、湿度の高い方から湿度の低い方に材料 内を水蒸気(湿気)が移動していくことである。これは木造住宅の屋内気候に影響を与え、
その結果住居環境の快適性に影響を与える。特に、木質壁の壁内外の結露の発生に大きく 影響する。
ここでは、木質壁の材料としての木材・木質材料に撥水処理を施して外部からの水の進 入を防ぐ撥水性を付与し、このことによる透湿性の変化について検討することを目的とし た。
4.2. 実験
4.2.1. 供試材料と試験片
供試材料は、樹種:スギ(Cryptomeria japonica D. Don)、撥水剤:#0217・SV(サンオ ー産業株式会社提供)、封蝋剤:パラフィン(M. P. 68~70℃)、透湿カップ:ガラス製シャ ーレー(φ75 mm、h45 mm )、低温恒温恒湿器:いすゞ製(HPAF-288-20型)とした。
試験片寸法は80(L)×80(R)×4 (T)(mm)とし、撥水処理・無処理のそれぞれに12個を用 意した。試験片番号には、撥水処理の有無による添え字(1、0)を表す記号を付けた。
4.2.2. 試験方法と透湿係数
透湿係数の測定法としては、水蒸気の透過による質量の変化を量る質量法が一般的であ
る [55]。本実験では、質量法の一つであるカップ法(JIS A 1324 建築材料の透湿性測定方
法)に準じて、以下のように行った(図2.4.1)。
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① カップの中に吸湿剤(シリカゲル)をいれて、シリカゲルの表面をできるだけ平らにし、
試験片の下面との間が約 3 mm となるように試験片をカップの上端に密着するように 載せて、パラフィンで周縁を完全に封じた。この操作は、室内(22℃、50%RH)で行 った。
② その後、高湿状態(40 ℃、90%±5% RH)の恒温高湿器の中におき、水蒸気の透過 を定常状態にするため16時間以上養生した後、一定時間毎に取り出し、室温で平衡さ せたのち質量を測定した。
③ 材料の透湿性は、材料両側の温度が同じで、水蒸気の透過が定常状態のとき、以下の式
2.4.1で示される。
4.3. 結果と考察
時間経過にともなう透過水蒸気量(以下、「透湿量」)の変化を図2.4.2に示し、透湿係数 K を求めるために回帰直線を書き入れた。K は、無処理(0.2954)›片面処理(0.2772)›
両面処理(0.2633)となったが、その間の差は<0.01で、Kには大きな差異が無かった。
各経過時間における透湿量の変化率を図2.4.3に示した。各処理条件により、平衡に達す るまではわずかに差があったが、初期における試験片自体の吸湿によるためだと思う。無 処理と片面処理(内側、外側)は、透湿量はほぼ同じであることがわかった。これら結果 により、撥水処理による透湿性への影響は少ないといえる。
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4.4. 結論
・透湿係数Kは、無処理(0.0664)›片面処理(0.0637)›両面処理(0.0597)となった
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が、その間の差は0.01より小さく、撥水処理による大きな差異が無かった。
・時間経過にともなう透湿量の変化率は、撥水処理によってほとんど差が無いので、透 湿性への影響は少ないといえる。
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