• 検索結果がありません。

農業(食料・食品含む)分野

ドキュメント内 (全体で20ページ程度) (ページ 36-94)

エチオピアの主要産業である農業は食料自給と外貨獲得という 2 つの重要な役割を担ってい る。農業生産性向上による食料確保や輸出量の増大、またそれらを原材料とした加工産業の発展、

つまり市場経済化の促進は、今後の同国の経済発展に必要不可欠である。

本調査では、①農業生産性の向上については限られた用地内での収量を増大させるため、小型 灌漑技術(ポンプなど)や有機肥料製造装置等を、②市場経済化については包装機械及び食品加 工機を、それぞれ開発課題の解決手段であるとの仮説を立てた。まずは同国の主要商品作物を中 心とした生産プロセスの実態分析及び農業の市場経済化(加工、包装等)の実態分析を行い、本 仮説の検証を行う形で調査を実施した。なお、想定した仮説と異なる現地ニーズが確認された場 合には、現地ニーズに合わせて仮説を修正する方法を取ることとした。

2-1ではまず、エチオピア農業分野の2つの開発課題、①農業生産性の向上と②市場経済化 の促進について、現地の農業生産方法、市場流通の仕組み等の実態を明らかにし、それぞれの開 発課題の原因となっている課題とその解決に資する技術について整理を行った。

2-2において示唆された課題を解決に資する日本中小企業の技術・製品群の抽出を行った。

この結果、①生産性の向上という観点からは灌漑ポンプ、有機肥料製造装置、農業機械、②市場 経済化の促進という観点からは包装機械のニーズが存在することが明らかになった。本項では更 に、それらの技術・製品の強みとエチオピアにおける競合・類似技術についての情報の整理を行 った。

2-3では小型灌漑ポンプ、有機肥料製造装置、小型農業機械、包装機械を活用した新規ODA 事業の提案を行った。また既存のODA事業との連携可能性についても検証した。

最後に2-4において、本調査で得た情報を基に、上記技術・製品のODA事業を活用したビ ジネス展開のシナリオについて整理した。

2-1.エチオピアの農業分野の現状及び開発ニーズの確認

2-1-1.エチオピアの農業分野における開発課題の現状

本項目では2つの開発課題である1)農業生産性の向上、2)市場経済化の促進についてそれ ぞれ現地の実態と開発課題の解決を阻害している課題について明らかとした。

1)農業生産性の向上においては、エチオピア政府が農業生産性向上を必要とする理由である 食糧安全保障問題の現状について述べ、次に同国の農業生産性の実態を他国との比較を交え整理 した。続いて同国の農業生産の現状、生産性向上の障害となっている課題について明らかとした。

2)市場経済化の促進においては、農作物の市場流通、貿易、それらの加工産業の実態を明ら かとし、同じく市場経済化の促進を妨げている課題について明らかとした。

最後に3)開発課題の現状のまとめとして現地の課題分析結果とその解決に資する技術、製品 群を整理した。

1)農業生産性の向上

1) -1. エチオピア政府の課題認識・政策の概要

現在、エチオピアでは食料安全保障問題の解決と農業発展主導型の工業化、輸出主導の開発を 目指しており、その根幹をなす農業生産性の向上は急務となっている。関連政策の上位に位置づ けられるGTPでは、テフ、小麦、豆類といった主要な作物について、その作付面積当たりの生産 量目標値が設定されている他、それらを達成するために灌漑面積の拡大、農業機械化の推進とい った具体的施策の目標値も設定されている。また GTP に策定された具体的数値目標を達成する ために、その下位に策定されている農業成長プログラム(AGP)、食料安全保障プログラム(FSP)、 持続的土地管理プログラム(SLMP)といった個別プログラム、国家農業機械化戦略(ENAMS)、

小規模灌漑システム能力育成戦略(SICSE)といった個別戦略の策定、実行も進められていると ころである。

こうした政策状況から、農業生産性の向上はエチオピア政府にとって重要課題であり、その解 決に向けた各種取り組みがまさになされている状況であることが読み取れる。以下にエチオピア における農業生産の実態を詳細に見ていく。

1) -2. 農業生産性の現状

1) -2-1. 食料安全保障問題の現状

まずはエチオピアの食糧安全保障問題の現状を見ていく。エチオピアは食糧安全保障問題に大 きな不安を抱えており、全人口の約3割が食糧難に陥っている25

図2-1. 食料難人口割合の推移25

(出典:文献25から調査団作成)

25 Ethiopia MDGs Report 2012, Ministry of Finance and Economic Development, 2012

1995/1996 1999/2000 2004/2005 2010/2011

Urban 36.5 46.7 35.3 27.9

Rural 51.6 41.1 38.5 34.7

Total 49.5 41.9 38 33.6

0 10 20 30 40 50 60

人口割合(%)

このように深刻な食糧難を問題とする同国は、世界で最も食糧援助が多い国である。2012年に は、全世界の食糧援助全体量のうちおよそ16%を占める量の援助を受けており、緊急用の食糧援 助は全体の約19%に当たる 680百万トン、プロジェクトを通じて援助される量は全体の約 10%

に当たる136百万トンにも及ぶ26。次表は2012年の種類別の食糧援助量を示している 。

表2-1. 種類別の食糧援助量 (2012)26

(出典:文献26から抜粋)

本調査を実施した 2015 年も現地では旱魃が生じており、食糧安全保障への不安の声が聞かれ た。このような食糧難が引き起こされている原因として、生産されている作物の多くが雨に頼っ ており、度々起こる干ばつに脆弱な農業構造であるということに加えて、近年の気候変動の影響、

土壌劣化、人口増加、農家の技術進歩の遅さ、家庭の資産の低さ、収入源の多様性の低さなどが 考えられている27

1) -2-2. エチオピアにおける農業生産性の現状

次にエチオピアにおける農業生産性の実態を見ていく。エチオピアで栽培されている主要な作 物は穀類であり、全体量の65%を占める。次いで生産割合が高いのは根菜類、さらに豆類、さと うきびが続く。

26 Food Aid Flows, World Food Programme, 2012

27 Comprehensive Food Security and Vulnerability Analysis, WFP, 2014

Food Type Ethiopia (MT) World (MT) % Wheat&Wheat Flour 636,191 1,979,595 32%

Rice 28,350 885,459 3%

Coarse Grains 28,161 984,919 3%

Blended/Fortified 76,531 472,171 16%

Total Cereals 769,234 4,322,145 18%

Diary Products - 8,159 0%

Meat Fish&Fish - 6,621 0%

Oils&Fats 12,105 192,899 6%

Pulses 27,890 360,944 8%

Other Non-Cereals 2,887 112,132 3%

Total Non-Cereals 42,883 680,756 6%

Total Total 812,117 5,002,901 16%

Cereals

Non-Cereals

図2-2. 作物種類毎の生産割合(%)(2014年)

(出典:Central Statistics Agency資料より調査団作成)

その内訳は、穀類においてはトウモロコシが最も生産量が多く、次いで同国の主食であるイン ジェラと呼ばれるクレープ状の食べ物の原料であるテフ、麦類となっている。根菜類においては、

タロイモ、サツマイモ、ジャガイモの生産量が多く、タマネギ、ニンニクが次いで生産量が多い。

いずれもエチオピアの食文化において頻繁に消費される作物であり、国内消費向け作物栽培が農 業生産の大きな割合を占めていることがわかる。

次にその生産性に目を向ける。同国の農業生産性(穀物)は上昇傾向にあり 2013 年時点にお

いては2.22(トン/ha)となっている。

図2-3. 穀物生産性の推移28

(出典:文献28から調査団作成)

28 Cereal Yields Index 2013, World Bank, 2015.

65.40

7.40

2.11 1.65 15.13

1.96 0.76 1.16 0.10 4.33 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1.12

2.22

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

ton/hectare

図2-4. 穀物生産性の国別比較

(出典:文献28から調査団作成)

一方、国別比較ではサブサハラ諸国よりも高い生産性を有してはいるが、他の急成長の途上国 や世界平均と見比べると依然として生産性が低いことがわかる28

1) -3. 農業生産方法の現状

先に述べた通り、世界平均、他の新興国と比較してエチオピアにおける農業生産性は未だ低い。

この生産性の原因を探るため、ここからはエチオピアにおける農業生産の現状を見ていく。

1) -3-1. 農業生産者の構成

まずはエチオピアの農業生産を担う農家の構成を見ていく。エチオピアにおける作付面積毎に 農家は以下のように定義されている。

2.22

1.43

3.85 3.72

4.83

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00

Ethiopia Sub-Saharan Africa

World South Africa Brazil

ton/hectare

図2-5. エチオピア農業生産者構成とその特徴29

(出典:文献29から抜粋)

特にエチオピアでは作付面積 2ha を境として大規模農家と小規模農家の 2 種に大別されるケ ースが多い為、本調査もそれに倣い、大規模農家と小規模農家に区分しそれぞれの特徴を見てい く。この2種の農家の定義を以下の通りとした。

大規模農家:大規模農家とは2ha以上の農地を有する農家を指す。その内訳は2ha以上 10ha未満の農地を有する中農家と、10ha以上の農地を有する大農家を含む。

小規模農家:小規模農家とはその農地が2haに満たない農家を指す。その内訳は農地が

0.5haにもみたない零細農家、0.5ha~1haの農地を有する小農家、1~2haの

農地を有する準中農家となっている。

本調査にて確認した現地農家事例をもとにその特徴を以下に示す。

1) -3-1-1. 大規模農家の特徴

これら大規模農家は農業世帯数の10%程度しか存在しない。大規模農家の多くは作物の国内販 売だけでなく海外輸出を担っている。特に政府、民間事業者、投資家(国内、海外)により所有、

運営されているケースが多い。こうした大規模農家の内、特に花卉類、野菜類などの園芸作物生 産者により構成されている業界団体Ethiopian Horticulture Producer Exporters Association(以

下、EHPEA)へのインタビュー調査によると、ベルギー、ロシア、イスラエルといった外資法人

29 National Agricultural Mechanization Strategy,Ministry of agriculture,2014

ドキュメント内 (全体で20ページ程度) (ページ 36-94)

関連したドキュメント