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環境・エネルギー・廃棄物処理分野

ドキュメント内 (全体で20ページ程度) (ページ 94-151)

エチオピアにおける環境・エネルギー・廃棄物処理分野においては、「森林保全」が大きな課題 となっている。森林破壊の主要な原因としては、エネルギー利用を目的とした木材の大量消費が 考えられる。木材消費を抑える方法としては、①木材の効率的な利用、②代替燃料の開発の二つ のアプローチがある。そこで本調査では、エチオピアにおける薪の採取・消費を低減するために は、日本の中小企業が有する高効率調理ストーブや、ペレタイザーなどの未利用バイオマスの有 効活用技術を導入することが有効であるという仮説を立て、検証を行う形で調査を行った。

3-1ではまず、エチオピアにおける薪炭の生産・消費状況を明らかにした。次にエチオピア において入手可能な未利用バイオマスについての情報を整理し、その活用可能性について分析を 行った。

3-2において示唆された開発ニーズを満たすことができる日本中小企業の技術・製品群の抽 出を行った。この結果、①木材の効率的な利用という観点からは炭化装置、②代替燃料の開発と いう観点からはペレタイザーのニーズが存在することが明らかになった。また②に関しては、化 石燃料との代替という目的から、バイオマス燃料化技術にニーズがあることも判明した。本項で は更に、それらの技術・製品の強みとエチオピアにおける競合・類似技術についての情報の整理 を行った。

3-3では炭化装置、ペレタイザーを活用した新規ODA事業の提案を行った。また既存のODA 事業との連携可能性についても検証した。

最後に3-4において、本調査で得た情報を基に、上記技術・製品の ODA事業を活用したビ ジネス展開のシナリオについて整理した。

3-1.エチオピアの環境・エネルギー・廃棄物処理分野の現状及び開 発ニーズの確認

3-1-1.エチオピアの環境・エネルギー・廃棄物処理分野における開発課題の現状

本項目では薪炭材の摂取が森林保全に与えるインパクト、また現地における薪炭材の生産・消 費状況に関する調査結果をまず述べる。次に薪炭材の代替として未利用バイオマスの活用可能性 の評価を目的として、現在の未利用バイオマス活用状況や高効率ストーブ等の普及状況を分析す るとともに、エチオピアにおける未利用バイオマスの利用ポテンシャルを詳細に記述する。

1)森林保全

1)-1. エチオピア政府の課題認識・政策の概要

現在エチオピアでは、エネルギー消費の薪炭材への依存、及び人口増加から森林減少の一因に なっている。エチオピア政府はこれに対して、2012 年に発表した Climate Resilient Green

Economy (CRGE)や、2013 年にエチオピアエネルギー省と EUEI が共同発表した Biomass

Energy Strategyの中で持続可能な成長に向けた方針を策定している。森林減少を防ぐことは自

然環境を保護するのみならず、増え続ける人口を支える農業にも影響を及ぼすので火急の課題で あるとし、エチオピア政府は、持続可能な森林保全、燃料材木への依存軽減のために、①高効率

調理ストーブ、もしくは代替燃料が使用可能な調理ストーブの導入、②植林・森林再生に力を入 れることを政策として据えている。

特に、代替燃料に関しては未利用バイオマスが注目されている。これは、未利用バイオマスの 利用促進が、森林減少の歯止めとなることに加え、現状の調理用ストーブの問題である空気汚染 による健康被害や、薪の回収に使われる女性や子供の労働時間の削減に役立つと考えられている からである44

以下それぞれについて現状の把握と政策方針を詳細に見ていく。

1)-2. 森林伐採と1次エネルギー構造の概略

エチオピアではかつて国土面積の 35%を占めていた森林面積が現在は 11.2%まで減少してお り、森林保全が国の課題となっている45。エチオピアでは現在も年間約1,410 km2のペースで森 林減少が進んでおり、その 50%が農地の拡大、46%が薪炭利用、そして残り 4%がその他の木材 切り出し(建築など)に起因するといわれている46。またFAOの報告書によれば、エチオピアは 世界で6番目に伐採される木材量が多い国であり、伐採された材木の97.2%が薪炭材としてエネ ルギー利用されている47

エチオピアでは電気と化石燃料の消費が急速に伸びているものの、依然として一次エネルギー 消費の92.1%がバイオマス48に由来している49。その内、99.1%が家庭で、残りが商業・公共施設 で利用されている。家庭における主たる薪炭材の用途は調理用であり、エチオピア全体での調理 用燃料源としては、85%の家庭が薪を、3.9%が木材から製造した炭(木炭)を使用しているとさ れる。

以上のことから、森林保全に向けては、農業生産の向上・植林に加え、薪炭材として家庭及び 商業・公共施設において調理用に利用される材木の使用量を減らすことが必要であるといえる。

1)-3. エチオピアにおける薪炭材の供給・消費状況 1)-3.-1. 供給状況

エチオピアにおける薪炭材の生産は数多くの個人事業者もしくは消費者自身によって行われ ているとされる。下にエチオピアの家庭で用いられている家庭調理用の燃料源に関して、エチオ ピアの統計局が2011年に集計した統計データを示す(表3-1)50

44 Biomass Energy Strategy Ethiopia, EUEI, 2013

45 Forest Cover, Forest types, Breakdown of forest types, Change in Forest Cover, Primary forests, Forest designation, Disturbances affecting forest land, Value of forests, Production, trade and consumption of forest products, FAO's Global Forest Resources Assessment (2005 & 2010) and the State of the World's Forests (2009, 2007, 2005, 2003, 2001)

46 Ethiopia’s Climate-Resilient Green Economy, Federal Democratic Republic of Ethiopia, 2011.

47 Global Forest Resource Assessment 2015, FAO, 2015.

48 バイオマス:薪、木炭、葉・枝、農業残渣、牛糞等、生物由来の有機資源を指す。

49 Statics for Ethiopia, International Energy Agency, 2015.

[link: http://www.iea.org/countries/nonmembercountries/ethiopias/ethiopia/]

50 Ethiopian Welfare Monitoring Survey 2011, Central Statistical Agency, 2012.

表3-1. エチオピアで利用される家庭調理用の燃料源(2011年)

調理用燃料源 農村部(%) 都市部(%) 合計(%)

(全体平均)

収集した薪 87.2 18.6 72.6 購入した薪 3.6 44.7 12.4

炭 0.2 17.5 3.9

葉/家畜の糞 8.4 2.7 7.2

ケロシン 0.2 4.9 1.2

ガス/電気 0.2 7.7 1.9

(出典:文献50を日本語訳)

表3-1から、農村部においては調理用燃料源のほとんどを消費者自身で収集した薪によって賄 っていることが分かる。こうした薪は各農家の境界林などから得るケースが一般的である51。一 方、都市部においては薪や炭を購入するケースが多い。首都アディスアベバにおいては、近郊の 山林で個人事業者が薪を収集し、販売するケースや、それらや近隣の地区で収集された薪を個人 事業者が所有するトラックでまとめて収集し、青空市場で販売しているケースが観察された。ア ディスアベバの近郊で薪を集めに従事しているのは多くが女性で、その全てが手作業で行われて いる52。早朝に山に向かい、薪を集め、夕方に15〜20 kgの薪を背負って帰ってくるという大変 な重労働であるにも関らず、15〜20 kgの薪が30〜50 ETBでしか売れない、過酷な仕事である。

また地面に落ちている既に枯れた木を持ち帰るのは合法だが、木を伐採することは違法とされて いる(PROCLAMATION NO. 542/2007)。

エチオピアで使用されている炭は主に木炭であるが、伐採された木材から炭を生産することは 正式には違法とされている。しかし実際には各地でフセ焼きと呼ばれる製造方法で木材を原料と して木炭の生産が実施されており、アディスアベバ市内でも青空市場などで簡単に入手できるほ か、郊外においても道路脇で炭を販売するものが多く見られた。エチオピアのエネルギー省の傘 下にあり、新たな代替エネルギー技術のプロトタイプの作成・適正技術の評価を行っている Ethiopian Alternative Energy Development Centerによれば、フセ焼きの問題点は歩留まり(効 率)が 10-12%と、非常に低い点である53。また EU Energy Initiative Partnership Dialogue

Facility (EUEI PDF)によれば、炭製造はエチオピアにおける木材消費の約27%を占めていると

推定される54。そのため、効率の良い炭製造方法を普及させることは、エチオピアにおける森林 保全において、喫緊の課題といえる。同センターはこれまでにフセ焼きに変わるレンガ式や金属 式炭化装置(Metal Kiln)の開発、技術普及プロジェクトを行っており、エチオピアでの普及に 適しているかの評価は、使いやすさ、値段、技術の信頼性などの側面から行なっているとのこと である55。それらの取組の結果、現在普及促進を行っているのは、下図のようなMetal Kilnとし

51 JICA-CFCPPプロジェクトへのヒアリング議事録 2015911日実施.

52 Former Women Fuel Wood Carriers Association(FWFWCA)へのヒアリング議事録 2015916日実施.

53 Ethiopia Alternative Energy Devlopment Center (Ministry of Water, Irrigation & Electricity)へのヒアリング, 2015 1112日実施.

54 Biomass Energy Strategy Ethiopia, EUEI PDF, 2013.

55 Ethiopia Alternative Energy Devlopment Center (Ministry of Water, Irrigation & Electricity)へのヒアリング, 2015 115日実施.

ている。歩留まりは約30%(フセ焼き:約10-12%)、炭化に要する時間は24時間(フセ焼き:

数日)と、フセ焼きよりも効率・反応速度が優れている。価格については材料費がほとんどを占 めており、約10,000 ブル(約60,000円)としている。同センターはMetal Kilnよりも効率、

価格、使いやすさの点で優れた製品・技術について高い関心を示していた。

上記のように、エチオピアで利用される主要なバイオマスは木材であるが、人口増加に由来 する需要増加により既に木材が供給不足に陥っている地区も存在する(図3-1)56

図3-1. エチオピアにおける木材の需給ギャップ状況

(出典:文献56から引用)

1)-3-2. 消費状況

本項では薪炭の消費状況について、家庭及び商業・公共施設由来についてそれぞれ記述する。

1)-3-2-1. 家庭

エチオピアにおけるバイオマス起源エネルギー消費の大部分を占める家庭においては、薪が調 理用に広く用いられている。都市化が進んでいるアディスアベバの家庭では、薪を使用するケー スは減ってきおり、電気調理器、炭を使用する割合が農村部に比べて高くなっている56。アディ スアベベでそれらを使用する家庭の割合は、他の都市も含めた平均値よりも高く、電子調理器が

18%、炭が37%となっている57。エチオピアの主食「インジェラ」58は専用のインジェラストーブ

56 Biomass Energy Strategy Ethiopia, EUEI PDF, 2013.

57 Ethiopian Welfare Monitoring Survey 2011, Central Statistical Agency, 2012.

58 イネ科の植物であるテフの粉を水で溶いて3日かけて発酵させ、巨大な鉄板で薄いクレープ状に片面だけ焼き上げて作られ る。独特の酸味とスポンジ状の食感が特徴的である。

ドキュメント内 (全体で20ページ程度) (ページ 94-151)

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