表Ⅳ-1-10 想定した農業事業者の概要
排出源 諸元 備考
トラクター等の動力機械の燃料消費 C重油:10 kl 原油換算:10.8 kl ビニルハウスでの燃料及び電力の消費 C重油:15 kl
電力量:200,000 kWh
原油換算:16.1 kl 原油換算:51.5 kl 水田(間欠灌漑水田) 面積:2,070,000 m2
(207 ha)
稲わら等農業廃棄物の焼却 農業生産量:1,089 t 合成肥料の施肥 合成肥料:72 tN 家畜の飼養(消化管内発酵及び排せつ物の
管理)
飼養頭数:乳牛726頭 肉牛525頭
畜舎で飼養
※本農業事業者は省エネルギー法の義務対象ではありません。
(2) 算定・報告の対象範囲
次に、本制度において、当該事業所が算定対象となるかどうかを判断するための方法を説明し ます。
考えられる排出源を本制度における報告対象の温室効果ガスの種類別に分けて算出し、判定基 準(ガス別で3,000 tCO2以上)に沿って対象の有無を判断します。
ガスの種類 排出源 「温室効果ガス算出排出量の報告書」記載欄 水田からの排出(稲作)
稲わら等農業廃棄物の焼却 家畜の消化管内発酵 CH4
家畜の排せつ物の管理*
第1表(その1)
稲わら等農業廃棄物の焼却 合成肥料の施肥
N2O
家畜の排せつ物の管理*
第1表(その1)
*畜舎で飼養されている家畜(牛・豚・鶏)については平成22年から報告
ここで、温室効果ガスの種類ごとに報告対象となるかどうかの判定は以下のように行います。
なお、平成21年度までの報告を想定します。
① エネルギー起源CO2
エネルギー起源CO2の報告対象となる特定排出者は、省エネルギー法で義務対象となっている 事業者です。ここで想定している農業事業者は、省エネルギー法の対象外であるため、エネルギ ー起源CO2の排出量を算定する必要はありません。
② CH4
CH4排出量合計でCO2換算3,000 t(約143 tCH4)以上
本事業者の場合、CH4の排出源は、水田からの排出(稲作)、稲わら等農業廃棄物の焼却、家畜 の消化管内発酵、及び家畜の排せつ物の管理が該当するので、これらからのCH4排出量を算定し ます。
<水田からの排出(稲作)>
水田からのCH4排出量は、水田面積(207 ha)に排出係数(間欠灌漑水田:0.000016 tCH4/m2) を乗じることで求めます。
CH4排出量(tCH4)
=水田面積(m2)×排出係数(tCH4/m2)
=2,070,000(m2)×0.000016(tCH4/m2)
=33.12 tCH4
<稲わら等農業廃棄物の焼却>
稲わら等農業廃棄物の焼却からのCH4排出量は、農業廃棄物量に、排出係数を乗じることで求 めます。ここでは、水田面積(207 ha)に、稲の収量全国平均値(5.263 t/ha)を乗じて、農業 生産量(1,089 t)を求め、これにマニュアル(Ⅱ-98ページ)に示す稲の残さ率(1.4)及び実測 により把握した野焼き率(0.1)を乗じて農業廃棄物量(153 t)を算定しました。
なお、実測によって直接、農業廃棄物量を求めることや、あるいは、農業生産量を把握した後 に、稲の残さ率及び野焼き率を乗じて農業廃棄物量を求めることもできます。
CH4排出量(tCH4)
=農業廃棄物(t)×排出係数(tCH4/t)
=153 t×0.0021 tCH4/t
=0.3203 tCH4
<家畜の消化管内発酵>
家畜の消化管内発酵に伴うCH4排出量は、年間の家畜種ごとの飼養頭数(乳用牛726頭、肉用 牛525頭)に、排出係数(乳用牛0.10 tCH4/頭、肉用牛0.067 tCH4/頭)を乗じて求めます。
CH4排出量(tCH4)
=年間の平均飼養頭数×排出係数
=乳用牛(726頭)×0.10 tCH4/頭+肉用牛(525頭)×0.067 tCH4/頭
=72.60 tCH4+35.18 tCH4
=107.78 tCH4
<家畜の排せつ物の管理>
畜舎で飼養されている家畜の排せつ物の管理については平成22年度から報告が求められます。
このため、平成21年度までの報告ではこの活動による排出量は対象となりません。
<合計>
以上よりCH4の排出量をまとめると次のようになります。
表Ⅳ-1-11 農業事業者の
CH4排出量一覧
ガス 排出源 排出量 備考
水田からの排出 33.12 tCH4
稲わら等農業廃棄物の焼却 0.3203 tCH4
家畜の消化管内発酵 107.78 tCH4
CH4
家畜の排せつ物の管理 - 平成22年度から報告
これより、平成 21年度までの報告を想定した場合のCH4排出量を合計すると次のようになり ます。
合計CH4排出量(tCH4)
=33.12 tCH4+0.3203 tCH4+107.78 tCH4
≒141.2 tCH4= 2,966 tCO2
各排出源の排出係数の有効数字が2桁であることを考慮すると、3,000 tCO2となります。
したがって、CO2に換算して3,000 tCO2以上であるため、CH4は算定対象となります。
③ N2O
報告対象となる特定排出者については、温対法で次のように定めています。
N2O排出量合計でCO2換算3,000 t(約9.7 tN2O)以上
本事業者の場合、N2Oの排出源は、稲わら等農業廃棄物の焼却、合成肥料の施肥、家畜の排せ つ物の管理が該当するので、これらによるN2O排出量を算定します。
<稲わら等農業廃棄物の焼却>
稲わら等農業廃棄物の焼却からのN2O排出量は、農業廃棄物量に、排出係数を乗じることで求 めます。ここでは、農業廃棄物量のデータとして、先のCH4で計算した値(153 t)を再び使用し ます。
CH4の場合と同様に、実測によって直接、農業廃棄物量を求めるか、あるいは農業生産量を把
N2O排出量(tN2O)
=農業廃棄物×排出係数
=153 t廃棄物×0.000057 tN2O/t廃棄物
=0.008694 tN2O
<合成肥料の施肥>
合成肥料の施肥に伴うN2O排出量は、作物種ごとに使用された肥料に含まれる窒素量に、排出 係数(単位窒素当たりのN2O排出量)を乗じることで求めます。ここでは、水田に使用された肥 料に含まれる窒素量を72 tNとして計算を行いました。
N2O排出量(tN2O)
=使用した肥料中の窒素量(tN)×水稲の排出係数(tN2O/tN)
=72 tN×0.011 tN2O/tN
=0.792 tN2O
<家畜の排せつ物の管理>
畜舎で飼養されている家家畜の排せつ物の管理については平成 22 年度から報告が求められま す。このため、平成21年度までの報告ではこの活動による排出量は対象となりません。
<合計>
以上よりN2Oの排出量をまとめると次のようになります。
表Ⅳ-1-12 農業事業者の
N2O排出量一覧
ガス 排出源 排出量 備考
稲わら等農業廃棄物の焼却 0.00869 tN2O 合成肥料の施肥 0.792 tN2O N2O
家畜の排せつ物の管理 - 平成22年度から報告
これより、平成21年度までの報告を想定した場合のN2O排出量を合計すると次のようになり ます。
合計N2O排出量(tN2O)
=0.008694 tN2O + 0.792 tN2O
≒0.8007 tN2O
↓(CO2換算:310倍して)
248 tCO2
各排出源の排出係数の有効数字が2桁であることを考慮すると、250 tCO2となります。
したがって、CO2に換算して3,000 tCO2未満であるため、N2Oは算定対象となりません。
④ その他
エネルギー起源以外のCO2、HFC、PFC、SF6の排出はないため、算定・報告対象外となりま す。
(3) データの収集・排出量の算定
(2)で報告対象となった以下の温室効果ガス・排出源について、改めて排出量を算定します。
表Ⅳ-1-13 ガスごとの温室効果ガス排出量の集計表
温室効果ガスの種類 排出源 「温室効果ガス算出排
出量の報告書」記載欄 備考 水田からの排出(稲作)
稲わら等農業廃棄物の焼却 家畜の消化管内発酵 CH4
家畜の排せつ物の管理
第1表(その1)
平成22年度から報告
ここで、平成21年度までの報告を想定します。
① CH4
平成21年度までの報告では、水田からの排出(稲作)、稲わら等農業廃棄物の焼却及び家畜の 消化管内発酵が対象となります。ここでは、排出係数はデフォルト値を使用すると想定すると、
デフォルト値を利用した場合の計算方法等は(2)と同じになりますので、(2)にならって計算してく ださい。(2)②に基づくと排出量を3,000 tCO2として報告します。
(4) 排出量の報告
農業事業者の業所管官庁は農林水産省であるため、農林水産省に算定排出量の報告書を提出し ます。
温対法での報告様式(「温室効果ガス算定排出量の報告書」)での記載(平成21年度までの報告 を想定)は次のようになります。
第1表 温室効果ガス算定排出量(その1)
1.エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素 - tCO2
(省エネルギー法の定期報告書を提出すれば温対法の報告とみなされます。)
3.メタン 3,000 tCO2
4.一酸化二窒素 - tCO2