(1) 想定する事業者の概要と排出源
ここでは、廃棄物処理業のうち、産業廃棄物の中間処理業者(焼却施設を保有)をとりあげま す。想定した中間処理業者の概要は以下に示すとおりです。
表Ⅳ-1-7 想定した産業廃棄物中間処理業者の概要
処理方式 焼却(ロータリーキルン炉)処理能力 48 t/日(2 t/hr×24 hr)
廃プラスチック類 1,235 t/年
廃油 205 t/年
木くず 3,524 t/年
繊維くず 56 t/年
受 け 入 れ て い る 廃 棄 物 種 類・量
汚泥 4,046 t/年
フォークリフト 3台
廃水(処理前) BOD 112 mg/l
全窒素 325 mg/l
廃水処理施設流入水 5,070 m3/年
消費燃料・電気 C重油 3,380 l/年
電力 42,000 kWh/年
このため、排出源としては、以下のようなものが考えられます。
表Ⅳ-1-8 考えられる排出源一覧
排出源(場所及び活動種類) 温室効果ガスの種類 備 考 焼却施設 焼却 非エネルギー起源CO2
CH4
N2O
電気・熱 エネルギー起源CO2 焼却用燃料及び事務 所使用分
フォークリフト エネルギー起源CO2 焼却施設(電気・熱)
に含む CH4
排水処理
N2O
(2) 算定・報告の対象範囲
まず、考えられる排出源を本制度における報告対象の温室効果ガス種類別に分け、判定基準に 沿って対象の有無を判断します。
温室効果ガスの種類 排出源
(場所及び活動種類)
「温室効果ガス算出排
出量の報告書」記載欄 備 考 電気・熱
エネルギー起源CO2 焼却施設
フ ォ ー ク リ フト
第1表(その1)
焼 却 施 設 ( 電 気・熱)に含む 非エネルギー起源CO2 焼却施設 焼却 第1表(その2)
CH4 焼却
排水処理
第1表(その3)
N2O 焼却
焼却施設
排水処理
第1表(その4)
上記に示す温室効果ガスの種類ごとに報告対象となるかどうかの判定は以下のように行います。
① エネルギー起源CO2
ここで想定する産業廃棄物中間処理業者の焼却施設については、エネルギー管理指定工場には 該当しないため、本制度での報告対象とはなりません。
② 非エネルギー起源CO2
報告対象となる特定排出者については、温対法で下記のように定めています。
非エネルギー起源CO2排出量合計で3,000 tCO2以上
本事業者の場合、非エネルギー起源CO2の排出源は焼却プロセスのみであるため、それによる CO2排出量を下記算定式に従って算定します。
排出量=廃棄物種類ごとの焼却量×単位焼却量当たりの排出量
焼却量(t/年) 排出係数(tCO2/t) CO2排出量(tCO2) 廃プラスチック 1,235 2.55 3,149.25
廃油 205 2.92 598.6
合成繊維 11.2 2.29 25.648
合計 3,773.498
※合成繊維については、繊維くず焼却量56 t/年×繊維くず中の合成繊維割合0.25×合成繊維の固 形分割合0.8より焼却量(乾燥ベース)を算定(Ⅱ-61ページ参照)。
廃棄物分野の非エネルギー起源CO2については有効桁数3桁で算定することとなっていること から、上記のより CO2排出量は 3,770 tCO2となり、温対法の基準に該当するため、本算定公表 制度でCO2排出量を報告することが義務付けられます。
③ CH4
報告対象となる特定排出者については、温対法で下記のように定めています。
CH4排出量合計でCO2換算3,000 t(約143 tCH4)以上
ここで想定する産業廃棄物中間処理業者については、焼却プロセス及び産業廃水処理プロセス がCH4の排出源に該当するため、これらからのCH4排出量を算定します。
焼却プロセスでは、下記算定式に従って算定します。
排出量=廃棄物種類ごとの焼却量×単位焼却量当たりの排出量
処理量(t/年) 排出係数(tCH4/t) CH4排出量(tCH4)
廃油 205 0.00000056 0.000115
汚泥 4,046 0.0000097 0.0392462
合計 0.039361
(CO2換算:21倍して)↓
0.826581 tCO2
一方、廃水処理プロセスの算定式は次のとおりです。
排出量=工場廃水処理施設流入水に含まれる生物化学的酸素要求量で表示した汚濁負荷量
(kgBOD) × 単 位 生 物 化 学 的 酸 素 要 求 量 当 た り の 廃 水 処 理 に 伴 う 排 出 量
(tCH4/kgBOD)
(Ⅱ-107ページ参照)
このうち、工場廃水処理施設流入水に含まれる生物化学的酸素要求量で表示した汚濁負荷量
(kgBOD)は、以下に示す方法で算定します。
工場廃水処理施設流入水量(m3:廃水処理記録等に基づき把握)
×工場廃水処理施設流入水中のBOD濃度(mgBOD/l:実測により把握)÷1000
=5,070 m3×112 mgBOD/l÷1000
=567.84 kgBOD これより、
排出量=567.84 kgBOD×0.0000049 tCH4/kgBOD = 0.0027824 kgCH4
となります。
排出係数の有効桁数が2桁であることを考慮すると、焼却プロセス及び産業廃水処理プロセス からの排出量の合計は0.89 tCO2となり、基準を下回るため本制度での報告対象とはなりません。
④ N2O
報告対象となる特定排出者については、温対法で下記のように定めています。
N2O排出量合計でCO2換算3,000 t(約9.7 tN2O)以上
ここで想定する産業廃棄物中間処理業者については、焼却プロセス及び産業廃水処理プロセス がN2Oの排出源に該当するため、これらからのN2O排出量を算定します。
焼却プロセスでは、下記算定式に従って算定します。
排出量=廃棄物種類ごとの焼却量×単位焼却量当たりの排出量
処理量(t/年) 排出係数(tN2O/t) N2O排出量(tN2O)
廃プラスチック 1,235 0.00017 0.20995
廃油 205 0.0000098 0.002009
木くず 3,524 0.000010 0.03524
繊維くず 56 0.000010 0.00056
汚泥 4,046 0.00045 1.8207
合計 2.068459
(CO2換算:310倍して)↓
641.22229 tCO2
一方、廃水処理プロセスの算定式は次のとおりです。
排出量=工場廃水処理施設流入水中の窒素量(tN)
×単位窒素量当たりの廃水処理に伴う排出量(tN2O/tN)
(Ⅱ-144ページ参照)
このうち、工場廃水処理施設流入水中の窒素量(tN)は、以下に示す方法で算定します。
工場廃水処理施設流入水量(m3:廃水処理記録等に基づき把握)
×工場廃水処理施設流入水中の全窒素濃度(mgN/l:実測により把握)
=5,070 m3×325 mgN/l÷106
=1.64775 tN
これより、
排出量=1.64775 tN×0.0043 tN2O/tN = 0.007085325 tN2O
↓(CO2換算:310倍して)
2.19645075 tCO2
となります。
N2Oの有効桁数が2桁であることを考慮すると、焼却プロセス及び産業廃水処理プロセスから の排出量の合計は640 tCO2となり、基準を下回るため本制度での報告対象とはなりません。
⑤ その他
HFC、PFC、SF6の排出はないため、算定・報告対象外となります。
(3) データの収集・排出量の算定
(2)で報告対象となった以下の温室効果ガス・排出源について、排出量を算定します。
温室効果ガス 排出源
(場所及び活動種類)
「温室効果ガス算出排
出量の報告書」記載欄 備 考 非エネ起源CO2 焼却施設 焼却 第1表(その2)
① 焼却施設
各事業所全体の廃棄物焼却量を種類別に集計し、CO2排出係数を乗じることにより算定します。
例えば以下のような形でデータを収集・算定します。(再掲)
処理量(t/年) 排出係数(tCO2/t) CO2排出量(tCO2) 廃プラスチック 1,235 2.55 3,149.25
廃油 205 2.92 598.6
合成繊維 11.2 2.29 25.648
合計 3,773.498
(有効桁数3桁に)↓
3,770 tCO2
(4) 排出量の報告
廃棄物処理業者の事業所管省庁は環境省であるため、環境省に温対法の算定排出量の報告書を 提出します。
温対法での報告様式(「温室効果ガス算定排出量の報告書」)での記載は下記のようになります。
第1表 温室効果ガス算定排出量(その1)
1.エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素 - tCO2
(省エネルギー法の定期報告書を提出すれば温対法の報告とみなされます。)
2.エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素以外の二酸化炭素 3,770 tCO2
3.メタン - tCO2
4.一酸化二窒素 - tCO2
第2表 温室効果ガス算定排出量(その2)
2.燃料または原材料としての廃プラスチック等、その他これに類する
物品の利用に伴って発生する二酸化炭素 - tCO2