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転送構文は,一以上の抽象構文を明確に表現することができる一組の符号化規則である。特に,通信中の応 用エンティティに,彼らの双方がサポートする共通符号化技術を折衝することを可能にする(例:バイト順,圧縮,

など)。転送構文は,プレゼンテーションコンテキストの属性であり,それらの一以上が,DICOM応用エンティ ティの間のアソシエーションの確立の際に折衝される。このアソシエーションの折衝は,PS 3.8の中で明記さ れ,PS 3.7の中で議論される。

転送構文の選択は,DICOMメッセージのデータ集合部分に対する符号化規則にのみ適用される。全ての DICOM標準および私的転送構文は,PS 3.7の中で明記されるDICOMメッセージのコマンド集合部分に対 する固定符号化を暗黙的に明記する。

DICOM規格のこの分冊は,標準DICOM転送構文を定義し,それぞれに固有転送構文名を割り当てる。標 準DICOM転送構文は附属書Aの中で明記される。転送構文名に対するDICOM表記法は,UIDに対して 使用される表記法である。(節9参照)。

DICOM転送構文の定義および登録に責任ある組織は,NEMAである。NEMAは,全ての転送構文名に対 して唯一であることを保証する。

私的定義転送構文名も同様に使用されることがある;しかしながら,それらはNEMAによって登録されない。私 的転送構文名を定義する組織は,節9.2の中で定義される登録手続きに従う。

10.1 DICOMデフォルト転送構文

DICOMはデフォルトの転送構文を定義する,DICOM暗黙VRリトルエンディアン転送構文(UID =

“1.2.840.10008.1.2”),これはあらゆる適合するDICOM実装でサポートされる。これは次のことを意味する:

a) 応用エンティティがA-ASSOCIATE要求を発行する場合,それは,各提案抽象構文に関連するプレ ゼンテーションコンテキストの少なくとも一つにの中でDICOM暗黙的VRリトルエンディアン転送構 文を提案する。

注: 転送構文(TS1)および(TS2)をもつ二つのプレゼンテーションコンテキストの中に抽象構文(AS1)を提案 することは有効でない,しかし,AS1-TS1,AS1-TS2およびAS1-TSDを提案することは,抽象構文(AS1)

に基づくプレゼンテーションコンテキストの少なくとも一つの中にDICOMデフォルトリトルエンディアン転送 構文(TSD)が存在するので,有効である。

b) 応用エンティティが節10.1 a)の中で明記された必要条件に従う要求に対応しているA-ASSOCIATE 指示を受信する場合,与えられた抽象構文に関係するあらゆるプレゼンテーションコンテキストを,転 送構文のどれもサポートしないという理由のためにA-ASSOCIATE応答の中で拒絶することはできな い。

これらの必要条件a) およびb) の両方は,画素データを送っている応用エンティティが,非可逆圧縮形式で の画素データへのアクセスのみを行う場合,そして画素データ参照を使用する転送構文が提示されない場合 は,放棄される。

デフォルト転送構文を受諾する必要条件b) は,画素データ参照を使用する転送構文が提示される場合は放 棄される。

注: 言いかえれば,すべての送信AEは,非可逆圧縮形式でそれを受信した唯一の場合を除いて,それが元来 データ集合を受信したか格納した形式に関係なく,送信するすべてのデータ集合をデフォルト転送構文へ変換 することが可能であることが必要となる。その例外的な場合では,送信AEは,受信した非可逆形式に適切な非可 逆圧縮転送構文だけを提案することを許される。

特に,この放棄は,損失がない圧縮形式で受信したデータ集合には適用されない。それは次のことを意味する。

データ集合を再度送る必要のある,損失がない圧縮転送構文でデータ集合を受信している任意のAEは,(少な くとも)デフォルト転送構文をサポートするために,それを復元することが可能であることが要求される。

10.2 可逆JPEG圧縮のDICOMデフォルトに対する転送構文

DICOMは,可逆JPEG画像圧縮に対するデフォルトを定義する,それは一次予測(選択値1)をもつ符号化 プロセス14の部分集合を使用する。それは,転送構文UID = “1.2.840.10008.1.2.4.70” によって識別され る,そして可逆JPEG圧縮プロセスの一つ以上のサポートを選択するあらゆるDICOM実装によってサポート される。これは次を意味する:

a) 提案した抽象構文がJPEG可逆圧縮転送構文をもつ一つ以上のプレゼンテーションコンテキストと関 係している場合には,応用エンティティがA-ASSOCIATE要求を発行する場合,この抽象構文を含 むプレゼンテーションコンテキストの少くとも一つは,DICOMデフォルト可逆JPEG圧縮転送構文お よびDICOMデフォルト転送構文(非圧縮)を含む。

注: 転送構文JPEG可逆(JL1)および(JL2)をもつ二つのプレゼンテーションコンテキストの中で抽象構文

AS1)を提案することは有効でない,しかしAS1-JL1AS1-JL2AS1-TSDおよびAS1-JLDの提案は,

DICOMデフォルトJPEG可逆圧縮転送構文(JLD)およびDICOMデフォルト転送構文(TSD)が,抽象

構文(AS1)に基づくプレゼンテーションコンテキストの少なくとも一つの中に存在するので,有効である。

b) 一つ以上のJPEG可逆圧縮転送構文をサポートする応用エンティティが,節10.2 a)の中で明記され た必要条件に従う要求に対応しているA-ASSOCIATE指示を受信する場合,与えられた抽象構文 に関係するすべてのプレゼンテーションコンテキストは,DICOMデフォルト可逆JPEG転送構文がサ ポートされていないという理由のためにA-ASSOCIATE応答の中で拒絶できない。

10.3 非可逆JPEG圧縮のDICOMデフォルトに対する転送構文

DICOMは,一つは8ビット画像に対する,他は12ビット画像に対する,非可逆JPEG画像圧縮のためのデ フォルトを定義する。(転送構文UID = “1.2.840.10008.1.2.4.50” によって識別される)JPEG符号化プロセ ス1が8ビット画像に対して用いられる。(転送構文UID = “1.2.840.10008.1.2.4.51” によって識別される)

JPEG符号化プロセス4が12ビット画像に対して用いられる。これは次のことを意味する:

a) 提案した抽象構文がJPEG非可逆圧縮転送構文をもつ一つ以上のプレゼンテーションコンテキストと 関係している場合には,応用エンティティがA-ASSOCIATE要求を発行する場合,この抽象構文を 含むプレゼンテーションコンテキストの少くとも一つは,適切なDICOMデフォルト非可逆JPEG圧縮 転送構文を含む。

注: 1. 転送構文JPEG非可逆(JL1)および(JL2)をもつ二つのプレゼンテーションコンテキストの中で抽象構 文(AS1)を提案することは有効でない,しかしAS1-JL1,AS1-JL2,およびAS1-JLDの提案は,DICOM デフォルトJPEG非可逆圧縮転送構文(JLD)が,抽象構文(AS1)に基づくプレゼンテーションコンテキスト の少なくとも一つの中に存在するので,有効である。

2. 送信元が非圧縮または可逆圧縮形式で原画素データにアクセスした場合は,DICOMデフォルト転送 構文(非圧縮)が提案されることがある。

b) 一つ以上の圧縮のあるJPEG転送構文をサポートする応用エンティティが,節10.3 a)の中で明記さ れる必要条件に従う要求に対応しているA-ASSOCIATE指示を受信する場合,与えられた抽象構文 に関係するすべてのプレゼンテーションコンテキストは,DICOMデフォルト非可逆JPEG転送構文が サポートされないという理由のためにA-ASSOCIATE応答の中で拒絶することはできない。

10.4 DICOMのRLE圧縮のための転送構文

DICOMは,RLE圧縮を定義する(附属書Gを参照)。これは次のことを意味する:

a) 提案された抽象構文がRLE圧縮転送構文をもつ一つ以上のプレゼンテーションコンテキストと関係し ている場合には,応用エンティティがA-ASSOCIATE要求を発行する場合,この抽象構文を含むプ レゼンテーションコンテキストの少なくとも一つは,DICOMデフォルト転送構文(非圧縮)を含む。

10.5 可逆および非可逆(擬似可逆)JPEG-LS圧縮のDICOMデフォルト転送構文

一つの転送構文は,JPEG-LS可逆画像圧縮のために明記され,一つの転送構文はJPEG-LS非可逆(擬似 可逆)画像圧縮のために明記される。JPEG-LS 非可逆(擬似可逆)転送構文がサポートされる場合,JPEG-LS可逆転送構文はベースラインとしてサポートされる。

10.6 JPEG 2000圧縮のための転送構文

JPEG 2000画像圧縮(可逆圧縮のみ)のために一つの転送構文が明記され,そしてJPEG 2000画像圧縮 のために一つの転送構文が明記される。これらのいずれかを別々に折衝してもよい,そしてデフォルトまたは ベースラインは規定されていない(節10.1に記述されたものの他は)。

注: 1. すべてのJPEG 2000コードは,ISO/IEC 15444-1によって,可逆的および不可逆的ウエーブレットおよび複 数構成要素変換の両方をサポートすることを要求される。DICOMの中で二つの別個の転送構文を指定する理由 は,応用が可能な場合には,損失のない方法で画像の転送を要求することが可能なようにするためである。JPEG 2000画像圧縮転送構文は,可逆圧縮または非可逆圧縮のいずれかを使用することを,送信者の自由裁量で可 能にする。

2. 他の圧縮技術を使用するベースラインは必要とされない。

3. 画素データをJPEG 2000画像圧縮転送構文で受信した場合,それは非可逆圧縮を経験していることがある

ので,DICOMデフォルト転送構文をサポートする節10.1の要求事項の放棄は,依然適用される。

さらに,複数構成要素変換拡張によるJPEG 2000複数構成要素画像圧縮(可逆圧縮のみ)のために一つの 転送構文が明記される,そして,複数構成要素変換拡張によるJPEG 2000複数構成要素の画像圧縮のた めに,一つの転送構文が明記される。これらのいずれかを別々に折衝してもよい,そしてデフォルトまたはベー スラインは明記されていない(節10.1に記述されたものの他は)。

注: Part 2 JPEG 2000複数構成要素変換拡張をサポートするJPEG 2000コードは,ISO/IEC 15444-2の附属書J に記述される複数構成要素拡張をすべてサポートすることが要求される。これは,配列に基づいた変換,および

JPEG 2000 Part 1で同様に使用される,9-7および5-3ウエーブレット変換の両方を含む。これはさらに,構成

要素の再順序付け,構成要素の収集および一つを越える連続した複数構成要素変換の適用を含んでいる。

10.7 MPEG2 MP@ML画像圧縮のための転送構文

一つの転送構文がMPEG2 MP@ML画像圧縮のために明記される。

10.8 JPIP参照画素データのための転送構文

二つの転送構文がJPIP参照画素データのために明記される。

これらの転送構文のうちの一つで転送されたオブジェクトの参照の持続性は定義されない。すなわち,参照画 素データが利用可能である場合,応用は時間フレームに関して仮定をするべきでない。URLが有効に存続す る時間は不定であるので,URLをキャッシュすることは不適当なことがある。画素データを,画素データ全体ま たは十分な忠実度で取得しなかった可能性があるので,永久保管の目的でこの転送構文を使用するか,また は,保存委託,モダリティ実施済手続きステップ,汎用実施済手続きステップサービスクラスにおいて,そのよう なインスタンスに参照を付けることは不適当なことがある。

これらの転送構文をPS 3.10によって定義された媒体保存に使用してはならない。