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2. 3列シート車用プラットフォーム

5. 車体アッセンブリー精度向上

更なる精度向上のためには,各要素においてアッセン ブリー工程で起きている現象を正しくつかみCAEモデル に再現する必要がある。部品については,これまで述べて きたので本章ではアッセンブリー工程ついて以下に紹介す る。

5.1 車体アッセンブリー工程での精度予測技術 車体の溶接工程は,複数のプレス部品同士を接合する サブアッセンブリー工程から始まり,サブアッセンブリー 同士を接合しボディーを形づくるボディーシェルアッセン ブリー工程等,約50超の工程でつながっている(Fig.

10)。

Fig. 10 Line of Body Assembly

初工程の溶接加工前は,各々のプレス部品はまだ閉断 面を形成しておらず,自重だけでも変形するため,自剛性 と重力の向き,打点位置を加味してプレス部品を保持する 必要がある。また,スポット溶接は鉄の溶解凝固における 応力を最小にした溶接方法だが,それでも多少の引張応力 が生じるため,応力の向きと影響に打ち勝つように,拘束 力と打点順序を決定しなければならない。これらをCAE で解析するため,まず,プレス部品の自重撓みを変形解析 で明らかにし,保持位置を最適化してきた。この解析をサ ブアッセンブリーへ応用することで,0.1mm単位での接 合面撓みが部位ごとに解析できるようになり,各工程での 精度予測を向上させることができる。次に,溶接による熱 応力の解析を加え,必要保持力を導けるようにして,スポ

①Before Clamp ②After Clamp

Differences between CAE and Vehicle

Virtual Actual

Blue (+): Gap Red (-): Interference

Body shell Assembly

Sub Assembly Rein F. Side-Frame Assembly

マ ツ ダ 技 報

No.33(2016)

ット溶接による接合部の変形解析に展開している。CX-9 ではドアの取り付け面であるヒンジ面の構造がこれまでと 異なるため、4つのヒンジ面精度をつかさどるサイドフレ ームレインFアッセンブリーを重点管理部品として,精度 予測技術向上に取り組んだ。

5.2 治具モデル化の取り組み

従来,CAEモデル上では,効率を重視し複数の打点を 同時に発生させており,打点順番を考慮していなかった。

今回計算速度を改善させることで,打点1点1点に順番 をつけ,打点ごとの応力による変形がわかるようにした。

更に,保持面もモデル化することで,溶接時の必要保持力 も計算できるようにした。具体的には,従来,治具保持面 附近のノード自体を4点拘束する方法を取っていたが,こ の方法では保持面内の変形が再現できない。そこで,保持 面の3Dモデルを作成し,プレス部品との境界に条件を与 え微少な変形やクランプと受け面によって生じる保持力を より詳細に表現できるようにした。

5.3 CAE精度向上の取り組みと結果

こうして作成したCAE手法を,実機と比較検証し,解 析精度の向上に努めた。1点1点溶接するごとに非接触の 三次元形状測定器で全体形状を計測,打点毎の精度変化を 把握した。そして実機での測定結果とCAE結果を比較し,

解析方法を見直していった。結果,精度を決定する影響因 子として,プレス部品の精度,接合による応力,打点位置,

治具の拘束力,部品の剛性等を,解析条件に反映させるこ とにより,サブアッセンブリーの机上予測精度と実機精度 の一致度において,これまでは0.7㎜以内のところ0.3㎜以 内を実現した(Fig. 11)。

Fig. 11 Result of CAE 5.4 CX-9での成果と今後の課題

この手法を他のアッセンブリー工程へ展開することで,

CX-9の初期精度向上に貢献した。まだ車体全体の精度解 析ができるようにはなっていないが,プレス部品のメッシ ュの貼り方,解析方法,閾値等結果の判断を見直すことで,

計算時間を短縮し,業務プロセスとリンクさせる。

6. おわりに

今後は,開発した寸法精度予測技術をもとに,寸法精度 をコントロール可能な技術に発展させ,デザインや三大性 能上最適な寸法精度をピンポイントでねらえるクルマづく りを実施していく。数々の技術革新から生まれた新型CX-9を早くお客様にお届けし,お客様の声に耳を傾けながら 次世代のクルマづくりを日々進化させることで,世界中に いるマツダを愛してくださるお客様の笑顔へつなげること を目指していく。

参考文献

(1)吉田総仁:弾塑性力学の基礎/第9章,共立出版

(1997)

(2)田丸ほか:980MPa級ハイテン部品の成形性改善と 寸 法 精 度 の 向上 を 両 立 さ せる 新 工 法 , 型技 術 , Vol.28, pp.18-19(2013)

(3)岡田ほか:高ハイテン部品における見込み・事前検 証-金型への転写に関する取組み事例-,型技術,

Vol.29, pp.70-71(2014)

(4)中野ほか:新型アクセラにおけるボディー造り革新 -デザインを際立たせるクルマ造り,2013年マツダ技 報, pp.41-42(2013)

■著 者■

島田 知広 高橋 大樹 岡田 又治

マ ツ ダ 技 報

No.33(2016)

論文・解説

13

1~4 車両開発本部

Vehicle Development Div.

車両腐食環境の定量化技術と解析手法の開発

Technology Development of the Vehicle Corrosion Environment Quantification and Analysis Method

要 約

近年の自動車開発においては,車体の軽量化と高剛性の両立のための新金属材料や,電子制御デバイスの増 加により腐食評価が必要な部品点数は大幅に増加している。自動車は移動体であるため世界中のさまざまな環 境で使用される。このような状況下で個々の部品に対し,確実にねらいの防錆性能を発揮できるようにするに は,従来の特定市場を想定した実車促進腐食試験だけでなく,車両がさらされる腐食環境をコンピュータ上で 再現できる「市場環境モデル」を柱とするモデルベース開発の適用が有効である。そこで腐食環境を定量化す るため,腐食センサーの出力と環境因子を一括で記録可能な計測システムを構築した。市場の融雪塩散布地域 や海塩地域で使用される車両に,このシステムを搭載して計測し,市場の腐食環境を正確にとらえるデータ解 析方法を開発した。更に,開発した計測システムとデータ解析方法を車種開発に反映していく活動を行ったの で,これらの取り組みについて紹介する。

Summary

In recent automobile development, the number of parts which require corrosion evaluation has been significantly increased due to an increase of new metal material or electronic control device to achieve both weight reduction and high rigidity of a vehicle body at the same time. Automobiles, moving objects, are used in different environments all over the world. Under the circumstances, not only accelerated corrosion test on-vehicle in the conventional particular market, but also adoption of model-based development focused on “market environment model” to reproduce corrosion environment to which vehicles are exposed on a computer are effective to certainly exhibit aimed anti-corrosion performance.

We have built a measuring system which enables batch recording of corrosion sensor output and environmental factors to quantify corrosion environment. We have also developed a data analysis method to obtain corrosion environment in the market precisely by mounting that system to the vehicle used in area in which snow-melting salt is scattered or areas which are exposed to sea salt. Additionally, we have engaged in activities to reflect the measuring system and the data analysis method we developed to model development. In this paper, those activities are introduced.

1. はじめに

自動車は移動体であり,さまざまな天候や気温変化にさ らされるため,車両周辺の腐食環境は時々刻々に変動する。

しかも部品の構成や形状の複雑さから腐食条件が多岐にわ たり,かつ複雑に絡み合うため,部位によって腐食環境は 大きく異なる。海水がかかる島嶼地域や冬季の融雪塩の散 布が多い豪雪地域など,世界中のどのシーンで使用されて も全ての部品がねらいの防錆性能を発揮できるようにする

には,従来の特定市場を想定した実車促進腐食試験だけで なく,地域の特徴を網羅した「市場環境モデル」と,それ を柱とする腐食モデルベースを適用した車種開発が有効と 考えた。「市場環境モデル」を構築するためには,市場に おいて移動中の自動車の必要な各部位の腐食環境を同時に 測定できる計測システムの開発が必須である。

この課題の解決策として,橋梁や建造物の固定体の腐食 環境を測定するツールとして幅広い分野で活用されている ACMセンサー(Atmospheric Corrosion Monitor Sensor)

落岩 克哉

*2

福田 克弘

*1

園田 賢司

3

Katsuya Ochiiwa

Katsuhiro Fukuda Kenji Sonoda

山根 貴和

4

Takakazu Yamane

マ ツ ダ 技 報

No.33(2016)

と呼ばれる,鉄の化学反応によって生じる電流をとらえる ことができる腐食センサーを用いた計測システムを構築し た。本報では,自動車用の計測システム構成と得られたデ ータの解析手法および「市場環境モデル」への適用につい て報告する。