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2. 3列シート車用プラットフォーム

5. 到来波角度プロファイルを考慮した LCR ・ AFD モデル

任意の到来波角度プロファイルを考慮できるモデル開発 にあたっては,式(6)に示すLCRモデル(11)を参照した。

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(6)

ここで,r(t)は自己共分散, (ρ)は ρ の確率密 度関数を表す。式(6)は受信信号強度の時間変動特性 R(t)

と,R(t)の時間微分 R’(t)が独立の場合に成立するこ とが証明されている(11)。また,到来波の自己共分散は式 (7)で表される(12)

exp 2 ∙ cos (7)

ここで,S(φ)は到来波角度プロファイル,tは時間 を表す。式(6),(7)の2つの式を展開することでLCRを到 来波角度プロファイルで表現できる。しかし,式(6)が成 立するにはR(t)とR’(t)が独立であることが前提とな るため,V2VにおいてR(t)とR’(t)の独立性につき,

以下のように検証した。LCRの定義式は式(8)で示される。

, ′ ′ (8)

ここで, (R,R’)は R(t)と R’(t)の結合確率 密度関数を表す。R(t)とR’(t)が独立であれば,式(8) は式(9)に変形できる。

′ ′ (9)

式(9)よりR(t)とR’(t)が独立なら,LCR(R)と

(R)は比例関係にあることが分かる。つまりLCR

(R),およびR(t)の正規化累積確率分布cdfが一致す ることを意味する。そこで,シミュレーションおよびフィ ールド実験結果のLCR(R)とR(t)のcdfについて検証

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した。検証には,R(t)と対の関係にあるρ(t)につい て行った。結果をFig. 12に示す。

Fig. 12 cdf of LCR(ρ) and ρ(t)

Fig. 12より,シミュレーションおよびフィールド実験 結果のLCR(R)とR(t)のcdfは良く一致していること が分かる。従って,V2V見通し外環境でのR(t)とR’(t)

は独立であるといえる。

以上,V2VにおけるR(t)とR’(t)の独立性が証明で

きたことから式(6)はV2Vにも適用可能であることが分か った。式(6)に(7)を代入し展開することで式(10)のように 整理できる。これが,任意の到来波角度プロファイルを考 慮できるV2VのLCRモデルとなる。また,AFDは定義 より式(11)のように表される。

2 2 (10)

cos cos ( )

(11)

式(10),(11)から LCR・AFD を求めるためには,参考 文献(9)に示されているレイトレースシミュレーションに よる到来波角度プロファイル検証手法を用い,以下のよう

にS(φ)を求めた。まず,微小エリア内に規則配置した

観測点における受信信号強度と位相情報を式(12)に適用し, この微小エリア内の各観測点における Si(φ)を導出し た。

, exp + (12)

ここで,H(x,y)は各観測点の座標(x,y)における 複素振幅を表す。微小エリアは 2m 四方とし,その中に 33×33 = 1089点の観測点を配置した。LCR・AFDを導 出する20m区間には10個のSi(φ)があり,これらを

平均することで式(10),(11)に適用する S(φ)とした。

本手法により導出したS(φ)の一例をFig. 13に示す。

角度軸は,受信車両の進行方向を0rad とし,反時計回り に角度が増加するように設定した。

上記手法により決定した S(φ)を式(10),(11)に代入 す る こ と で LCR・AFD を 導 出 し た 。 環 境 A, 車 速 30km/hの結果をFig. 14に,環境B,30km/hの結果を Fig. 15に示す。

Fig. 13 Incoming Wave Angular Profile

(a) LCR (b) AFD Fig. 14 Inspection Result of Environment A

(a) LCR (b) AFD Fig. 15 Inspection Result of Environment B Fig. 14,15より,式(10),(11)の特性では,式(2),(4) で発生していたシミュレーション結果に対する上下のオフ セットが小さくなり,シミュレーション結果の再現精度が 高いことが分かる。この定量的検証のため,目的のLCR およびAFDを実現するために必要となるρの値について 比較した。式(2),(4)のモデルではシミュレーション結果 に対して,3~5dBの差があったが,式(10),(11)では,お おむね1dB以下であり、高い精度が得られることが分かっ た。一方,式(10),(11)を用いても,環境AとBではシミ ュレーション結果との差の程度が異なる。これは,式(10),

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(11)に適用したS(φ)の精度に起因したものと考える。

今回は,20m区間におけるS(φ)は定常的であるという 前提を置き,20m区間の平均的なS(φ)を用いているが,

フィールド実験環境では20m区間を移動する間にもS(φ)

の性質が変化するような非定常性があることが原因と考え られる。

6. まとめ

V2VにおけるLCR・AFDは車速だけでなく,走行環境 によっても変動することをシミュレーションおよびフィー ルド実験により明らかにした。走行環境により変動する原 因は,到来波角度プロファイルが変化することであると考 え,任意の到来波角度プロファイルを考慮できるLCR・ AFDのモデリング手法を構築した。開発したモデルを適 用することで目的とするLCR・AFDの実現に必要な受信 信号振幅ρ [dB]を誤差1dB程度の精度で設計できること を確認した。今後は,本モデルを任意の走行環境に適用可 能とすることで,実走行条件に適合性の高い安全運転支援 サービスの実現に貢献していきたい。

参考文献

(1) 国土交通省自動車局先進安全自動車推進検討会:先 進安全自動車(ASV)推進計画報告書,pp.89-184

(2011)

(2) 伊藤ほか:車々間通信環境における見通し内伝搬損 失推定,信学技報,A・P2006-126(2007)

(3) 伊藤ほか:車々間通信環境における見通し外伝搬損 失推定,2008信学総大A,B1-1-61(2008) (4) 伊藤ほか:周辺車両が車車間伝搬損特性に及ぼす影

響に関する一検討,信学論,J94-B-3,pp.445-467

(2011)

(5) 山口ほか:車車間通信におけるNLOS交差道路環境 でのパス遮蔽確率推定,2009信学総大,B-1-23

(2009)

(6) M.Suneya et al.:Fading Characteristic Modeling of V2V Communication at 700MHz Band and the System Margin Design,ITS World Congress2013

(2013)

(7) I.Sen et al.:Vehicle-Vehicle Channel Models for the 5-GHz Band,IEEE Transactions on Intel-ligent Transportation Systems, Vol. 9, Issue 2,

pp.235-245(2008)

(8) Ali Abdi et al.:Comparison of the level Crossing Rate and Average Fade Duration of Rayleigh, Rice, and Nakagami Fading Models with Mobile Channel Data,IEEE-VTS Fall VTC 2000. 52nd, 1850-1857 vol.4(2000)

(9) K.Matsumoto et al.:Angular Profile Modeling of

V2V Communications, 信 学 技 報 ,2014-1-SR

(2014)

(10) S.Oguchi et al.:Performance Evaluation Method for Body Area Networks Based on Nakagami-m Channel Simulation, KJMW2011 FR2-5-1, 10-11 (2011)

(11) N.Youssef et al.:Fade Statistics in Nakagami Fading Environments,IEEE 4th International Symposium on Spread Spectrum Techniques and Applications Proceedings, vol.3, pp.1244-1247

(1996)

(12) A.Goldsmith:WIRELESS COMMUNICATIONS,

Cambridge University Press(2005)

■著 者■

山田 秀行 強矢 昌宏 タン ザ カン

荒木 純道

マ ツ ダ 技 報

No.33(2016)

論文・解説

21

1~3 技術研究所 6,7 ボデー開発部

Technical Research Center Body Development Dept.

4,5 衝突性能開発部 8 CAE開発部

Crash Safety Development Dept. CAE Technology Development Dept.

曲げ変形における高エネルギー吸収フレームの開発 Development of High-Energy Absorbing Frame Structure

要 約

低燃費実現のための車体軽量化と人命保護のための衝突安全性能の両立が求められている。そのためには,

車体フレームのエネルギー吸収(Energy Absorption,以降EA)の質量効率向上が必要である。そこで,前 突時の主要なEA部材であるフロントフレームを対象に,曲げ変形におけるEA質量効率向上技術の開発を行っ た。

過去,変形初期における座屈を断面形状により抑制し,フレーム曲げ強度質量効率を向上させる「鉄使い 切り技術」を開発してきた。本開発では,変形初期に加え,変形過渡の座屈も制御することにより,EA質量 効率の向上をねらった。そのため,フレーム曲げ変形時に圧縮荷重が作用する板と,曲げ荷重が作用する板 の座屈周期の連成に着目した。座屈周期を支配する各板幅の比により,座屈後まで含めた変形挙動を制御す ることで,単位体積あたりの歪エネルギー量を高め,フレーム曲げ変形時のEA質量効率の向上を実現した。

これにより,従来フロントフレーム構造に比べて,EA質量効率を大幅に向上できるフレーム構造を導出した。

Summary

There is an increasing need for compatibility between a lighter vehicle body for lower fuel consumption and life-saving crash safety performance. To achieve this, it is necessary to increase energy absorption efficiency with respect to the weight of steel-sheet body frame. In light of such circumstances, Mazda developed a technology for improving energy absorption efficiency versus bending deformation for the front frame, which is largely involved in energy absorption upon frontal crash.

In this development, the focus was placed on coupled cycles between the plane under a compressive load and the plane under a bending load upon deformation of the frame. By controlling the deformation behavior, including that after buckling, by plane-width ratio, the density of strain energy increased, which then improved energy absorption efficiency with respect to the weight upon deformation of the frame. As a result, a frame structure for greatly improving energy absorption efficiency, compared with the conventional front frame structure, was brought into reality.

1. はじめに

自動車のCO2規制強化から,車両の運動効率改善が必要 である。そのためにはパワートレインのエネルギー効率改 善と同時に,車体重量を大幅に低減させる必要がある。一 方,衝突安全性能の向上要求はより一層高まっており,車 両軽量化と衝突安全性能の両立が課題である。

車体の衝突安全性能は主にキャビン領域の耐力部材と,

フロントやリアエンドでのEA部材に大別される。耐力部

材に対しては,材料領域では鋼板のハイテン化が進み,構 造領域では座屈抑制をねらった断面形状(1)や発泡充填剤等 の耐力向上技術の確立を行ってきた。一方,EA部材に対 しては,軸圧縮部材の研究は盛んであるが,曲げ変形部材 に対しては,まだあまり研究されていない。

しかし,前輪駆動の自動車において,前面衝突時や後面 衝突時の主要なEA部材であるフロントフレームやリアフ レームは,主に曲げ変形部材であり,曲げ変形における EA質量効率の向上が必須である。

児玉 悠貴

3

本田 正徳

2

元木 正紀

4

河村 力

1

Yuki Kodama

Masanori Honda Masaki Motoki

Chikara Kawamura

若林 充

7

亀井 丈広

6

寺田 栄

8

片岡 愉樹

5

Mitsuru Wakabayashi

Takehiro Kamei Sakayu Terada

Yuki Kataoka

マ ツ ダ 技 報

No.33(2016)

自動車の骨格構造を構成するフレームの多くは,薄板大 断面の中空部材であり,座屈を伴う変形挙動をとる。この 座屈現象のふるまいにより,フレームの耐力や変形挙動は 大きく変わる。座屈現象は板幅や板厚等の構造要因に支配 される。

そこで本開発では,この座屈現象を制御することにより,

曲げ変形時における,単位体積あたりの歪エネルギー量を 向上させ,フレームのEA質量効率を向上させる構造技術 開発を行った。