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資産の流動化・証券化

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Ⅰ.不動産証券化の意義

  事業再生を進めていく上で、再生企業(更生企業)はバランスシートの改善を行い、キ ャッシュ・フローからみた事業価値を上げていくことが求められている。

  ここで述べていく不動産証券化とは、一般的に、資金調達者(企業等)にとっては当該 企業等が保有する証券化対象資産(不動産等)を当該企業から切り離し(オフバランス化)、 その資産が生み出すキャッシュ・フローを償還の原資として元利・配当等の支払を扱う商 品を発行する金融手法であり、投資家にとっては、不動産証券化商品取得し、不動産の管 理及び処分から上がる収益の分配を受ける仕組みである。

Ⅱ.不良債権の証券化

  不良債権をバルクセール6で購入した後、証券化・流動化(以下、「不良債権証券化」と いう)することが考えられる。

  不良債権証券化のスキームとしては、まず下図のようなものがある(信託型)。これにお いては、まず、不良債権が信託銀行等に対して信託譲渡され、その反射的効果として受益 権が発生し、かかる受益権を直接優先受益権・劣後受益権に分けて投資家に販売する方法 である(図5-2参照)。

6:不良債権のバルクセールとは、金融機関などが、その保有する不良債権を第三者に対し「まとめ売り」す ることを意味する。

債権信託譲渡

受益権 投資家

受益権譲渡 債権譲渡

SPC 信託銀行 サービサー

回収委託

債務者

債権・担保

図5-2  不良債権証券化スキーム(1)

各金融機関

出所:企業再生の法務

次に紹介するのは、不良債権の買取のために設立された複数のSPC(以下、「資産保有

SPC」という)を通じて、国内の金融機関等から不良債権を購入し、これらの資産保有SPC

に対して他のSPCがローンを実行し、当該ローンを担保資産としてBond、Noteを発行 する方式である(図5-3参照)。

Ⅲ.資産の証券化とは

  一般に資金調達を望む当事者が、その保有する資産の信用力を引当てとして、一定の仕 組みを通じて資本市場における投資家等からファイナンスを受けるための取引または手法 を意味する。より具体的に、証券化の手法を対象資産の原保有者(オリジネーター)の側 からみた場合、オリジネーターが所有する特定の資産を特別目的会社(SPC)に譲渡する とともに、SPCが当該資産の収益力を裏付とする有価証券を発行することにより、投資家 から資金調達を行う仕組みということができる。

  オリジネーターにとって、証券化は、株式や社債等とは異なり、企業自全体の信用とは

債権・担保

SPC

SPC

資産保有 SPC

資産保有 SPC

資産保有 SPC 各金融機関

債務者 債務者 債務者

Note

Bond

Loan 債権譲渡

投資家 図5-3  不良債権証券化スキーム(2)

出所:企業再生の法務

切り離した形で直接資本市場から資金を調達する方法ということができる。また、証券化 により対象資産がオリジネーターの資産から外れることにより、オリジネーターは、資産 を圧縮させ、自己資本比率や総資産利益率といった財務指標を改善させるメリットを享受 できる。つまり、証券化によって、企業はキャッシュ・フローの改善を図ることができる といえる。

Ⅳ.証券化の仕組み

  証券化の具体的な仕組みは、個別の案件によってさまざまであるが、基本的には①オリ ジネーターからSPCや信託銀行に対する特定資産の譲渡、②SPCによる当該資産の譲受 対価の原資調達(有価証券の発行等)、および③当該資産から生じるキャッシュ・フローに よるSPCの債務の弁済という構造による。

  その基本的な仕組みを以下、図5-4、図5-5で示す。

ケイマンSPC 慈善信託

証券会社

投資家

社債管理会社

SPC

サービサー オリジネーター

債務者

出資(無議決権優先株 の取得)

出資(有議決権普通株)

譲渡代金の支払

債権譲渡契約

回収金

配当 配当

引受・私募 取扱契約

社債管理 委託契約

図5-4  債権の証券化の基本的仕組み

出所:企業再生の法務

出所:企業再生の法務

Ⅴ.SPCについて 

  SPCとは、事業目的が証券化対象資産の保有、ならびにそのための原資調達としての有 価証券等の発行および当該有価証券等の元利払いに限定された法人であり、証券化の仕組 みの基点となる組織を意味する。

図5-5  不動産の証券化の基本的仕組み

信託銀行

オリジネータ ー

慈善信託

ケイマンSPC

社債管理会社

テナント オリジネーター

SPC

投資家

証券会社 不動産管理処分信託契約

受益権

出資 (有議決権普通株)

︵無議権優先株

出資  100%

払込金

引受・私募 取扱契約

配当 配当

売買代金

受益権譲渡契約

社債管理 委託契約

賃料

賃貸借契約(転貸借)

Ⅵ.証券化対象資産(不動産)

  証券化の対象となりうる不動産は、賃貸用オフィス・マンション、ホテル、ショッピン グセンターなど賃貸料や地代収入等のキャッシュ・フローを生み出す不動産であり、その キャッシュ・フローが不動産証券化における元利・配当等などの原資である。

Ⅶ.オリジネーター(資産の原所有者)

  通常、資産の原所有者が「オリジネーター」と呼ばれ、不動産証券化はまず「オリジネ ーター」が重要となる。オリジネーターは証券化すべき不動産及びその関連資産を所有し ており、その自己の保有する資産を売却または担保提供することとなる。また場合によっ ては、他者から資産を取得することにより、不動産証券化の対象資産を取りまとめる。

  そのため、オリジネーターが優良な資産を有しているか否かが、証券化の成否を握って いるといえる。通常はオリジネーターが自らサービサーとなっている。

Ⅷ.サービサー

  不動産証券化において、原資産から生じるキャッシュ・フローを管理及び回収する機能 を専門に行う者を「サービサー」という。またサービサーは債権の回収を委託されること がある。それは不良債権は性質上、回収することが困難を要するものが多いため、サービ サーの能力・役割は非常に需要なものである。

Ⅸ.証券化・流動化のまとめ

  証券化・流動化取引においては、通常、オリジネーターの倒産リスクから対象資産をい かに守るかという観点から分析・検討が行われる。しかし、オリジネーターが既に破綻・

倒産状況にある場合においても、その保有資産を引当てに証券化・流動化取引を行うこと は十分可能である。とりわけ、倒産手続き中の会社・管財人にとっては、手続の早期終結 を可能にするための有用なツールとして証券化・流動化取引を活用することも、今後は十 分考慮されていくだろう。

事業再生の新潮流

  以下の章では、事業再生の新潮流として、事業再生スキームや担い手について論じる。

 

第 6 章 

DIP

ファイナンス   

Ⅰ.DIPファイナンスとは 

  日本におけるDIPファイナンスとは、一般的に、再建型法的倒産手続(会社更生、民事 再生)の申立をした企業に対する、申立後手続終結までの融資をいう。

  DIPファイナンスとは、元々はアメリカの法的倒産手続(いわゆるチャプターイレブン、

図6-1参照)の実務における呼称である。チャプターイレブンでは、法的倒産手続申立後 も原則として管財人は選任されず、従来の債務者(経営者)が引き続き業務を執行する。

こうした債務者はDIP(debtor-in-possession)と呼ばれている。

  日本における再建型法的倒産手続では、民事再生においてDIP型であるが、会社更生で は管財人が選任されるためDIP型ではない。しかし、日本では、会社更生も含めて、再建 型法的倒産手続の申立をした企業に対する、申立後手続終結までの融資を広くDIPファイ ナンスと呼んでいる(図6-2参照)。

  その内容は、DIPファイナンスを実行する時期によって、アーリーDIPファイナンス とレイターDIPファイナンスというものに分類される。アーリーDIPファイナンスとは、

手続申立から計画認可までの短期の運転資金の融資のことをいい、アセット(担保)に着 目した融資になることが多い。また、レイターDIPファイナンスとは、計画認可以降、更 生手続終結までの短期、長期の運転・設備資金の融資のことをいい、事業キャッシュ・フ ローに着目した融資になることが多い(図 6-3 参照)。 

 

図6-1  アメリカでのDIPファイナンス

<チャプターイレブン> 手続き申立て 

再建計画認可 

DIPファイナンス

出所:『DIPファイナンスの実務』より作成

図2  日本でのDIPファイナンス エラー!

出所:『DIPファイナンスの実務』より作成

図 3  DIPファイナンスとは何か?      出所:日本政策投資銀行HPより作成   

                                   

資金需要

破産(→財団債権) 破産(→財団債権)

共益債権

Exit Finance

DIPファイナンス

時間の経過

アーリーステージ レイターステージ

手続き申立て 

再生計画・更生計画認可

<会社更生または民事再生>

DIPファイナンス

手続終結 

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