①後出しじゃんけん
アイスブレーキングとは、「ice =よそよそしさや、形式ばった態度」を「break =破る、やわらげる」
ことから生まれた言葉で、「話の口火をきる」とか、「和やかな空気にする」といった意味があります。
アイスブレーキングは、通常、参加体験型の学習や研修のはじめに、参加者の緊張をときほぐし、
自由に話せる安心感をつくり出すために行われますが、学級開きなどの出会いの場や、保護者会な ど、既にある程度知り合いになっている集団の出会い直しの場で用いることもできます。
ここでは、アイスブレーキングをより広義に「人と人を出会わせ、集団の心をほぐす活動」と捉 え、通常のアイスブレーキングよりも所要時間の長いものも紹介しています。
いずれも、人権教育のねらいをふまえたアイスブレーキングとなっていますので、ワーク実施前 の導入として、また、学級活動時などに単独で、気軽に実施してみてください。
ねらい
ふだん何気なくしていることほど、ふだんと違うことをするのは難しいことを実感 する。
所要時間 約 5 分
進め方
① 2 人組になり、勝つ役の人と負ける役の人を決める。
② 教師の掛け声に合わせて 2 人でじゃんけんをし、勝つ役の人は後出しで勝つよ うにする。
③ 2、3 回じゃんけんをしたら、役割を交代し、同様に 2、3 回じゃんけんを行う。
④ 教師の掛け声に合わせて 2 人でじゃんけんをし、負ける役の人は後出しで負け るようにする。
⑤ 2、3 回じゃんけんをしたら、役割を交代し、同様に 2、3 回じゃんけんを行う。
解説
実際に後出しじゃんけんをしてみると、勝つよりも負けるほうが難しいことに気づ きます。それは、これまで勝つようにじゃんけんをしてきたからです。
固定観念や習慣、偏見といった、長期間にわたって心に刷り込まれたものは、思い のほか頑強で、頭では理解できても、本当にかえることは難しいものです。
その難しさに気づくところから、真の人権教育は始まるのではないでしょうか。
②バースデーライン
ねらい
・ 緊張をときほぐし、自由に話せる安心感をつくり出す。
・ 自分の大切さとともに他の人の大切さを知る。
所要時間 約 15 分
進め方
① 教師も含めて全員で 1 つの輪になる。
② 1 つの場所を指定し、そこを起点として誕生日の月と日が早い人から、すなわち 1 月 1 日生まれから 12 月 31 日生まれの順に制限時間内に並ぶ。(制限時間は 1 人あたり 3 秒程度とする。例えば 40 人学級なら 120 秒程度とする。)
③ 教師から②の活動の様子に対する肯定的な評価を聞く。
④ 誕生日が 1 番早い人から順に誕生日と名前を述べる。
⑤ 教師に指名された人が感想を述べる。
⑥ 教師からまとめの話を聞く。
解説
誕生日はこの世にたった 1 人しかない自分が生まれてきた日です。誕生日があるこ とで、人は自分の人生の最初の日を確認することができます。
また、誕生日はだれもが平等にもっているものです。誕生日がない人もいなければ、
誕生日を 2 つもっている人もいません。
この活動をすることで、一人ひとりに誕生日があることを確認し、一人ひとりが誕 生日に生を受けたかけがえのない存在であることに気づかせます。
また、だれもが平等にもつ誕生日を使った活動をとおして、対等な出会いや出会い 直しの場をつくります。
なお、自分の誕生日がわからない参加者がいる可能性がある場合には、実施を控え てください。
③大切なわたしの名前
ねらい
・ 自分のよい面のみならず、欠点や短所も含め、ありのままの自分を「これが自分 なのだ」と受け入れ、愛しむ感覚を体験する。
・ 自分の大切さとともに他の人の大切さを知る。
所要時間 約 15 分
用意するもの
・ 名刺大のカード 参加者数分
・ 「大切なわたしの名前」ワークシート(次ページ掲載)参加者数分
進め方
① カードに自分の名前をひらがなで、利き手でない方の手を使って、できるだけ丁 寧に書く。
② ①で書いた自分の名前を見て、感じたことを書く。
③ 自分の名前にまつわるエピソードを 1 つ書く。
④ 2 人組になり、話し手と聞き手を決める。
⑤ 話し手は、①で書いた名前を見せながら、自分の名前と、自分の名前を書いて感 じたこと、自分の名前にまつわるエピソードを 1 分間話す。その間、聞き手は、表 情や態度で話し手の話をきちんと聞いていることを示すようにする。
⑥ 役割を交代し、同様に行う。
⑦ 話を聞いてもらった感想を書く。
解説
拙いひらがなで書かれた自分の名前は、初めてそれを書いた幼い日のことを思い起 こさせ、1 画 1 画丁寧に書かれた自分の名前にいい知れぬ愛しさを感じるのではない でしょうか。
その感覚を、同様に拙いひらがなで書かれた他者の名前にも抱けるようにしていき ます。
また、傾聴し、傾聴される心地よさも体感させます。
名前を書いたカードは、活動後、もち帰らせるようにしましょう。
なお、外国につながりのある児童・生徒などで、長い名前の児童・生徒がいた場合 には、名前の一部分を選択させて書かせる、ひらがなが書けない児童・生徒がいた場 合には、書き慣れた文字で書かせるなどの配慮をしてください。
( )年( )組( )番( ) 1 カードにあなたの名前をひらがなで、利き手でない方の手を使って、できるだけ丁寧に書いて
みましょう。
2 1 で書いた自分の名前を見て、感じたことを書いてみましょう。
3 他の人に話してもいい、自分の名前にまつわる話を 1 つ書いてみましょう。
例)自分の名前の意味
自分の名前の好きなところ 自分の名前をつけた人
自分の名前がついたいきさつ など
4 話を聞いてもらった感想を書いてみましょう。
大切なわたしの名前
ア-③
ねらい
物事を様々な方向から多面的に見る面白さに気づくとともに、他者によって違う見 方に気づかされる面白さを実感する。
所要時間 約 20 分 用意するもの
・ 「漢字さがし」ワークシート(次ページ掲載) 参加者数分 ・ 青ペン、赤ペン 各参加者数分
進め方
① ワークシートに書かれた「漢字さがし」の<やり方>について理解する。
② ワークシートに自分が見つけた漢字を記入する。(1 ~ 2 分)
③ 3 ~ 4 人組になり、順番に 1 つずつ自分が見つけた漢字を発表する。
④ 同じ漢字を見つけた人がいたら、その漢字に青丸をつける。
⑤ 同じ漢字を見つけた人がいなかったら、その漢字に赤丸をつける。
⑥ 各グループで赤丸がついた漢字を、順番に 1 つずつ発表する。
⑦ 同じ漢字を見つけたグループがなかったら、その漢字に花丸をつける。
⑧ 花丸のついた漢字をその都度教師がグループ別に板書する。
⑨ 花丸のついた漢字が最も多かったグループに拍手を送る。
解説
自分では思ってもみなかったような見方や考え方が他者から示されるとき、人は驚 きとともに、自分の見方や考え方がより広がるのを感じるのではないでしょうか。
みんなと違うことが賞賛される活動をとおして、一人ひとりの違いを認め合えるよ うな仲間づくりを進めます。
隠れている漢字の例 1 画…一、乙
2 画…二、七、八、九、十、力、刀、丁、乃、人、入、卜(ぼく)
3 画…三、口、上、下、山、川、土、士、干、千、于、己、巳、万、亡、刃、夕 巾、工、小
4 画…六、王、日、円、止、五、斤、比、氏、爪、巴(ともえ)
5 画…正、田、出、旧、玉、石、示、兄、只、召、圧、平、辻、尓(なんじ)
6 画…印、臼、卍(まんじ)
※例にあげた漢字のいくつかのように多少無理があるものも認めるようにします。
応用
次の【例】のように、対角線に点線を入れるなど、点線の数を増やして、実施する こともできます。
④漢字さがし
【例】
( )年( )組( )番( )
〈やり方〉
下の四角の 12 本の点線の何本かを塗ってできる漢字をさが します。例えば、右の【例】のように、点線を 2 本塗ると「一」
という漢字が現れます。四角の中には「一」の他にどんな漢 字が隠れているでしょうか。できるだけたくさん見つけてみま しょう。
★青丸の数=( )個 ★赤丸の数=( )個
★他の人が見つけた漢字…( )( )( )( )( )( )( )( )( )
漢字さがし
【例】
ア-④
⑤隣の人はどんな人?
ねらい
・ 他者について想像し、想像とは異なる他者を知ることによって、他者理解を深める。
・ 自分が他者からどのように見られているかを知ることによって、自己理解を深める。
所要時間 約 30 分 用意するもの
「隣の人はどんな人?」ワークシート(次ページ掲載)参加者数分 進め方
① 2人組になり、(1)~(10)の質問について、自分の答えをワークシートの表 の左側の欄に、隣の人が書きそうな答えをワークシートの表の真ん中の欄に書く。
② (1)~(10)の質問について、自分の答えを隣の人に教えるとともに、隣の人 の答えをワークシートの表の右の欄に書く。
③ 隣の人の答えが自分の予想どおりだった数をワークシートに書く。
④ 隣の人について、気づいたこと、わかったこと、発見したことを書く。
⑤ 自分について、気づいたこと、わかったこと、発見したことを書く。
解説
他者について想像したとき、想像どおりならば、自分の勘があたったようでうれし いものですし、反対に、想像と違っていても、他者の意外な面を発見したようで、そ れもまたうれしいものです。
この活動をとおして、他者への想像力を高め、他者理解へとつなげます。
また、自分が他者からどのように見られているかを知ることによって、新たな自分 を発見し、自己理解へとつなげます。
出会いの場、出会い直しの場で用いたい活動です。
質問の例
(1)~(10)の質問は、「好きな○○」のように簡単に答えられる質問から、徐々 に「将来の夢」のようにその人の内面がわかるような質問にするようにします。
好きな色 何月生まれ 好きな歌 きょうだいの数 好きな動物 集めているもの 好きな季節 宝物
好きな教科 よく遊びに行くところ 好きな食べ物 今、熱中していること 好きな飲み物 今、楽しみにしていること 好きな芸能人 今、1 番ほしいもの 好きなスポーツ 得意なこと
好きなテレビ番組 将来の夢