4 省庁におけるタイムスタンプのニーズ調査
4.3 調査結果
4.3.5 財団法人 日本建設情報総合センター( JACIC )
札システムの導入を行った。この電子入システムは、上述の無償公開された 電子入札システムを「電子入札コアシステム開発コンソーシアム」において 改良を重ねた「電子入札コアシステム」に移行したものである(電子入札コ アシステム開発コンソーシアム及び電子入札コアシステムについては、「③ 電子入札コアシステム開発コンソーシアムと電子入札コアシステム」参照)。 新システムでは、複数の認証局から発行される
IC
カードに対応するとともに、これまでの電子入札システムの機能向上を図っている(図
4.3-5
)。図
4.3-5
国土交通省 電子入札システムの概要(出典: 国土交通省34)新システムにおいて電子入札に参加するには、複数の民間認証局からひと つ(または複数)を選び、そこから発行された電子証明書が必要となる。電 子証明書は
IC
カードに格納されており、このIC
カードを使用し電子入札を 行う。電子入札に関する円滑な業務を支援するために、平成
13
年4
月に財団法人 日本建設情報総合センター(JACIC
)によって「電子入札施設管理センター(
e-BISC
センター:Electronic Bid Server Control Center
)」35が設置され、電子入札システムを一元的に管理している。
34 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/13/130117_.html
35 http://www.e-bisc.go.jp/
③ 電子入札コアシステム開発コンソーシアムと電子入札コアシステム
上述の平成
15
年4
月から運用が開始された国土交通省の電子入札システム は、「電子入札コアシステム開発コンソーシアム」により開発された「電子入 札コアシステム」へ移行が実施されたものである。電子入札コアシステム開発コンソーシアムは、国土交通省が平成
13
年6
月 に発表した「CALS/EC
地方展開アクションプログラム(全国版)」の趣旨に 則り、地方公共団体等の公共発注機関への円滑な電子入札システムの導入を 支援することを目的として、「財団法人 日本建設情報総合センター(JACIC
) 及び「港湾空港建設技術サービスセンター(SCOPE
)」によって設立された。会員として、電子入札の導入を目指す公共発注機関とシステム開発能力を有 する主要
IT
ベンダーが参加している。JACIC
とSCOPE
は、コンソーシア ムの検討結果を受けてコアシステムを開発し、公共発注機関に有償で提供す る。コアシステムにおいて、提供している、または、提供を予定している機能
は表
4.3-2
の通りとなっている。表
4.3-2
電子入札コアシステムの提供機能(予定含む)(出展: 電子入札コアシステム開発コンソーシアム)
平成14 年度 平成15年度 平成16年度
V1 V2 V3 V4
検討課題
適用
基本機能拡張
1. ユーザインターフェースの統一
○
応札者操作部分の仕様を統一したイン ターフェースを提供することで入札参 加企業の混乱を回避する。
2. システム競合の回避
○
同一端末で複数の発注機関に対応でき る仕様を実現し、応札者の多端末化を 回避する。
3. 既存システムとの接続の容易性
○
既存システムとの連携を容易にするた めのインターフェースをAPI方式で確 立する。
4. マルチプラットフォーム対応
○
複数ハードウェア、ソフトウェア(OS, DB等)への対応を行う。
業務機能拡張 5. 物品調達対応
○
業務合理化のための物品調達の対応を 行う。
6. 随意契約対応 ○ 随意契約の対応を行う。
7. 電子契約対応
○
認証局を利用しての電子契約機能の実 現を行う。
8. 統合PPI対応
○
入 札 情 報 の 検 索 ・ 公 開 を 行 う 「 統 合 PPI(入札情報サービス)」掲載用データ の作成機能を提供する。
認証機能拡張
9. 複数認証局対応
○
国土交通省指定の認証局以外の認証局 への対応を行う。
10. GPKI対応
○
平成 15 年度当初にGPKI(政府認証基 盤)へ中央省庁が対応するため、平成14 年度中に対応を行う。
11. LGPKI対応
○
LGPKI(地方自治体組織認証基盤)対応
を行う。
12. 商業登記電子認証対応
○
法務省が発行する商業登記に基礎を置 く電子認証の対応を行う。
運用
13. データセンター対応
○
iDC 等データセンターを活用したアウ トソーシングを可能とする。
14. データの長期保存対応
○
データの長期保存のため、特定のアプ リケーションシステムを提供する。
国際対応
15. 国際標準化対応
○
電子入札国際標準の検討及びコアシス テムへの実装を行う。
④ タイムスタンプ技術へのニーズと課題
ヒアリングでは、国土交通省や地方自治体等において導入されている電子 入札システムの現状やタイムスタンプ技術の適用可能性等に関して質問を行 った。
電子入札システムにおいては、入札記録にタイムスタンプを付与する要件 が想定される。ヒアリング応対者の説明によると、電子入札コアシステムで は、サーバ側の時刻を基準として、クライアント側と同期を取っており、双 方共通の日時で処理する仕組みになっている。ただし、従来の入札制度と同 様、入札に関する時間の処理は日付単位によって行われており、分秒までが 問われるケースは発生していないとのことである。また、入札において、着 順の先後によって有利不利が変わるようなこともない。
表
4.3-2
に示したように、データの長期保存への対応が検討課題として認識されている。これについては、長期にわたって電子保存されたデータが、
将来のアプリケーションが対応していない等の理由により見ることができな くなるという課題への対応について、議論されたとのことである。
ヒアリング応対者からは、入札が行われ、落札者の決定がされた後の契約 手続きの電子化(電子契約)に対するニーズが指摘されている。電子契約に おいては、これまでの取引上の慣行・慣習と異なる運用が必要になる場合も あり、普及に向けては、技術的な課題の解決のほか、法制度や環境の整備が 不可欠になると考えられる。