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4 省庁におけるタイムスタンプのニーズ調査

4.3 調査結果

4.3.4 総務省

一般に、単純なログの保管の場合では、サーバ管理者が証拠を残さないで ログの改ざんを行うことが技術的には可能である。ある時点で作成されたロ グが、その後に改ざんされていないことを証明するために、タイムスタンプ を活用することは有用かもしれない。

そのほか、タイムスタンプ技術へのニーズが考えられる事案としては、特 許の権利期間

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年間に対応した文書の長期保存が想定される。ただし、タイ ムスタンプが付与された文書を長期にわたって検証可能とするためは、電子 署名の長期保存とデータ量の肥大化が課題と認識されている。

4.3-4

  電子投票の各段階のイメージ図

(出典: 総務省「電子機器利用による選挙システム研究会報告書」32

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段階の電子投票では、個人の所有するコンピュータ端末を用いて投票 を行い、ネットワークを通じて投票情報を伝達する。ネットワーク上でトラ フィックの混雑等が生じた場合には、選挙人が端末上で投票行為を行ってか ら投票情報がサーバに到達するまでにタイムラグが生じる場合もあると考え られる。従って、有効票の基準として ①投票情報が投票時間内にサーバに到 達すること(到達基準)、②投票行為が投票時間内になされること(作成基準)

等が考えられる。選挙人の利便性を鑑み、投票時間終了間際での投票を有効 とするためには、後者の基準を用いることが望まれる。その場合、個人の端

32 http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/pdf/020201_2.pdf

末において投票行為を行った時刻を証明するために、タイムスタンプ技術が 活用できると期待される。

②  情報公開制度について

平成

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月に「行政機関情報公開法」が施行され、行政機関が保有する 行政文書を開示し、諸活動を国民に説明する責務を果たすことがより強く求 められている。情報公開の対象となる文書は、文書、図画に加えて、電磁的 記録が含まれる。また、適正な管理を行うために、行政機関は行政文書の管 理に関する定めを設けている。

また、平成

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月から開催されている内閣府の「公文書等の適切な管 理、保存及び利用に関する懇談会」33では、国の機関が作成し、または取得し た公文書等の管理、保存及び利用に係る制度の在り方が検討されている。今 後、公文書等の電子化が進展するものと考えられる中で、電子化された公文 書等の移管・保存・利用について制度面や技術面の検討がなされている。

電子化された文書の保管や公開等を行う際には、タイムスタンプ技術に対 する必要性が出てくるものと考えられる。

③  タイムスタンプ技術へのニーズと課題

ヒアリング応対者の説明によると、行政の業務において、現状では日付単 位で文章の管理を行っている場合が多く、文書の作成や承認を行った時刻を 正確に記録または確認することはあまりないとのことであった。

しかし、電子投票に関しては、オンラインでの投票を想定した場合、タイ ムスタンプ技術の活用の可能性がある。ただし、各種の要因があり、当分の 間はオンラインでの電子投票の実現は困難であるとのことであった。

また、行政文書の電子的な保管や情報公開制度に関しては、現状では電磁 的記録を行う文書について、作成した時刻を確認できるという要件は生じて いないが、将来的に電子的な文書の保管が進むと、文書の作成時刻と作成後 に改ざんされていないことを証明する必要が出てくる可能性があるとのこと であった。

従って、今後、文書の電子的な保管の推進や、オンラインでの電子投票の 実現に向けて、タイムスタンプに対する要求が生ずる可能性は高いものと考 えられる。

33 http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/index.html