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3 議題 ①グループワーク:事例「高齢者とその家族」から学ぶ
~うつ状態への心理臨床的理解とかかわり~
臨床心理士
西村寛子・水野直樹
※研修会等の講師料捻出のため、習志野連携の会の研修教育活動について助成金の申 請をし、助成を受けられることとなりました。この研修会も「公益財団法人在宅医療 助成勇美記念財団」の助成を得て開催しています。
プログラム
15
時
30分 開催の挨拶 津田沼中央総合病院 竹内貴子
15時
35分 講義「老年期の心理」
16
時
00分 グループワーク:事例「高齢者とその家族」から学ぶ
~うつ状態への心理臨床的理解とかかわり~
16
時
45分 質疑応答・アンケート記入
17
時
00分 終了の挨拶 東京湾岸リハビリテーション病院 林 洋子
老年期の心理
老いの臨床
• 喪失体験:身体機能の低下、経済的自立の 喪失、家族・友人・社会とのつながりの減少、
死の接近、生きがいの喪失に直面。
• 複合的喪失:1つの喪失が、 2 つ以上の喪失 につながるストレス。
• パーソナリティ:社会的ひきこもり、依存性、
保守的、邪推や嫉妬、頑固、愚痴、自己中心
性、融通性の欠如。
自己同一性の困難
• 自分の身分・社会的役割の喪失から、自分を 規定することが難しくなり、自分が何者である かが分からなくなる危機がある。
• 自分は何者でもなく、何もすることができない という思いから、自己評価の低下につながる。
• 未来を塞がれ、現在においては無力、空虚の
中に生きていると感じ、過去に閉じこもる。
心の重荷
• 老年期の心の重荷:生命の終わりゆくことの たえがたさ、今までの生き方が問われること、
実行力の喪失、存在感の喪失。
• 周囲の反応がなく、相手としての価値を認め
られなくなることによる空虚および停滞。
老年期における心理的なケア
• 老人は死への不安があり、身体的なケアの 開始が心理的ケアでもありうる。
• 逆に言えば、身体的なケアをしつつも、気持 ちを理解しようとすることも可能である。
• 等しく老いゆく者としての連帯性が基盤となる。
• 解放・解決に導く時間が短くても、それにはそ れ自身の価値がある。
Cf) 映画「レナードの朝」(オリバー・サックス原
作)
死の受容過程: E. キューブラー・ロス
• 終末期の患者の思い:彼らのコミュニケーショ ンが他者にとっても重要かもしれない、意味 があるかもしれないという意識を持っている。
• 第1段階:否認と隔離(孤立化)
• 第2段階:怒り
• 第3段階:取り引き
• 第4段階:抑うつ
• 第5段階:受容
第一段階:否認と隔離(孤立化)
• 否認:「それは事実ではない。私のことである はずはない」という反応。
• あるいは「(他の医者に)確実な説明を受けた い」と望む。
• 否認は不快で痛ましい事態に対する健康な 対処方法。衝撃的な報せに対する緩衝装置。
• 否認によって、崩れようとする自らを取りまと
め、より緩やかな別の防衛法を用いる。
第2段階:怒り
• 怒り:「なぜ私を?」という問いになる。
• 否認から、怒り、憤り、羨望、恨みなどの感情 が生じる。
• 患者の立場になって、この怒りがどこから来 るのかを考えることが大切になる。
• 活動の中断を余儀なくされたときの気持ち。
• それらを楽しむことができる他者に対する怒
り。
• 尊敬され、理解され、世話をされ、時間を割い てもらえる患者は、自分が価値ある人間であ ることを知る。
• 「苦しいですね」という共感のひと言が、価値 がある。
• DoingよりもBeing。(何かを“する”よりも、と
もに“いる”こと)。
第3段階:取り引き
• 患者は過去の経験から、よい振る舞いをすれ ばそれだけの報償、特別サービスがあると思 う。(延命の願望、痛みと肉体的不快のない 日が欲しいということなど)。
• “神に生涯を捧げる”とか“教会への奉仕に一 生を捧げる”などの約束をする。
• 約束は罪責感と関係があると考えられる。患
者の心の悩みに耳を傾け、不合理な恐怖感
や罰せられたい願望を解放する。
第 4 段階:抑うつ
• 自分の病気を否認できなくなり、衰弱が加
わってくると、大きなものをなくしたという喪失 感に変わってくる。
• Ex)身体・容姿の喪失、経済的負担、家庭・
家族生活の喪失、夢の実現不可能。
• 反応抑うつ:過酷な現実に対する反応。 → 非
現実的な見方を修正することで安定。
準備的悲哀( preparatory grief )
• 準備抑うつ:患者の愛の対象一切に対する喪 失への心の準備。世界との決別を覚悟する ために経験する、準備的悲嘆。
• 愛する人を失うとき限りなく悲しいのが人情で あり、物事の明るい面を見るように言ったり、
悲しまないように言うのは、迫りくる死を考え させないように言っていることに等しい。
• 悲しみを表現することを許してこそ、最終的受
容が容易になる。
第 5 段階:受容
• 受容:自分の運命について、抑うつも怒りも覚 えない。ほとんどの感情がなくなっている。
• 「長い旅行の前の最後の休息」。(痛みは去り、
闘争は終わる)。
• 患者自身より家族が大きな助け・理解・支え を必要とする。
• 患者は一人きりにされたいと望む。自分を取
り巻く環境から自らを引き離していく。
家族の心理
• 家族にとっては、この引き離しは拒絶と感じら れる。
• 自分の死までの幾段階かを通過した人だけ が平安理に静かに自分自身を引き離してい ける。それを理解することは家族にとって安 堵と慰めの源泉となる。
• 5段階は、一定ではなく、交替したり併存した
りする。(直線ではない)。
まとめ
• 希望:苦痛を耐えていけるのは希望があるか らである。
• 苦しみも最終的には報いられるであろうという その気持ちが支えになっている。辛い時期を それによって励まされている。
• 希望を関係者が患者と共に分け持つ。
• いかなる患者に対しても、放棄とならないよう
にしなければならない。
悲嘆のプロセス( A. デーケン )
( 1 )精神的打撃と麻痺状態(2)否認
(3)パニック(4)怒りと不当感
(5)敵意とルサンチマン(6)罪意識
(7)空想形成・幻想(8)孤独感と抑うつ
(9)精神的混乱とアパシー(無関心)
( 10 )あきらめー受容
( 11 )新しい希望ーユーモアと笑いの再発見
( 12 )立ち直りの段階ー新しいアイデンティティの誕
生
ドキュメント内
「地域における在宅医療、介護支援実務者のための能力向上研修」
(ページ 66-83)