図6.2: 2ノード間の距離によるスループットの変化
平均 2Kbps 程度のスループットとなっている。20 から 30 台のステーション数の結果を
見ても、アクセスポイントに接続しているステーションの数によって、スループットが変 化していることがわかる。ステーション数が 8 の時、23Kbps の結果も出ているが、これ はアクセスポイントとステーション間の距離が長いため、平均スループットが低下してい るものである。
6.4 議論
6.4.1 伝搬エミュレータの動作
これまでの伝搬エミュレータは、ノード間での遅延時間、利用可能な帯域幅、パケット ロス率を再現することで、擬似的な無線空間を再現していた。しかし、本研究で提案した NETorium は、Asteroid による仮想無線ネットワークを提供する。そのため、Asteroid
図6.3: シナリオレイアウト: 32 アクセスポイント、1000ステーション
図6.4: アクセスポイント毎の平均スループット
6.4 議論 97 は、管理フレームや無線フレームの再送制御を行うため、伝搬エミュレータはフレームエ ラーを再現するだけで無線ネットワークの再現が可能であると考えられる。
伝搬エミュレータのスケーラビリティは、遅延時間、利用可能な帯域幅、パケットロス 率を再現する処理時間に大きく依存する。その中でも、遅延時間と帯域幅の再現には、パ ケットの保持と送信時間の制御が必要となるため、CPU とメモリを消費する。これ対し て、パケットロス率は受信時に確率に従いパケットを破棄するのみでよいため処理が簡素 である。もし、無線ネットワークの再現を行うための処理がパケット破棄のみで十分とな れば、より大規模な無線ネットワークの再現が可能となると考えられる。
6.4.2 RSSI の制御
実際の無線ネットワークでは、周辺環境によって RSSIの値は動的に変化するが、現状 の Asteroid は、RSSIの値を固定値で扱っている。NETorium では、無線フレームの伝 搬はAsteroid が行うが、空間伝搬に関する情報を扱うのはMeteor であるため、Asteroid は、空間伝搬パラメータである RSSI の値を持たない。
6.4.3 ブロードキャストトラフィックの制御
無線ネットワークではブロードキャストが多く使用されるが、有線ネットワークでは 同じレイヤ2ネットワークに所属するため全ノードへの到達性を持ってしまう。Meteor
や QOMET は、これに対して受信ノードでフレームの破棄を行うことで到達性の制御を
行っている。しかし、この手法では全てのノードが送信したパケットを処理するため受信 パケットを処理する負荷が大きいという問題がある。
展開する無線ノード数が 1000 台程度の規模の場合、受信時での処理でも実現可能であ る。しかし、より多数のノード、数千や数万といった大規模なノード数を展開した場合、
フレームの受信および破棄の処理が他のアプリケーションソフトウェアへ影響が出てしま うほどの大きな負荷となってしまう。数万ノードを展開する大規模ネットワークをエミュ レーションするためには、送信されるブロードキャストフレームに対して到達可能なノー
ドのみへフレームを配送する仕組みが必要である。本研究では、この問題について言及を していないが、ブロードキャストフレームをマルチキャスト、またはユニキャストへ変換 し、到達性のあるノードのみへフレームを配送することでネットワーク全体の負荷を削減 できると考えている。