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有線ネットワーク上での無線通信 .1 Asteroid.1Asteroid

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有線ネットワーク上で擬似的な無線空間を再現するためには、無線ノード間の遅延時間 や帯域幅、パケットロス率の伝搬特性を再現する手法が多く採用されている。アプリケー ションソフトウェアから見た場合、通信先との間で発生する伝搬特性を再現することで無 線ネットワークを介して通信しているように見せかけることができる。本論文では、大規 模かつネットワークプロトコル非依存な伝搬エミュレータとして Meteor の設計と実装と 行った。しかし、新たな無線技術の中には有線ネットワークとは異なる技術で通信路の確 保を行うものがある。

無線ネットワークは、基本的にブロードキャストでの通信を行うためセキュリティの観 点から認証を使用しての接続が一般的に用いられている。無線ネットワークの認証技術 は、プロトコル仕様に含まれている。また、無線ノードのみで構成する無線メッシュネッ トワーク技術には、無線フレームによるメッセージ交換で経路を構築するものがある。こ のような技術は有線ネットワークでは使用できないプロトコルであるため、伝搬エミュ レータのみを使った擬似的な無線空間の再現では扱うことができない。そのため、仕様で 定義されたプロトコルを用いた技術をネットワークテストベッドで使用するためには、無 線フレームによる通信路を有線ネットワーク上に構築する必要がある。

asteroid は、無線空間での衝突を再現しつつ、有線ネットワーク上で無線フレームの

送受信を可能とする仮想無線ネットワークエミュレータである。図 5.2 は、Asteroid を 用いて複数の汎用計算機間が有線ネットワーク上で無線通信を行っている。node A と Node B はAccessPoint を介して通信可能な状態である。

衝突の再現

実世界の無線ネットワークでは、無線ノードから同時に無線フレームを送信した場合、

電波の衝突が発生する。実際の無線ネットワークでは、衝突の検知は不可能であるためプ

5.3 有線ネットワーク上での無線通信 75

図5.2: Asteroid のデザイン

ロトコルによって決められた時間相手からの応答がなかった場合、BackOFF時間待機し た後データの再送を行う。

無線ネットワークでは、衝突回避の方法にCSMA/CA とCSMA/CA with RTS/CTS が存在するが、CSMA/CA は隠れ端末問題に対応できないため、実際の無線ネットワー

クでは CSMA/CA with RTS/CTS が用いられることがほとんどである。本論文では、

CSMA/CA with RTS/CTS を RTS/CTS と呼ぶ。rTS/CTS は以下の手順で衝突を回 避する。

1. ノード A は データを送信する前に衝突が発生しないよう RTS フレームをブロー ドキャストする。

2. RTS フレームを受信したアクセスポイントは、CTS フレームをブロードキャスト

することでノード A がデータを送信することを他のノードへ通知する。

3. CTS フレームを受信したノードA は、データを送信する。他のノードはノードA のデータ送信が完了するまで待機する。

4. ノード A のデータ送信が完了した後、アクセスポイントは ACK フレームをブ ロードキャストする。この ACK フレームによって他のノードはノード A のデー タ送信が完了したと判断する。

rTS/CTS は、予めデータを送信する権利を得ることでデータ送信中の衝突の回避してい

るが、RTS フレームの衝突は回避できない。

図5.2 は、Node A とNode B はAccessPointと通信している際に、Asteroid が電波 の衝突を再現している様子を示している。node A と Node B は、AccessPoint へ RTS フレームを送信しているが、電波の衝突が発生したため AccessPoint は正しいデータを 受信できない。

asteroid では、この衝突を再現するため無線フレームの送信中に他の無線ノードから受

信した場合、受信フレームを破棄する。

5.3.2 データ構造

無線フレームを他ノード間で交換するためには、一度無線フレームを有線ネットワーク 上で交換可能なフォーマットへ変換する必要がある。この方法には、トランスレーショ ンとカプセル化の方法が考えられる。トランスレーションを行うためには、無線フレー

ムから IEEE 802.11 ヘッダの情報を読み取り、何らかの形に変換する必要がある。これ

が IEEE 802.11 のみの対応であればトランスレーションによる手法で問題ないが、実環

境で使用される無線技術は Bluetooth や Zigbee なども存在する。これら数種類の通信 メディアのヘッダ情報を読み取り適切なフォーマットへの変換をフレーム毎に行うことは 困難である。また、無線技術で使用されるヘッダはイーサネットと比較して多くの情報が 格納されるため、イーサネットヘッダ以外の場所に何らかの形で情報を格納する必要があ る。これに対し、カプセル化は無線フレームをそのまま扱えるため処理は簡素になる。ま た、カプセル化用のデータコンテナにはメディアタイプのフィールドを付与させることで

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