1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもと で、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はそ の家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
2. 心筋梗塞、脳血管障害等の重篤な動脈血栓塞栓症があらわれ、死亡に至る例が報告されている。観察を 十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。重度の動脈血栓塞栓症 があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと。[「慎重投与」及び「重大な副作用」の項参照]
3. 重度の消化管出血があらわれ、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場 合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。重度の出血があらわれた患者には、本剤を再投与しないこ と。[「慎重投与」及び「重大な副作用」の項参照]
4. 消化管穿孔があらわれ、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合に は、投与を中止し、適切な処置を行うこと。消化管穿孔があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと。
[「慎重投与」及び「重大な副作用」の項参照]
(解説)
1. 本剤では重篤な副作用による死亡例が報告されており、副作用に対して、適切な処置を講ずるため、副作用 発現による緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもと で、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与することが、適正使用の観点から必要である。ま た、本剤投与にあたっては、患者又はその家族に対して本剤の治療による有効性のみならず、副作用等の 危険性について十分に説明を行い、同意を得てから投与を開始すること。
2. 動脈血栓塞栓症
【有害事象の発現状況】(動脈血栓塞栓症)
治癒切除不能な進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者を対象とした臨床試験 外国第III相無作為化比較試験
(REGARD試験:単独投与)
国際共同第III相無作為化比較試験
(RAINBOW試験:パクリタキセル併用投与)
全グレード グレード3以上 全グレード グレード3以上 ラムシルマブ群 4/236例(1.7%) 3/236例(1.3%)* 6/327例(1.8%) 3/327例(0.9%)
プラセボ群 0/115例(0.0%) 0/115例(0.0%) 5/329例(1.5%) 3/329例(0.9%)**
*グレード5(2例)を含む **グレード5(1例)を含む 参考としてプラセボの有害事象発現状況も記載する。
【対処方法】異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、患者の状態を十 分に考慮し、適宜専門医に相談すること。重度の動脈血栓塞栓症があらわれた患者には、本剤を 再投与しないこと。
【外国第III相臨床試験(REGARD試験)における死亡例】
ラムシルマブ群の死亡例2例のうち、治験担当医師によりラムシルマブとの因果関係を否定されず、死亡原因 が当該有害事象であると報告された1例を〔表1〕に示す。
〔表1〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 60代
転移性の胃又は 胃食道接合部腺 癌
事象名:胸痛、心筋梗塞
投与1日目 胃食道癌の治療のため、本剤8 mg/kg(392 mg)の投与を開始。
[初回投与の15日目(第2サイクル)に過量投与あり]
投与73日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止。
投与開始76日目
(最終投与4日後)
重労働後に胸中央部痛を感じ、鎮痛剤で一時痛みは和らいだもの の、次第に悪化。息切れは認められなかった。(グレード 2の狭心 症)
投与開始83日目
(最終投与11日後)
救急受診。クレアチンキナーゼ及びトロポニン陰性、心電図上T波 異常、血圧79/55 mmHg、脈拍87、呼吸数16.6、体温35.2℃。
ニトログリセリン0.5 µg 舌下、モルヒネ硫酸塩5 mg 及びメトクロプ
ラミド10 mg静注の効果なく、ジクロフェナク75 mg筋注により痛み
が軽減。状態が安定し、帰宅。
投与開始84日目
(最終投与12日後)
胸痛が再発し、救急受診。グレード3の胸中央部疼痛で入院。
投与開始85日目
(最終投与13日後)
血圧120/75 mmHg、脈拍82、呼吸数16、体温36.4℃、ヘモグロビ ン10.2 g/dL、ヘマトクリット28.7%、クレアチンキナーゼ373 U/L、白 血球数 23.5×109/L、好中球絶対数 22.13×109/L、リンパ球数 0.24×109/L、単球1.11×109/L、赤血球数3.60×1012/L、クレアチ ニン 154 µmol/L、尿素9.3 mmol/L、クロール75.3 mmol/L、ナトリ
ウム 112 mmol/L。凝固検査:部分トロンボプラスチン時間(APTT)
比 1.72、APTT41 秒 、国際 標準 化比 (INR)1.16。ト ロポニン I
0.2 ng/mL以下、尿検査異常なし、胸部X線上心臓肥大。
感染の可能性及び脱水治療のため、セフロキシムナトリウム、メト ロニダゾール及びピペラシリンナトリウム/タゾバクタムナトリウム の投与並びに補液の静脈内投与を開始。
投与開始86日目
(最終投与14日後)
死亡(血液及び尿の培養結果から、敗血症は否定的であった。)
既往歴:網膜色素変性症、高血圧、便秘、けん怠感、間欠性心窩部痛
併用薬:エナラプリル、bendroflumethiazide(本邦未承認)、(必要時)アセチルサリチル酸/コデインリン酸塩/パラセタモ ール、dextropropoxyphene hydrochloride(本邦未承認)/パラセタモール、銅/葉酸/鉄/ビタミンB/亜鉛
3 消化管出血
【有害事象の発現状況】(消化管出血)
治癒切除不能な進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者を対象とした臨床試験 外国第III相無作為化比較試験
(REGARD試験:単独投与)
国際共同第III相無作為化比較試験
(RAINBOW試験:パクリタキセル併用投与)
全グレード グレード3以上 全グレード グレード3以上 ラムシルマブ群 15/236例(6.4%) 7/236例(3.0%)* 33/327例(10.1%) 12/327例(3.7%)**
プラセボ群 7/115例(6.1%) 3/115例(2.6%)** 20/329例(6.1%) 5/329例(1.5%)**
*グレード5(2例)を含む **グレード5(1例)を含む 参考としてプラセボの有害事象発現状況も記載する。
【対処方法】重度(グレード3又は4)の出血が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこ と。重度(グレード3又は4)の出血があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと。
【国際共同第III相臨床試験(RAINBOW試験)における死亡例】
治験担当医師によりラムシルマブ/パクリタキセルとの因果関係を否定されず、死亡原因が胃腸出血であると 報告されたラムシルマブ群の死亡例1例を〔表2〕に示す。
〔表2〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 70代
胃腺癌 事象名:胃腸出血
投与1日目 胃癌の治療のため、本剤8 mg/kg、パクリタキセル80mg/m2の投 与を開始(1サイクル28日)。
投与43日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止。
最終投与後 強い脱力感及び胃腺癌による疼痛があった。グレード 3の貧血に 対し、輸血を実施。
投与54日目
(最終投与12日後)
虚脱状態になり、全身状態が急速に悪化。腫瘍部位からとみられ る胃腸出血が原因とみられ、同日死亡。治療の有無は不明。
臨床検査値
検査項目 投与開始1日前 投与開始35日目 投与開始42日目 ヘモグロビン値 8.8 g/dL - 7.8 g/dL
血小板数 225/nL - 302/nL 国際標準化比(INR) 1.1 1.1 -
Quick一段法 89% 92% -
部分トロンボプラスチン
時間(APTT) 58秒 59秒 - 合併症:肺転移
既往歴:貧血
併用薬:ヒドロクロロチアジド、metamizol(本邦未承認)
【外国第III相臨床試験(REGARD試験)における死亡例】
治験担当医師によりラムシルマブとの因果関係を否定されず、死亡原因が食道ステントであると報告されたラ ムシルマブ群の死亡例1例を〔表3〕に示す。
〔表3〕(外国症例)
性
年齢 原疾患 経過等
男 60代
胃食道癌 事象名:胃出血
投与開始10日前 体重減少及び栄養状態改善のための食道ステント留置。
投与1日目 胃食道癌の治療のため、本剤8 mg/kgの投与を開始。
投与41日目
(最終投与日)
本剤の投与を中止。
投与43日目
(最終投与3日後)
患者は1回嘔吐し、少量の黒い液体を吐出。患者は診察のため、
一般開業医を受診。患者にはメレナの病歴なし。患者は帰宅し、
数日後にフォローアップが予定された。
投与44日目
(最終投与4日後)
家で大量出血し、倒れているのを発見され、同日死亡。食道下部 ステント留置と関連あり。患者は、放射線治療後の壊死及びステ ント留置により生じた血管びらんによる食道出血のため死亡した。
臨床検査値
検査項目 投与開始 11日前
投与 1日目
投与 40日目
投与 41日目 プロトロンビン時間 13.6 - - 14.2 国際標準化比(INR) 1.01 - - 1.07 部分トロンボプラスチン
時間(APTT) 27.6 - - 31.9 ヘモグロビン 138 109 119 -
赤血球数 4.37 3.48 4.0 - 血小板数 270 324 388 - 好中球数 4.1 - 8.11 - 平均赤血球容積(MCV) - 91 92 - 既往歴:化学療法、放射線療法歴あり
併用薬:エソメプラゾールマグネシウム、オキシコドン塩酸塩、movicol(本邦未承認)、鉄剤、パラセタモール及び塩酸メトク ロプラミド
4. 消化管穿孔
【有害事象の発現状況】(消化管穿孔)
治癒切除不能な進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者を対象とした臨床試験 外国第III相無作為化比較試験
(REGARD試験:単独投与)
国際共同第III相無作為化比較試験
(RAINBOW試験:パクリタキセル併用投与)
全グレード グレード3以上 全グレード グレード3以上 ラムシルマブ群 2/236例(0.8%) 2/236例(0.8%)* 4/327例(1.2%) 4/327例(1.2%)**
プラセボ群 1/115例(0.9%) 1/115例(0.9%)** 1/329例(0.3%) 0/329例(0.0%)
*グレード5(2例)を含む **グレード5(1例)を含む 参考としてプラセボの有害事象発現状況も記載する。
【対処方法】消化管穿孔が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。消化管穿孔が あらわれた患者には、本剤を再投与しないこと。