第 5 章 質問票調査
5.2 調査票の回収状況及び回答企業の属性
調査対象企業196社に対し、調査票を2004年11月に発送し、45社(回収率23.0%)
から回答を得た(表5.1)。
医薬品産業に属する企業が所属する業界団体として、日本製薬工業協会と医薬工業 協議会があり、前者は主に研究開発志向型の創薬メーカーが所属しており、後者はジ
13 この調査は、平成16年度科学研究費補助金基盤研究(C)「知的財産マネジメントと製品開発 戦略の統合に関する研究(研究代表者:永田晃也助教授,九州大学大学院)」により実施されたも のである。
ェネリック医薬品の普及を目指す後発品メーカーが所属している。従って、回答企業 の所属団体により創薬メーカーであるか、後発品メーカーであるかを推定することが できる。調査票の回収率は、日本工業協会所属企業が31.6%、医薬工業協議会所属企
業が25.0%、その他企業が13.0%であり、日本製薬工業協会所属企業の回収率が最も
多い。したがって、今回の調査票のデータは、日本製薬工業協会所属企業の動向を相 対的に強く反映させたものであるといえる。
表5.1 調査対象企業及び回収状況
調査対象企業数 回答企業数 回収率(%)
日本製薬工業協会所属企業 79 25 31.6 医薬工業協議会所属企業 40 10 25.0
その他の企業 77 10 13.0
合計 196 45 23.0
次に、回答企業が生産を行っている製品分野を図5.1に示す。大多数の企業(93.3%)
が医療用医薬品の生産を行っており、一般用医薬品についてもほぼ半数の企業
(57.7%)が生産を行っている。
図5.1 回答企業の製品分野
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
その他 医療機器 農薬 食品 化学品 医薬部外品 化粧品 動物用医薬品 一般用医薬品 医療用医薬品
%
注:各製品分野で生産を行っている企業の割合を示す。
以下、日本製薬工業協会と医薬工業協議会に所属する企業の属性を見ていく。
回答企業の規模は、所属する団体によって大きく異なっている。従業員数において は、日本製薬工業協会所属の企業の平均が約3,919人に対して、医薬工業協議会所属 の企業では約274人、医薬品の売上高においても、日本製薬工業協会所属の企業の平
均が約3,165億円に対して、医薬工業協議会所属の企業が約8,571百万円と日本製薬
工業協会所属の企業は、概して規模が大きい(表5.2)。
表5.2 回答企業の規模(平均値) (単位:人、百万円)
全体 製薬協所属企業 医薬協所属企業 従業員数 2384.7 3918.6 274.1 売上高 194719.1 316498.6 8571.6 医薬品の売上高 101853.8 188963.5 8499.6
また、新薬はそのもととなる物質を自社で開発する場合(自社オリジンの新薬)と 他社から調達する場合(他社オリジンの新薬)があるが、回答企業全体の傾向として、
自社オリジンの新薬よりも他社オリジンの新薬が多いことがわかる。また、自社オリ ジンの新薬は、日本製薬工業協会所属の企業は2.5個であるのに対し、医薬工業協議 会所属の企業は、0.1個と非常に少ない。
表5.3 過去 10 年間に上市した新薬(平均値) (単位:個)
自社オリジン 他社オリジン
全体 1.7 2.7
製薬協所属企業 2.5 3.5
医薬協所属企業 0.1 2.2
続いて、回答企業の研究開発の実施状況を図5.2に示す。研究開発を実施している 企業の割合は、回答企業全体の90.5%と非常に高い。日本製薬工業協会所属の企業で は、100%の企業が研究開発を実施しており、医薬工業協議会所属の企業においても、
80%の企業が研究開発を実施している。研究開発の規模においては、医薬工業協議会 所属企業の研究者数、研究開発費はそれぞれ27.8人、562,1百万円であり、(日本製 薬工業協会所属企業と比較し、それぞれ 18 分の 1、84 分の 1 の規模)、日本製薬工 業協会所属の企業には及ばない。
このように、後発品メーカーであっても、大多数の企業が研究開発を行ってはいる が、創薬メーカーと比較すると、その規模は非常に小さいことがわかる。
図5.2 研究開発の実施状況(N=42)
90.5 9.5
実施している 実施していない
表5.4 研究開発の実施状況
実施企業の割合(%) 研究者数(人) 研究開発費(百万円)
全体 90.5 326.8 28056.4
製薬協所属企業 100.0 524.4 47367.0 医薬協所属企業 80.0 27.8 562.1 注:研究者数及び研究開発費は、実施企業の1社平均値を示す。
回答企業の知的財産マネジメントの実施状況は、図5.3及び表5.5の通りである。
日本製薬工業協会所属の企業では、100%の企業が実施しているため、研究開発志向 の創薬メーカーにおいて、知的財産マネジメントは不可欠な活動であると考えること ができる。一方、医薬工業協議会所属の企業においても、70%の企業が何らかの知的 財産マネジメントを実施している。また、知的財産関連業務の従事者は、日本製薬工 業協会所属企業が 23.3 人に対し、医薬工業協議会所属企業では 2.7 人と非常に少な い。
図5.3 知的財産関連業務の実施状況
88.9 11.1
実施している 実施していない
表5.5 知的財産関連業務の実施状況
実施企業の割合(%) 知的財産業務従事者数(人)
全体 88.9 23.3
製薬協所属企業 100.0 35.3
医薬協所属企業 70.0 2.7
注:知的財産関連業務の従事者数は、実施企業の1社平均値を示す。
知的財産業務の担当者と研究部門、開発部門、製造部門及び販売・マーケティング 部門の各担当者間で行われている対面による情報交換の頻度を図5.4に示す。研究部 門の担当者との情報交換の頻度が最も高く、次いで、開発、製造、販売・マーケティ ングの順である。
図5.4 知的財産部門の他部門との情報交換の頻度
2 2.2
3.1 3.6
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 販売・マーケティング
製造 開発 研究
注:5 点尺度のリッカート・スケール(なし/極まれ:1、半年に数回程度:2、月1〜2 回程度:3、週1〜2回程度:4、ほぼ毎日:5)による回答スコアの平均値