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調整と対策

ドキュメント内 50cm (ページ 40-44)

第 4 章 架台部の機械特性 33

4.1.4 調整と対策

ここで、h 、δはそれぞれ天体の時角、赤緯、φ は観測地の緯度である(本来は、これに 鏡筒自身のたわみも加わるが、影響が小さいためここでは無視する)。以上のようなな物 理モデルに従って、測定結果を考察する。

赤経方向の追尾誤差 赤経方向の追尾誤差を見ると、一様に東へずれる成分と短周期の 変動成分があるように見える。まず、一様な視野移動の原因について考える。前述の物理 的モデルに沿って見てみると、原因と成り得るのは(1)架台の据え付け誤差(M E M A)、

(2)赤経軸のセンターリングエラー(HCES)、そして(3)赤緯軸のたわみ(DAF)である。

今回の試験では追尾天体を天の赤道付近から選択しているため、据え付け誤差に起因する 成分は事実上無視することができる。従って、時角の変化に従って指向方向がずれる原因 は HCESDAF に絞り込まれる。一方、短周期の変動成分は、比較的短い 90 程 度の短い周期を持っており、一般的な物理モデルでの説明は困難である。以上の議論をも とにして、簡略化した以下の関数でフィッティングを行った(図4.3–Physical model)。

∆h=HCESsinh−DAF ·cosφcosh+asin(b(x−c)) +const (4.3) この結果、HCES = 19.1±0.2 arcmin、DAF =6.9±0.1 arcmin、短周期成分に関し ては、a =164±2 arcsec, b= 3.92±0.02, c= 5.87±0.12 degree という値が得ら れた。

赤緯方向 一方、赤経方向のずれは、比較的きれいな三角関数に見える。式4.2と比較す ると、時角に依存する誤差は高度方向の据え付け誤差M E 原因のようである。しかしな がら、モデル・フィッティングの結果、

F(x) = 220·cos 2.0(x16.9)197 [arcsec] (4.4) という関数が得られており(図4.3下、青色破線)、時角の変化に対して、物理モデルとは 異なる周期を持っていることが分かる。従って、この試験結果から直ちに、原因を解明す ることは出来ない。

-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

HA tracking error[arcsec]

Hour angle [degree]

Our obsevation Physical model 2-component model

-500 -400 -300 -200 -100 0 100

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

Dec tracking error [arcsec]

Hour angle [degree]

図 4.3: 大気差を除去した追尾誤差。純粋な機械特性を反映している。どちらも、三角関 数と一次関数の足し合わせで大まかにフィットすることが出来る。

上を図る。追尾速度の調整は、赤経駆動モーターに与えるパルス数の増減で行う。現在の 制御方法では、時角に合わせた詳細な調整は不可能なため、一定速度の増速および、減速 しか行うことが出来ない。

実際の観測データから適切な調整量を求める。式4.3のHCES、DAF の項を1次関数 で置き換え、フィッティングを行う。この結果以下のような関数が得られた。

f(x) =4.9x+ 102.7 sin(2.7(x10.6))50.6 [arcsec] (4.5) 図4.3中の青色の破線がフィッティングによって得られた計算値を表している。広い範囲 に渡って比較的良く観測値と合っていることが分かる。従って、時角1あたり、4.9 秒角 追尾速度を速めれば、振幅100秒角程度の短周期成分のみが残ることになる(恒星追尾速 度に対し0.14%増速)。

調整後の追尾誤差を図4.4に示す(大気差による浮き上がりは補正してある)。赤経方向 の追尾精度を見ると、若干負修正ではあるが、調整前(図4.3)より改善されていることが 分かる。駆動速度は今後さらに調整を進める。また、速度調整に伴い、赤緯方向の追尾誤 差も若干修正された。変動の傾向は調整前と似ているが、時角 ∼ ±80 の 範囲では±100

arcsec 以下に収まっており、現状でWCSの自動書き込み2 が可能である。

ピリオディックエラー 周期が5分のピリオディックエラーは振幅自体は小さいものの、

角速度が大きいため、フレーム毎の星像を悪化させる可能性がある。この周期変動の特性 は機械部分の設計と加工精度でほぼ決定されてしまうため、望遠鏡設置後の機械的調整は 不可能である。このため、一般的には制御部でエラーを相殺するように架台を駆動すると いう手法が取られる。明野場合、このような時角に合わせた速度調整は出来ないが、周期 誤差の振幅が±2 arcsec 程度と小さいため、1フレームの露出時間を1分以下にすること で、星像の劣化を抑えることができる。

2FITSヘッダーに記録された望遠鏡の指向方向を元に、USNO-2.0A恒星カタログと撮像した画像を比 較し、正確なWCSを情報を書き込む(2.7参照)。

-150 -100 -50 0 50 100 150

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

HA tracking error [arcsec]

Hour angle [degree]

-150 -100 -50 0 50 100 150

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

Dec tracking error [arcsec]

Hour angle [degree]

図 4.4: 駆動速度調整による追尾誤差の改善。追尾速度の調整により、追尾中の指向方向 のずれを小さくすることに成功した。赤経(上)、赤緯(下)ともに、±20 を達成出来てお り、WCSの自動書き込みスクリプトに対応出来る。

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