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説明的文章指導の「資質・能力」の評価について

第2章 説明的文章指導における評価

第2節 説明的文章指導の「資質・能力」の評価について

第1項 国語科における「資質・能力」の評価について

前節では国語教育に限らない高等学校の学力評価、とりわけ学習評価の方法とその目的 に焦点を当てて論じてきた。本節の目的は国語科での評価、本研究での目的である説明的文 章指導における学力の評価を述べていくことであるが、先に国語科としての評価について 述べていく。国語科の評価の方法について、国立教育政策研究所教育課題研究センター (2012)は以下のように示している

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評価方法は,原則として,次の3段階で設定している。

① 観察,点検

・行動の観察: 学習の中で,評価規準が求めている発言や行動などが行われている かどうかを「観察」する。

・記述の点検: 学習の中で,評価規準が求めている内容が記述されているかどうか を,机間指導などにより「点検」する。

② 確認

・行動の確認: 学習の中での発言や行動などの内容が,評価規準を満たしているか どうかを「確認」する。

・記述の確認: 学習の中で記述された内容が,評価規準を満たしているかどうかを,

ノートや提出物などにより「確認」する。

③ 分析

・行動の分析: 「行動の観察」や「行動の確認」を踏まえて「分析」を行うことに より,評価規準に照らして実現状況の高まりを評価する。

・記述の分析: 「記述の点検」や「記述の確認」を踏まえて,ノートや提出物など の「分析」を行うことにより,評価規準に照らして実現状況の高ま りを評価する。

国立教育政策研究所の示している評価の方法として三つの方法が示されているが、それ らには共通して「行動」と「記述」をもとにして生徒の学習状況を評価することが記されて いる。この「行動」については、授業内で学習者の発言や態度を対象として観察や確認、分 析が行われる。そして、「記述」は生徒の提出した作品をもとに評価すると考えられる。そ のため、ポートフォリオ評価の対象となるのは主にこの「記述」であると考えられる。生徒 の提出した作品を教師の作成したルーブリックと見比べることによって生徒は自らの学習

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国立教育政策研究所教育課程研究センター(2012)「評価規準の作成、評価方法等の不風 改善のための参考資料(高等学校 国語)~新しい学習指導要領をふまえた生徒一人一人の 学習の確実な定着に向けて~」、p.45。

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を振り返り、自己評価を行うことができる。また、国立教育政策研究所が示した三つの評価 の方法では、実際に評価を行う人物が記されていない。評価について「教師」や「指導者」

という言葉が示されていない以上、評価を行う者が生徒であっても問題はない。あえて言う ならば、生徒も評価する側に参加できるように設定されていると捉えるべきであろう。繰り 返すようになるが、高等学校国語科での評価の観点でも生徒が評価に関して参加できるよ うにするべきである。

また、国語科における「資質・能力」の評価の観点について藤森(2018)は「『資質・能力』

の評価は『自己評価』によって行う。」と述べている

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。前節においてパフォーマンス評価と ルーブリックの作成に関して生徒へのフィードバック、自己評価の重要性について述べた。

藤森の上記指摘をふまえると、生徒の自己評価を促すためのルーブリックの作成やアンカ ー作品の提示が重要となる。教師と生徒が評価の主体となって学力や学習状況について振 り返ることができる機会を与えることが教師の役割である。また、国語科の評価方法につい て、松友(2010)は以下のように述べている

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「言語パフォーマンス」を評価する場合、「パフォーマンス課題による評価」が第一 に考えられる。これは、学習者の言語活動を導く課題を設定し、「ルーブリック」と呼 ばれる学習者の言語活動の質を段階的に評価するための評価基準に基づいて解釈する 方法である。この「ルーブリック」は、単に表面的なパフォーマンスを記述するだけで なく、言語活動を内面的に支える知識や思考の道筋を内包して記述しなければならな いため、教師個人による作成が非常に困難で時間がかかるという難点がある。

また、自由記述式による評価の作問を工夫することによって、学習者の思考のプロセ ス自体を可視化し、言語活動の質をとらえようとする試みが進んでいる。

松友もルーブリックの作成に ついて述べたうえで、教師個人 による作成の困難さについて言 及しているが、やはり、国語学力 の評価において「目標に準拠し た評価」を行おうとするとパフ ォーマンス評価の観点からルー ブリックの作成についてはでき る限り作成するのが望ましいと

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藤森裕治(2018)『学力観を問い直す 国語科の「資質・能力」と見方・考え方』、明治 図書出版、p.36。

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松友一雄(2010)「Ⅴ国語の力の育ちをどのように評価するか 1 評価の目的と主体」、

『新たな時代を拓く 中学校 高等学校国語科教育研究』、全国大学国語教育学会編、学芸 図書 p.223。

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考えられる。また、国語科の評価の方法として松友(2010)では、表Ⅱのように示されており

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生徒への課題の作成やポートフォリオ評価を含めた日々の評価の方法について、非常に簡 潔かつ明瞭にまとめられている。この表Ⅱより、評価の方法としてパフォーマンス評価を行 うために自由記述式課題を作成し、ルーブリックの作成と自己評価のためのフィードバッ クすることは十分、学力評価におけるパフォーマンス評価の役割を担っていると言える。国 語科における「資質・能力」の育成としても、パフォーマンス評価を目的とした記述式の課 題や、自己評価の機会を作ることによって、学力評価の可能性を見いだすことができる。

第2項 説明的文章指導における評価について

第1章では説明的文章における「言葉による見方・考え方」を土台とした「資質・能力」

の育成について、トップダウン式の読みに着目することでその一端を育成できることを述 べた。また、前項までに国語科における「資質・能力」の育成の成果をどのように評価する のかについて、パフォーマンス評価の観点からルーブリックの作成の重要性を指摘した。こ れらのことから、説明的文章指導における「資質・能力」の評価では、パフォーマンス評価 の観点より、ルーブリックの作成と生徒へのフィードバックによって自己評価の機会を与 えることが求められていると言えよう。

説明的文章指導における評価については、第1章で示した新学習指導要領での目標と合 わせて論じておきたい。改めて、「論理国語」の目標を示す

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(1)実社会に必要な国語の知識や技能を身に付けるようにする。

(2)論理的,批判的に考える力を伸ばすとともに,創造的に考える力を養い,他者と の関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりするこ とができるようにする。

(3)言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって読書に親しみ自己を 向上させ,我が国の言語文化の担い手としての自覚を深め,言葉を通して他者や 社会に関わろうとする態度を養う。

第1章では「論理国語」の目標から、説明的文章指導では論理的、批判的に考える力を伸 ばすことを求められていることを述べた。また、その論理的、批判的に考える力の一端とし てトップダウン式読みの活用の重要性を指摘した。加えて、説明的文章指導で育成すべき学 力評価についてもトップダウン式の読みによってその一端を確かに育成することができる

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松友一雄(2010)「Ⅴ国語の力の育ちをどのように評価するか

1 評価の目的と主体」

『新たな時代を拓く 中学校 高等学校国語科教育研究』、全国大学国語教育学会編、学芸

図書

p.223。

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文部科学省(2018)「高等学校指導要領解説 国語編」

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldf

ile/2018/07/13/1407073_02.pdf、p.26。

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と論じた。説明的文章指導において、「資質・能力」を評価するためには、松友が述べてい る「言語活動を内面的に支える知識や思考の道筋」の要素としてルーブリックなどの評価基 準に組み込まれるべき内容が、トップダウン式の読みである。説明的文章指導では、「何が 表現してあるのか」ではなく、「何をもとに考えたことを表現してあるのか」を評価基準と して設定することが求められる。トップダウン式の読みでは、文章構造から先の文章を予測 し、批評しながら読むことができるのであった。具体的な問題例や評価基準であるルーブリ ックについては第4章で示すが、学力評価をペーパーテストで行おうとすると、その観点の 一つとして、トップダウン的な読みが行われているかという点は重要である。認知心理学の 観点と評価の方法との観点を複合させた説明的文章の問題作りを目指し、実際の高校生の 解答を分析・考察することで、トップダウン式の読みを反映させるペーパーテストでの「資 質・能力」の評価の可能性を模索することができるだろう。