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(2)調査の実質を確保するために読みの意欲を喚起する内容であること (3)論理に明快さがあり、調査に不必要な混乱を起こす可能性の少ないこと

(4)論理、状況や構図など読みの焦点が多様であり、複数の調査項目が設定できる文章であること

次に、 「イルカの会話」のSATによる分析と考察を示す。なお、煩雑さを避けるため、指示語や連想語 (collocation)などの図示は、設問に関わるもののみとしたo

(本文1)

イルカが泳いでいるプールのそばにいると、ギュ、ギュとか、ピーピーとか、声を出してuることに気 がつきます。それは、まるで、たがいに何かを話し合っているように聞こえます。イルカは、会話をする

ことができるのでしょうかO ある学者が、二頭のイルカをつかって、次のような実験をしました。

(構造表1)

番 号 接 続 状 況 主 題 主 語 述 定

1 , (イ ル カ が ) ギ ユ 、 ギ ユ と か 、 ピ ー ピ ー とか 、

亘 を 出 して い る

1 イ ル カ が 泳

いで い る プ ー ル の そ ば に

い る と

(わ た した ち は) ( 1 こ と に 気 が つ き ま す 0

k

2 そ れ は ■ ■ こ ま る で 、 た が い に 何 か を直 立 全 ユ 一 ...

て い る よ う に 聞 サ ー

3 イ ル カ は & a

金 星 を す る こ と が で き る の で し ょ うか

4 あ る 学 者 が 二 頭 の イ ル カ を つ か っ て 、 次 の

よ う な 実 験 を し ま し た

(結束性の推測1)

1.文全体の主題が省略されている。説明文教材の冒頭によく見られるものである。

2. 「それ」はイルカの声を指している。これは、それほど難しくないだろう。

3. 「声‑話し合っている‑会話」という、関連語句の反復が見られる。これはそのまま、筆者の推測 の流れであり、読者にもそのような推測を促すものである。

4. 「実験」は、 3の「できるのでしょうか」を受けている。ここには、 「実験はわからないことを調 べること」という既有知識による前提を働かせる必要がある。

(本文2)

‑158‑

はじ糾こ、プールの中にブザーのボタンをとりつけましたoそしてかいちゆう電とうをつけて合図をし たら、ボタンを口先でおしてブザーを鳴らすことを教えましたo二頭のイルカは、すぐにおぼえてしまい ましたo何回も合図をくり返しましたが、けっ・してまちがえることはありませんでしたO 次に、プールに

しきりをつけて、かた方にだけブザーのボタンをとりつけました。そして、二頭のイルカをべつべつに入 れました。おたがいに声は聞こえますが、すがたを見ることはできませんロ こうしておいて、ボタンのな い方にいるイルカにだけ、かいちゅう電とうで合図をおくりましたoイルカはすぐにボタンをさがし始め ましたが、いくらさがしてもないので、おすことができませんoそのうち、イルカはビュービューと口ぶ えをふいているような声を出し始めましたoすると、となりのプールにいたイルカが、ブザーのボタンを さがしておしました。

(構造表2)

番 号 接続 状 況 i n 主 語 述 定

5 は じ め に (そ の学 者 は) プ } ル の 中 に ブ ザ ー の ボ タ ン を

と り つ け ま した 6 ' そ して か い ち ゆ う

電 と う を つ け て 合 図 を

し た ら

(イ ル カ が ) ボ タ ン を 口 先 で お して ブ ザ ー を 鳴 らす

6 (学 者 は) ( 6 ' ) こ と を 教 え ま し た

7 二 頭 の イ ル カ は す ぐ に お ぼ え て し ま い ま し た

8 , (学 者 が) 何 回 も合 図 を く り 返 し ま し た

8 が (イ ル カ は) け っ し て ま ち が え る こ と は あ り

ま せ ん で し た

9 次 に (学者 は) プ ー ル に し き り を つ け て 、 か た

方 に だ け ブ ザ ー の ボ タ ン を と り つ け ま し た

1 0 そ し て (学者 は) 二 頭 の イ ル カ を ベ つ ベ つ に 入 れ

ま し た

l l (イル カ は) お た が い に 声 は 聞 こ え ま す が 、

す が た を 見 る こ と は で き ま せ ん

1 2 こ う し て お

い て

(学者 は) ボ タ ン の な い 方 に い る イ ル カ に

だ け 、 か い ち ゆ う 電 と う で 合 図 を お く り ま した

1 3 イ ル カ は す ぐ に ボ タ ン を さ が し 始 め ま し

た が 、 t,) く ら さ が し て も な い の で 、 お す こ と が で き ま せ ん 1 4 そ の う

イ ル カ は ビ ュ ー ビ ュ ー と 口 ぶ え を ふ い て

い る よ う な 声 を 出 し始 め ま し た

1 5 す る と と な り の プ ー ル ブ ザ ー の ボ タ ン を さ が し て お し

に い た イ ル カ が ま し た

(結束性の推測2)

5‑12.このあたりは、主語や主題の省略が多く、低学年には捉えにくい所であろうO しかも、 「学 者」と「イルカ」が交互に省略された主題となっている。 「実験は学者が主体におこなうも の」という既有知識を持っている必要がある。

13と14.主題の「イルカ」は、厳密には「懐中電灯をあてられたイルカ」であり、ここも低学年に は把握が難しいところである.

(本文3)

このことから、合図を見たイルカが、 「ボタンをおしてくれ。 」とたのんだのにたいして、・となりのイ

‑160‑

1L,カが、それにこたえて、ボタンをおしたことが分かりましたo

学者は、水中マイクロホンをつかって、もっとく わしく調べてみましたo するとイルカたちは、ビュー ビューというような声のはか、パチパテとまめのはぜるような声、ギ‑ギ‑というドアのきしむような声 など、いろいろな声で話し合っていることが分かりました。

(構造表3)

番号 接続 状況 主題 主 述定

1 6 , 合 図 を見 た イ ル 「ボ タ ン をお して くれ 0 」 と た

カ が の んだ

If f ' の に た とな りの イ ル カ そ れ に こた え て 、 ボ タ ン を お し

い して が た

1 6 こ の こ とか ら

(1 6 ' 1 6 ' ' ) ことが

分 か りま した

1 7 学 者 は 水 中 マ イ ク ロ ホ ン をつ か っ て 、

も つ と く わ しく調 べ てみ ま した

18 , す る と イ ルカ たち は ビ ュ ー ビ ュー と い う よ う な 声 の

はか 、 パ チ パ テ と ま め の は ぜ る よ う な 声 、 ギ P ギ ー と い う ドア の き しむ よ う な 声 な ど 、 い ろ い ろ な声 で 話 し合 って いる

1 8 1 8 ' ことが 分 か りま した

(結束性の推測3)

16.この文では、主語(およびその交代)が明確に出てt,)る0

17. 「もっとくわしく」の内容把握が、この部分を中心とした結束性の把握に欠かせない。その前に 実験では、 「ビュービュー」という声で、合図をしたということがわかっており、今は、 「イル カ    の会話」を調べたいから、他の声はあるのか、伝え合いはあるのかということになる。それが、

「くわしく」の内容である。

18.この文で、 17の二つのことが確かめられたと言うことが述べられている。ただし、 「伝え合い」

の確かめは不十分である。

(本文4.)

このように、イルカは、さまざまな声をつかい分けて、こまったことやきけんなこと、うれしいことや 悲しいことなどを、たがいにったえ合っているのです。

イルカは、会話をすることができるのです。

(構造表4)

番 号 接続 状況 主題 主語 述 定 1 9 こ の よ

うに

イ ル カ は さ ま ざ ま な 声 を つ か い 分 け て 、 こま っ た こ と や き けん な こ と 、 うれ し い こ と や 悲 しい こ とな ど を 、 た が い に つ た え合 っ て い る ので す

2 0 イ ル カ は 会 話 をす る ことが で き るの で す.

(循束性の推測4)

19.説明文教材特有の「このように」でまとめている文である。狭くは、 18を受けている(ただし、

困ったとき云々の記述は18になく、また、話し合うの「合う」の部分が弱いことは先に指摘し たとおりである。 )が、広くは、 3の疑問の答えになっている。ただし、 3は「会話」で19は

「ったえ合う」という関連語句でのつながり(collocation)になっている。

20.そこで、もういちど、 3と同じ語句である「会話」で結びとしたのであるO (全体の文章構成と思考意識)

「イルカの会話」の文章構成と思考意識は、次のようなものと考える。なお番号は、 SATのユニット番号である。

番号 1 . 2 3 4 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 2 0

思考意識 身近 な事例 (問題 と と る こともで きる)

問題 (仮 説 と とる こと も で き る )

検 証 1 緒 呆 1 検 証 2 結 果 2 問 題 の 答 え 答 え の再 記 述

文章構成 は じめ なか お わ り

まず、身近な例から入る「はじめ」があり、 「なか」に入ってすぐに問題が提示される。 2回の検証と 結果を経て、 1 9で3に対する答えが提示される。その後、結束性の推測4で述べたように、答えがもう 一度、 3の問いに合うように再記述される。この再記述は、文章構成上は「おわり」の役目を果たしてい ると言える.文末の「のです」もそれを表してnるO つまり、文章構成上「おわり」がどうしてもほしい ので、ここで答えが再記述された、ただ1 9の繰り返しではだめなので、語句が言い換えられたと考えら れる。

I. 6. 4.設問設定の観点

m. 6. 4. i.設問設定とカテゴリー分けの観点 設定した設問の観点と分類の基準は次の通りであるo 読前調査1

「イルカ」から連想する言葉を書く問題。イルカについての既有知識の確かさを連想語の数から判断しようとし た。書かれた言葉の数を数え、 0‑5、 6以上の2つのカテゴリーに分類した。

162‑

(読前調査2は、どういう基準で集計すべきかまとまらず、集計しなかった。 ) 読前調査 3‑1

「イルカ」と人間との類似性を聞く問題Dイルカについての既有知識の質を、調査本文の内容と関係づけて尋ね た。無回答を含め、 3つのカテゴリーを設定した。

(読前調査3‑2は、どういう基準で集計すべきかまとまらず、集計しなかった。 ) 読前調査 4

調査本文で使われた語句の意味を問う問題。それぞれ正解(0)か不正解(1)かの2つのカテゴリーを設定し、

4間中、何問正解したかを、 「4‑数」として集計した.

読前調査 5

調査本文で使われた漢字の読みを問う問題。それぞれ正解か不正解か<D 2つのカテゴリーを設定し、 4間中、何 問正解したかを、 「5‑数」として集計したo

読後調査1‑1

指示語の指示内容を問う問題o文章の表面上のつながり(結束構造)をとらえられるかを調べようとした。正解 か不正解かの2つのカテゴリーを設定した。

読後調査1‑2

次の実験を予想させる問題O 文章の深層のつながり(結束性)がうまく形成されているかを調べようとした。正 解か不正解かの2つのカテゴリーを設定した。

読後調査1‑3

思ったこと・考えたことを書く問題。文章を読んでいく際に働くメタ認知活動の活動状況を調べようとした。次 の5つのカテゴリーを設定した。 (この区分については、後で詳述する)

・その他、無回答

・部分的、印象的反応(おもしろかった、など)

・テクストの範囲内での反応(イルカは会話するのかな?など)

・テクスト外の知識の持ち込みによる反応(イルカは会話をすることを知っていたよ、など)

・文体や筆者の認識に対する反応(ここはわかりやすく書uている、など) 読後調査 2‑1

文章の内容を絵で考えさせる問題。文章の表意をイメージ化できるか調べようとした。正解か不正解かの2つの カテゴリーを設定した.

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省略された目的語を考えさせる問題。文章の表面上のつながり(結束構造)をとらえられるかを調べようとした。

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